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ガンマナイフ外来

診療科等の概要


ガンマナイフとは、開頭せずに脳腫瘍や脳動静脈奇形(AVM)などを治療する定位放射線治療です。

国立循環器病研究センター(国循)のガンマナイフ外来(脳神経外科)では、転移性脳腫瘍(脳転移)、良性脳腫瘍、脳動静脈奇形、三叉神経痛などの脳疾患に対して診療を行っています。 とくに脳動静脈奇形(AVM)に関しては、国内有数の豊富な治療実績(2025年までに554例)を有しており、専門性の高い治療を提供しています。

本ページでは、副作用や費用、入院期間、当センターの治療実績についても詳しくご案内しています。

目次

1.ガンマナイフとは|About Gamma Knife Radiosurgery

Gamma Knife Radiosurgery|定位放射線治療(Stereotactic Radiosurgery, SRS)

ガンマナイフとは、開頭せずに脳腫瘍や脳動静脈奇形(AVM)などを治療する定位放射線治療(Stereotactic Radiosurgery, SRS)です。多数のガンマ線を一点に集中させ、周囲の正常な脳組織への影響を抑えながら、病変部に高線量を照射します。

ガンマナイフ治療は、脳の深部や重要部位にある病変に対しても検討される治療法の一つです。定位放射線治療には複数の装置がありますが、線源や照射方法などに違いがあり、治療選択は疾患や病変の条件に応じて判断されます。ガンマナイフは脳疾患に特化した定位放射線治療装置です。

ガンマナイフの特徴

  • 脳の病変に対して、開頭せずに治療可能な精密放射線治療
  • フレーム固定またはマスク固定により高い位置精度を確保
  • 周囲の正常な脳組織への影響を最小限に抑えながら照射が可能
ガンマナイフ治療の様子

2.ガンマナイフのしくみ

ガンマナイフは、192本のガンマ線を三次元的に一点へ集中させ、標的部位に高線量を照射する定位放射線治療装置です。周囲の正常な脳組織への線量を抑えながら、病変部に照射を行います。

治療時には、フレーム固定またはマスク固定により頭部を安定させます。治療中は位置監視システムにより頭部の動きを管理し、精度を維持します。照射後、病変は時間の経過とともに変化します。

ガンマナイフ治療は、手術が難しい脳の深部にある病変や、外科的手術に不安のある方に対しても検討される治療法の一つです。

当院で使用しているガンマナイフICON®ではフレーム固定に加え、マスク固定による治療にも対応しております。症例によっては外来(日帰り)での治療が可能な場合があります。

3.ガンマナイフで治療できる病気(対象疾患・適応)|Indications Treated with Gamma Knife Radiosurgery

ガンマナイフ治療は、脳血管障害や脳腫瘍、機能的疾患など、さまざまな脳疾患に対して検討されます。適応は、病変の大きさ・部位・進行状況、患者さんの全身状態などを総合的に考慮して判断します。

【脳血管障害|Cerebrovascular Disorders】

※ 脳動静脈奇形は 脳動静脈奇形(AVM)外来、「循環器病について知る」脳動静脈奇形もご覧ください。


【脳腫瘍|Brain Tumors】

  • 聴神経腫瘍(Vestibular Schwannoma / Acoustic Neuroma)
  • 髄膜腫(Meningioma)
  • 下垂体腺腫(Pituitary Neuroendocrine Tumor, PitNET)
  • 頭蓋咽頭腫(Craniopharyngioma)
  • 血管芽細胞腫(Hemangioblastoma)
  • 脊索腫(Chordoma)
  • 転移性脳腫瘍(Brain Metastases)

【その他の疾患|Other Indications】

  • 三叉神経痛(Trigeminal Neuralgia)
  • 本態性振戦(Essential Tremor)
  • てんかん(Epilepsy)
  • パーキンソン病(Parkinson’s Disease)
  • 眼窩内疾患(Intraorbital Lesions) など

※ 三叉神経痛は循環器病について知る「三叉神経痛・顔面けいれん」もご覧ください。
※ てんかん・パーキンソン病・本態性振戦などの機能的疾患は、現行の保険診療では適応外となっております。あらかじめご了承ください。

4.ガンマナイフ治療と手術(開頭手術)の考え方

ガンマナイフ治療と手術(開頭手術)は、いずれも脳疾患に対する重要な治療法です。どちらが適しているかは、病変の種類や大きさ、部位、症状の有無、患者さんの全身状態などを総合的に考慮して判断されます。

