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脳血管リハビリテーション科

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当科が取り組んでいる「脳卒中強化リハビリテーション」と「フレイル予防ネット」を紹介します。

1. 脳卒中強化リハビリテーション

新たなリハビリテーション機器や評価法、リハビリテーション・プログラムの開発と導入による「脳卒中強化リハビリテーション」を実施し、回復期病院への円滑な転院、自宅退院を目指しています。

1) リハビリテーション・グラス (REHA glasses) の開発

急性期脳卒中患者さんでは、しばしば運動麻痺や筋力低下がないにも関わらず、自らの意志に関係なく、一側に身体が傾き、転倒傾向を示す症候(lateropulsion(ラテロパルジョン))を合併します。本症候を合併する患者さんは、患者さん自身が視覚的に垂直と感じる軸が偏倚しているため、自立歩行の獲得までに時間を要するという大きな問題点があります。一方で、lateropulsionの患者さんの頻度、病巣との関連、回復過程は明らかにされていませんでした。そこで、lateropulsionを合併した患者さんを脳卒中発症後から退院するまで、病巣別に身体の傾きと臨床症候(眼球の偏位)を経時的に追跡し、これらが動的に変化しながら回復することを明らかにし、更に病巣によって、身体の傾きを代償するシステムが異なる可能性を見出しました。これらの知見から、視覚情報を調整することで、lateropulsionによる身体の傾きを正すことができることを着想しました。
奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科(和田隆広教授)との共同開発で、lateropulsion合併患者さんが装着することで傾いた姿勢がまっすぐになるメガネ(リハビリテーショングラス;REHA glasses)のプロトタイプを開発、その後、シャープ株式会社と協同し、高解像度、小型・軽量化したREHA glassesが製品化されました(図)。現在、REHA glassesの装着により、lateropulsion合併患者さんの自立歩行獲得までの期間が短縮化しないか、臨床研究を実施しています。

   

2) 新たな運動機能評価法の開発

従来の運動機能評価は、自立度や課題到達度に着目し、一定の運動機能の到達がなければ、機能改善として反映しないため、脳卒中急性期という短期間での判定、あるいは重症麻痺の患者さんでの詳細な評価は困難でした。そこで新たな評価指標として、東京電機大学理工学部(趙崇貴助教)との共同により、麻痺した腕の自動(自分で動かす)運動と他動(療法士が動かす)運動を捉えられる小型センサを開発しました(図:趙崇貴助教より提供)。このセンサを皮膚に装着し、運動によって生じる皮膚表面形状の特徴を解析することで「随意性(自ら動かそうとする意志)」を客観的に検出する研究を進めています。効果的なリハビリテーションには、自らの意志に基づいた運動が重要であり、「随意性」を詳細かつ定量的に捉えられる運動機能評価が必要なのです。

  

3) 効果的なリハビリテーションプログラムの開発

当院退院後、機能障害が中等度以下の方は、回復期病院に転院せずに直接、自宅退院を目指せないかと考えています。このため、入院中のリハビリテーション時間を長くするだけではなく、内容を工夫した効果的なプログラムを開発中です。こうした効果的なプログラム開発は、直接自宅退院が不向きな患者さんにも、円滑な回復期病院でのリハビリテーションにつながることが期待されます。

4) Brain-Machine Interface(ブレイン-マシン インターフェイス)の導入

    

手に強い麻痺のある患者さんに対して、Brain-Machine Interface(ブレイン-マシン インターフェイス)というリハビリテーション機器を導入しました。この機器は、患者さんが手を動かしたいと考えることで脳に発生する信号を脳波として取り出し、コンピューターに命令することで、手を動かすサポートが入ります(筋肉に電気刺激を与えて収縮させます)。脳卒中発症後、早期にこの機器を使ったリハビリテーションを始めると、傷ついた運動経路に刺激を与え、回復を促すのではないかと考えています。こうした発症早期からの取り組みによって、回復期病院転院後のリハビリテーションの円滑化と高い運動機能の獲得を期待しています。更に、慶応義塾大学理工学部(牛場潤一教授)と共同し、Brain-Machine Interfaceで捉えられた脳波所見を解析し、機能回復の予測や新たなリハビリテーション法に繋げられないか、研究中です。

 

2.フレイル予防ネット

急性脳卒中を発症し、当院に入院された患者さんには、退院までに、脳卒中の啓発、生活指導を行っています。「フレイル予防ネット」とは、自宅退院患者さんに対して、療養に関連した医療、福祉、社会資源を効果的につなげて活用できるしくみを作る目的で、2021年11月より立ち上げた取り組みです。具体的には、患者さんがお住まいの地域包括支援センターとの連携、企業と協同した運動プログラムの提案、退院3ヶ月後の外来診療です。こうした取り組みによって、患者さんの生活習慣の改善、活動性の維持と生活の質の向上を図り、長期的には健康寿命の延伸を目指しています。

1)  地域包括支援センターとの連携

自宅退院した患者さんに対して、患者さんが居住する地域包括支援センターのスタッフが、退院後3ヶ月間で2回の電話連絡または家庭訪問を行い、患者さんのお困りごと相談や健康推進のための地域活動の紹介を行い、定期的に当院との情報交換を行っています。現在、連携している自治体は、吹田市、摂津市、茨木市であり、今後も拡げたいと考えています。

2) 「ラジオ体操教室」の開講(かんぽ生命との協同)

毎週水曜日11:15〜11:45、7階リハビリテーション室にて外部講師を招いた「ラジオ体操教室」を開講しています。対象は、自宅退院予定、もしくは自宅退院された脳卒中患者さんです。退院前より「ラジオ体操教室」にご参加いただくことで、退院後も自宅でのラジオ体操の継続を提案しています。アンケート調査の結果では、入院中に参加いただいた方の約30%の方が外来でのラジオ体操教室への参加や自宅での体操を継続されており、継続的な体操が、精神・認知機能に良い影響を与える可能性が示されています。

3) 運動アプリケーション「ヘルスピクチャー・アプリ」の開発(Cowellnex株式会社との協同)

        

自発的な運動の動機づけにつながる運動アプリケーションを開発し、自宅退院患者さんへの無料配布を始めました。このアプリケーションは、ダウンロードしていただいたスマートホンを携帯することで、あらかじめ設定したウオーキング量を達成する経過で、イラストまたは写真が徐々に完成してゆく「ヘルスピクチャー」機能を有しています。こうした運動アプリケーションが、患者さんの運動習慣につながることを期待しています。

4) 退院3ヶ月後のリハビリテーション外来

急性脳卒中で入院し自宅退院された患者さんに対して、退院3ヶ月後、リハビリテーション外来を行い、医師による診察と療法士による機能評価を実施しています。危険因子コントロールや機能回復状況を確認し、必要に応じたアドバイスを行っています。

「フレイル予防ネット」の詳細は、https://www.youtube.com/watch?v=-vaj7EHsiL0 をこ゚覧ください。

 

最終更新日:2026年04月01日

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