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脳神経外科

対象疾患・治療法

患者さんへ専門医療制度と連携したデータベース事業について【pdf.233KB】
一般社団法人 日本脳神経外科学会

手術件数

直達手術

血管内治療

ガンマナイフ

対象疾患・治療法

1. 脳卒中急性期治療

くも膜下出血・脳出血
脳梗塞

2. 脳卒中の予防的治療・慢性期治療

未破裂脳動脈瘤
脳動静脈奇形
もやもや病
頚動脈狭窄症
硬膜動静脈瘻

3. その他

脳腫瘍
三叉神経痛・顔面痙攣

未破裂脳動脈瘤

一般的に治療がすすめられるのは、下記のものです。

  1. 大きさ5-7mm以上
  2. 5mm前後であっても前交通動脈や後交通動脈など破裂しやすい部位にある
  3. 形がいびつ
  4. 増大傾向のあるもの

治療のリスクおよび年齢や併存疾患などから治療したほうがよいかどうか、総合的に判断します。クリッピング術、コイル塞栓術のそれぞれの治療の専門家が議論し、患者さんにとって最適と考える治療方針を提示しています。

脳動脈瘤の治療は、大きくは開頭手術と血管内治療にわかれます。
開頭術のスタンダードな術式はクリッピング術です。しかし、クリッピングが難しい大型・血栓化脳動脈瘤ではバイパス術を併用した手術も行っています。 最近では血管内治療が進歩し、開頭術の割合は少なくなりつつありますが、開頭術の方が適している脳動脈瘤の患者さんに対しては、開頭術をお勧めしています。
血管内治療のスタンダード術式は、コイル塞栓術です。技術とデバイスの進歩により、その治療成績は向上し、適応も拡大しています。とくに最近では、従来の血管内治療では治すことが難しかった大型・血栓化脳動脈瘤に対して、フローダイバータ-というステントによる治療を行い、良好な成績をおさめています。

また、単独の治療法では根治が難しい複雑な脳動脈瘤に対しては、ハイブリッド手術室を使用した、開頭術と血管内治療の複合治療を行っています。

未破裂脳動脈瘤クリッピング術

未破裂中大脳動脈瘤手術の顕微鏡写真です。

左:未破裂前交通動脈瘤クリッピング術(動脈瘤)/右:蛍光色素注入(動脈瘤)

左側がクリップをかける前の顕微鏡写真です。脳血管にできた瘤(脳動脈瘤)が認められます。
右側が蛍光色素を静脈注射した時の顕微鏡写真です。正常血管と動脈瘤が白色に光って見られます。

左:未破裂前交通動脈瘤クリッピング術(クリップ)/右:蛍光色素注入(クリップ)

左側が動脈瘤の根本(頚部)にクリップをかけた顕微鏡写真です。
右側が蛍光色素を静脈注射した時の顕微鏡写真です。正常血管は白色に光っていますが、動脈瘤は光っていません。動脈瘤への血流が遮断されたことがわかります。

脳動脈瘤コイル塞栓術(血管内治療)

脳動脈瘤コイル塞栓術(血管内治療)の写真

左側が未破裂脳動脈瘤のコイル塞栓術の血管撮影の写真です。脳底動脈の先端部分に動脈瘤(→)が認められます。そこに通常の検査用のカテーテルよりかさらに細いマイクロカテーテルの動脈瘤の先端に慎重に挿入します。そのマイクロカテーテルを通してプラチナコイルを動脈瘤内に詰めていきます。
右側の2枚の写真が動脈瘤内にコイル(→)を詰めた後の写真です。動脈瘤内に造影剤が入っていないことがわかります。

また、最近ではステントというメッシュ状の金属の筒を置いて動脈瘤の入り口をカバーすることによりコイル塞栓術時のコイルの母血管への突出を防ぐ方法(ステント併用コイル塞栓術)や、フローダイバーターという非常に目の細かいステント状の筒を母血管に留置するだけで動脈瘤を閉塞させる方法なども登場してきており、当施設ではこれらの方法の中で最も動脈瘤が安全かつ有効に閉塞できる方法を選んで治療を行っております。