特に良性脳腫瘍では、治療のタイミングの判断が重要です。腫瘍の増大速度、症状の有無、年齢などさまざまな要因を踏まえ、それぞれの治療方法の適応を検討します。

外科手術は開頭して病変を摘出または処置する方法であり、病変の直接的な除去を目的とします。一方、ガンマナイフ治療は開頭を行わず、放射線を集中照射することで、時間の経過とともに病変の変化を促します。

ガンマナイフ治療は身体への負担が比較的少ない一方で、効果が現れるまでに時間を要することがあります。聴神経腫瘍など一部の脳腫瘍では、照射後に一時的に腫瘍が増大する「一過性膨大」がみられることがありますが、その後に縮小へ向かう経過をたどる場合があります。

疾患によっては、手術とガンマナイフを組み合わせた治療が検討されることもあります。診察では画像所見をもとに、それぞれの治療の目的や想定される変化について丁寧に説明し、患者さんと相談のうえ治療方針を決定します。

5.ガンマナイフの副作用・リスク

ガンマナイフ治療に伴う副作用やリスクは、疾患の種類や病変の部位・大きさ、周囲の脳組織との位置関係などによって異なります。

外来診察時には、想定される効果と副作用について丁寧にご説明し、ご理解いただいたうえで治療方針を検討します。

6.治療の流れと入院期間

ガンマナイフ治療は、外来受診から治療、退院後の経過観察まで、段階的に進めていきます。入院期間は疾患や治療内容により異なります。

1)外来受診・治療方針の決定

まず外来で診察を行い、画像所見(MRIなど)をもとに治療適応を検討します。
セカンドオピニオンオンラインにも対応)も可能です。

2)治療日・入院期間

治療は月~金(平日)に行っています。

標準入院プラン【2泊3日~5泊6日】

  • 1日目:入院・オリエンテーション・必要検査(MRI/CTなど)
  • 2日目:ガンマナイフ治療
  • 3日目以降:経過観察のうえ退院

短期入院プラン【1泊2日】

※ 必要な検査は原則として外来時に実施

  • 1日目:入院・オリエンテーション・(検査)・治療
  • 2日目:退院

疾患や照射方法によっては、マスク固定による分割照射で日帰り治療が可能な場合もあります。

『ガンマナイフ治療を受けられる方へ』パンフレット

ガンマナイフ治療の流れについて

3)治療後のフォロー

治療後は外来で定期的に診察を行い、画像検査で経過を確認します。遠方にお住まいで通院が難しい場合には、かかりつけ医と連携しながら診療を継続します。

7.費用(保険適用・自己負担の目安)

ガンマナイフ治療は、多くの疾患で保険診療の対象となります。自己負担額は、年齢や所得区分、入院日数などにより異なります。以下は自己負担額の目安(概算)です。

区分 自己負担額(概算)
70歳未満 3割負担 約18万円
70歳以上 1割負担 約5万円
70歳以上 3割負担 約9万円
自費 約50万円

※ 実際の費用は、病変の種類や入院期間、追加検査の有無などによって変動します。
※ 高額療養費制度の対象となる場合があります。

8.当センターのガンマナイフ治療体制

当センターでは、脳神経外科医、看護師、放射線技師など多職種が連携し、ガンマナイフ治療を行っています。診察から治療、経過観察まで一貫して対応しています。

1)ガンマナイフ治療担当医

ガンマナイフ治療は、脳神経外科医が外来診察および治療計画、照射を担当します。

森 久恵 (Hisae Mori) 脳神経外科医長

◆ 火曜・木曜:再診・初診対応
◆ 月曜・水曜・金曜:初診のみ対応

※ ご本人が入院中で外来受診が難しい場合は、ご家族のみの相談も可能です。

脳神経外科医
ガンマナイフ担当医|外来および治療 森 久恵 (Hisae Mori) 脳神経外科医長

所属学会:日本脳神経外科学会/日本脳神経外科コングレス/日本定位放射線治療学会/日本ガンマナイフ学会/明日のガンマナイフを担う会/日本脳卒中学会/日本脳卒中の外科学会/日本脳腫瘍の外科学会/日本小児神経外科学会

