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心臓血管外科部門

診療科等の概要

心臓血管外科部門とは

心臓血管外科は高度専門医療ナショナルセンターにおける外科部門として、超重症患者から希少疾患まで、全ての疾患に対応しています。多くのエキスパートが在籍し、近畿のみならず全国からご紹介いただく患者さんや緊急手術を要する患者さんまで、幅広い外科手術を数多く行っています。多くの患者さんにきて頂いた結果、昨年は、900例以上の開心術を行うことができました(小児心臓外科を除く)。

現在12名の専門スタッフ及び全国から集まった専門修練医とレジデント7名で構成されています。心臓外科血管外科の2つの外科専門診療グループに分かれており、それぞれの専門性を生かしつつ、相互連携をとりベストな治療を心掛けています。また、循環器内科各グループや移植医療部との連携を強化し「ハートチーム」として一人一人の患者さんに対応します。ハートチームでの診療により多くの選択肢を同時に提示することで患者さんが望む治療をスピーディーに提供できます。

心臓外科、血管外科ともに人工心臓や心移植、胸腹部大動脈置換など高難度の手術から、ロボット手術やカテーテル治療などの低侵襲手術まで行っており、全ての術式について世界のトップレベルの質と全国有数の手術件数を維持する総合力を有しています。
診療体制は、365日、24時間対応可能で、いつでも手術をすることができます。通常はかかりつけ医や他の医療施設からご紹介いただき、外来での相談で患者さんにご納得いただいてから、検査や手術を予定します。最初の外来の後、2週間前後で手術が可能です。しかし、緊急の場合は、来院後2分で手術室に入室したこともあります。
国内最大級の規模を誇る16床のICUでは、手術後の患者さんの術後急性期の治療を中心に行っております。24時間体制で患者さんの管理にあたると同時に、術後の経過がより良くなるように、医師、看護師のみならず、薬剤師、臨床工学技士、栄養士、リハビリなど全ての職種の連携をハイレベルで維持しています。
私たちは、臨床のレベルを高めつつ、若手医師の教育、専門医・指導医の養成など、今後日本をリードする人材育成を大切にしています。また、医師主導治験や特定臨床研究による最新の治療の研究や導入を行い、日本をリードしています。同時に、後ろ向き研究から得られる情報を発信し、全国の均てん化にも貢献しています。

各診療科の治療方針と目標

心臓外科

虚血性心疾患に対しては、狭窄を有するすべての冠動脈主要分枝を動脈グラフトでバイパスすることにより、長期の開存率を向上させ、長期にわたり再度の侵襲的治療や入院を回避させることを目標にしています(動脈グラフト使用率95%)。また、人工心肺を使用することで脳梗塞あるいは腎不全を起こす危険の高い患者に対して、人工心肺を使用しない冠動脈バイパス手術(OPCAB)を1998年に導入し、現在では基本手技としています(最高齢91歳)。さらに2004年から、ロボット外科支援システムによる更なる手術の低侵襲(身体の負担が少ない)化に挑戦しています。また、手術創が小さく低侵襲な内視鏡補助下手術も積極的に行っています。
弁膜症に対しては、できる限り自己弁の修復あるいは生体弁での弁置換を行うことで、ワーファリンの服用を回避でき、生活の制限が最小限になるよう努めています。また、右小開胸による低侵襲手術を導入し、特に僧帽弁閉鎖不全症では手術支援ロボット"da Vinci"を用いた僧帽弁形成術がほとんどであり、早期社会復帰、美容的観点に貢献しています。高齢や極端に体が弱っているなど手術ハイリスク患者さんには開心術や人工心肺下の心停止を必要としない「経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)」を2011年より施行しています(最高齢96歳)。TAVIは通常の大動脈弁置換術に比べて傷が小さく手術時間も大幅に短縮される低侵襲な術式で、わが国有数の実施件数を誇ります。当施設は、透析患者さんにもTAVIを行うことのできる施設です。また、OPCABとTAVIの同時手術など、難易度は非常に高いが低侵襲で治療効果の高い術式を次々と国内で初めて実施・成功させています。ロボットやカテーテルを用いた低侵襲手術を推進しています。

不整脈に対する外科治療としては、1992年にわが国に初めて導入した心房細動を洞調律に復帰させるメイズ手術を弁膜症手術と同時に積極的に施行し、遠隔期のQOL向上にも努めています。2018年からは、弁膜症のない心房細動に対して、右小開胸による低侵襲メイズ手術を行っています。長期にわたる抗凝固療法が難しい患者さん、カテーテルアブレーションのできない患者さんを対象に、この手術を行いほとんどの患者さんが洞調律に復帰されています。

心不全に対する外科治療は、急性・慢性共に、病状に応じて様々な種類の補助人工心臓の装着を行い、心機能の回復を目指すとともに、心機能の回復が見られない患者さんは、植込み型補助人工心臓の装着や心臓移植手術につなげています。本年保険診療として開始された永久使用を目的とした植込み型補助人工心臓装着も積極的に行っています。

血管外科

大動脈外科に関しては、基部拡張症に対して積極的に自己弁温存術式を選択し、弓部大動脈瘤に対して選択的脳灌流による中等度低体温での全弓部置換術を基本術式としています。また、胸腹部大動脈瘤に対しては、Adamkiewicz動脈の画像診断と術中の運動性能電位測定により、対麻痺の予防に努めています。また、低侵襲手術として、ハイリスク患者を中心に大動脈ステントを腹部大動脈瘤から胸部大動脈瘤まで積極的に導入しています。

 

最終更新日:2023年01月12日

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