脳動脈瘤に対する脳血管内治療の様々な方法

巨大脳動脈瘤に対するフローダイバーター留置術の1例

脳動静脈奇形の複合治療

手術困難な脳動静脈奇形(脳内の血管の塊)に対して、我々は脳血管内治療での術前塞栓術(手術で処理しにくい血管を前もって詰めておく)と開頭摘出術、もしくはガンマナイフの複合治療を行ってきました。最近はOnyxという液体塞栓物質も使用できるようになりました。

(1)脳動静脈奇形の写真(術前)。橙色円内と白円内の2箇所に奇形を認めるが、橙色円内の奇形を血管内治療+摘出術の組み合わせで治療することとしました。
(2a)塞栓術後の写真。橙色円内の奇形の映り具合がかなり減少しています。
(2b)塞栓術後の写真。橙色円内の黒い線が血管内に詰めたOnyxです。
(3)塞栓術の2日後に血管奇形の摘出術を行い、完全に摘出されました。白色円内の奇形には後日ガンマナイフが行われ、経過観察中です。

液体塞栓物質を用いた脳動静脈奇形の術前塞栓術の写真

このように当科では脳動静脈奇形に対して開頭摘出術、塞栓術、ガンマナイフの各治療法の設備と治療医を有しており、脳動静脈奇形の複合治療も多数行っております。

もやもや病に対する治療

もやもや病

もやもや病には脳虚血発症と脳出血発症の2つのタイプがあり、虚血タイプに対してはバイパス手術が有効です。当センターではもやもや病に対するバイパス手術を積極的に行っています。左はバイパス術後の脳血管撮影です。バイパス(矢印)を介して中大脳動脈領域(丸印)に多くの血液が供給されているのが分かり ます。

もやもや病専門外来

脳腫瘍

当センターでは脳血管疾患のみならず、髄膜腫、神経鞘腫、転移性脳腫瘍などの脳腫瘍の治療にも力を注いでいます。
[最近治療を行った脳腫瘍;左から傍矢状洞髄膜腫、血管芽細胞腫、前庭神経鞘腫]

脳腫瘍

ハイブリッド手術室を用いた複合手術の一例

国立循環器病研究センター(NCVC)では、2011年1月より国内初の本格的ハイブリッド手術室(Hybrid OR)を稼働しています。ハイブリッド手術とは、その名の通り、全く治療概念の異なる「開頭手術」と「血管内治療」をコラボレーションさせた治療法で、困難な病変に対する安全かつ確実な治療には不可欠と考えられていました。従来の独立した手術室・血管撮影室では種々の制限があり実現が困難でしたが、これを可能にするのがHybrid ORで、手術室・血管撮影室の融合により次世代脳神経外科手術の試金石となっています。

NCVCでは稼働より1年で15例の患者さん:具体的には、一般的な血管内治療では病変への到達に問題がある症例や、開頭手術のみでは病変の特定が困難あるいは強い侵襲が加わる症例で使用し、いずれも良好な結果を得ています。その他、心臓・大動脈疾患でも使用されており、今後、困難な病変に対する治療のみならず、安全・確実な治療において威力を発揮するものと期待されます。

末梢生中大脳動脈瘤

頚動脈ステント留置術(血管内治療)


頚部の内頚動脈の狭窄に対してステントという金属の筒をいれた時の血管撮影の写真です。
細かった部分(矢印)が拡張しているのがわかります。

ガンマナイフ治療

当院では2002年4月からガンマナイフが稼動しており、これまでに多くの患者さんを治療してきました。2019年7月よりガンマナイフIconを導入し、痛みのないフレームレス治療が可能となりました。

ガンマナイフ治療
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  • 最終更新日:2023年09月05日

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