2)看護体制

治療時および治療後は、脳神経外科専門の看護師が対応します。
安全に治療を行うため、定期的に緊急対応トレーニングを実施しています。

3)治療後のフォロー体制

治療後は外来で定期的に診察を行い、画像検査で経過を確認します。
遠方にお住まいの方については、かかりつけ医と連携しながら診療を継続します。

4)医療関係者の方へ

ご紹介や治療適応の判断に迷われる場合には、お電話またはE-mailにてお気軽にご相談ください。画像をご提供いただける場合には、よりスムーズな検討が可能です。

9.治療実績

当センターでは、2002年4月から2025年12月までに延べ3,806件のガンマナイフ治療を実施しています。
そのうち、脳動静脈奇形(AVM)は554件です。
ガンマナイフ治療の対象疾患は時代とともに変化しており、近年では、転移性脳腫瘍に対するマスク固定による分割照射も増加しています。三叉神経痛などの機能的疾患にも対応しています。
疾患によっては、手術や血管内治療と組み合わせた集学的治療を検討する場合があります。

年次別ガンマナイフ治療件数の推移

転移性脳腫瘍

5年間再発なく病変コントロールを維持しています。

転移性脳腫瘍の治療後比較

脳動静脈奇形

脳動静脈奇形(AVM)外来
「循環器病について知る」脳動静脈奇形もご覧ください。

三叉神経痛

三叉神経痛は循環器病について知る「三叉神経痛・顔面けいれん」もご覧ください。

10.よくあるご質問(FAQ)

担当医顔写真

ガンマナイフ治療に関してよくいただくご質問をまとめました。副作用や入院期間、費用、固定方法などについてご説明しています。
こちらに記載のないご不明点は、担当医または外来までお気軽にお問い合わせください。

ガンマナイフ治療について

Q.脳以外の場所の治療はできますか?
A.ガンマナイフは脳疾患専用の定位放射線治療装置であり、肺や脊髄などの病変は対象外です。
Q.治療は何回も行うのでしょうか?
A.原則として1回の照射で治療を完了します。
ただし、マスク固定の場合は「寡分割照射」や「多段階照射」などを行うことがあり、複数回に分けて照射しても一連の治療として1回と数えます。
また、疾患や病変の性質によって、照射後に効果が現れるまでの期間は異なります。詳細は担当医にご相談ください。

ガンマナイフ入院について

Q.入院期間はどのくらいですか? 日帰り治療は可能ですか?
A.原則として2泊3日または1泊2日です。
AVMや事前検査が必要な場合には2泊3日となります。
マスク固定による分割照射では日帰り治療も可能です。詳細は担当医にご相談ください。
Q.費用はどのくらいかかりますか? 保険は使えますか?
A.多くの疾患は保険適用対象です。以下は一例です。

区分 自己負担額(概算)
70歳未満 3割負担 約18万円
70歳以上 1割負担 約5万円
70歳以上 3割負担 約9万円
自費 約50万円
Q.薬を飲んでいますが、治療前に中止が必要ですか?
A.多くのお薬については、治療前に中止する必要はありません。
ただし、一部のお薬では中止や用量の調整が必要となる場合があります。
詳しくは入院時に確認いたしますので、入院日数分のお薬を必ずご持参ください。
(外来受診時にはお薬手帳をご持参ください)

固定方法について|フレーム固定

Q.なぜフレーム固定が必要なのですか?
A.ガンマ線を正確に病変に集中照射するためには、頭部の位置を高精度に保つ必要があります。そのため、専用の金属フレームで頭部を固定します。フレームは局所麻酔を行ったうえで装着し、治療後はすぐに取り外されます。
Q.フレームのピンはどこまで刺さるのですか?
A.頭蓋骨の表面までです。骨を貫通することはありません。
Q.傷跡は残りますか?
A.一時的に点状のあとが残ることがありますが、数日で目立たなくなります。
洗顔・洗髪も、翌日から問題なく行っていただけます。
Q.髪を剃る必要はありますか?
A.髪を剃ったり短くする必要はありません。
Q.フレーム固定は痛いと聞きました。
A.フレーム装着時には局所麻酔の注射で一時的な痛みを伴うことがありますが、その後は徐々に軽減されます。
装着処置の際には、鎮痛薬や鎮静薬を併用し、不安が強い場合は抗不安薬の使用も可能です。
また、治療後に頭の「じわじわする感じ」や軽い痛みが出ることがありますが、多くは1時間以内におさまり、必要時は内服薬で対応します。
Q.全身麻酔は可能ですか?
A.10歳以下のお子さまには全身麻酔を使用します。
成人の場合は、原則として局所麻酔で対応しますが、不安の強い方には鎮静薬で「うとうとした状態」で治療を受けていただくことも可能です。
お気軽にご相談ください。

固定方法について|マスク固定

Q.マスク固定とはどのような方法ですか?
A.マスク固定とは、熱で柔らかくなる樹脂製のマスクを顔に合わせて成形し、治療中の頭部を安定させる方法です。
痛みを伴う処置はなく、フレームを使わないため身体への負担が少ないのが特徴です。
Q.マスク固定でも照射の精度は大丈夫ですか?
A.当院で使用しているガンマナイフICON®では、マスク固定でも0.15mmの位置精度を確保する設計となっています。
頭部の位置は、照射中もリアルタイムで監視・自動補正されるため、安全かつ正確に治療を行うことが可能です。
Q.どのような場合にマスク固定が選ばれますか?
A.主に以下のようなケースでマスク固定が適応となります:
  • 転移性脳腫瘍など、寡分割照射(数日に分けた照射)が必要な場合
  • フレーム装着の負担を避けたい方
  • 外来日帰り治療を希望される方 など
一方で、高精度が求められるAVMや小病変への単回照射では、フレーム固定が適している場合もあります。また、閉所恐怖症のある方には、マスク治療が難しい場合もあります。
最終的には、疾患の種類・照射範囲・ご本人のご希望などを総合的に考慮し、担当医が適切な固定方法を判断いたします。
Q.マスク固定でも痛みはありますか?
A.マスクの装着自体は痛みを伴いません。
やや圧迫感を感じることがありますが、リラックスしていただけるようスタッフがサポートします。
Q.マスク固定の作成にはどのくらい時間がかかりますか?
A.初回の固定作成にはおおよそ20分程度かかります。
その後は毎回同じマスクを使用しますので、2回目以降の治療ではすぐに始められます。
Q.日帰り治療は可能ですか?
A.はい、マスク固定で分割照射を行う場合には日帰りでの対応が可能です。
ただし、事前検査の結果や全身状態によっては入院をお願いすることもありますので、詳細は外来でご案内いたします。

ガンマナイフ治療中のこと

Q.治療時間はどれくらいかかりますか?
A.治療部位や大きさにより異なります。照射時間は、治療計画が完了した段階で正確にお伝えいたします。
Q.治療中は絶食でしょうか。
A.フレーム装着後の検査までは絶食となります。フレーム装着している状態ですので、装着中は咀嚼が難しいため、昼食にはパンなど手で食べられるものをおすすめしています。
治療中も飲水は可能ですので、ストローをご持参いただくと水分補給がしやすくなります。
マスク固定の場合には、食事制限はありません。
Q.トイレが近いので心配です。
A.照射中でも遠慮せずにスタッフにお申し出下さい。一時休憩を挟み、途中から照射を再開することが可能です。

治療後について

Q.治療後の制限はありますか。
A.特別な制限はありません。治療後はそのまま日常生活にお戻りいただけます。
Q.髪の毛は抜けますか。
A.多くの場合、脱毛の心配はありません。
ただし、脳表に近い病変に照射した場合には、2〜3週間後に一時的な脱毛が生じることがありますが、その後再生しますのでご安心ください。
Q.副作用が心配です。
A.副作用の有無や内容は、病変の部位・大きさ・患者さんの状態によって異なります。
治療をご相談いただく際には、お一人おひとりに応じて、治療による効果と副作用の可能性について丁寧にご説明いたします。
当院では、疾患や病変の状態を総合的に評価し、治療の目的と想定される変化をご説明したうえで、ガンマナイフ治療を検討しています。
Q.治療後の定期検査はどうなりますか?
A.原則として、治療後3か月ごとの外来通院をお願いしています。
経過が安定してくれば、6〜12か月ごとの通院に切り替えます。
遠方にお住まいで通院が難しい方には、紹介元の医師と連携し、検査画像や所見をご提供いただく形での経過観察も可能です。

11.関連情報

2026年1月31日(土)

【開催報告】第1回 Kansai Gamma Knife Café を開催しました(大阪・吹田)

ワークステーションを用いたガンマナイフ治療計画のワークショップを開催しました。

2026年2月19日(木)

【書籍刊行】『集学的治療 脳神経外科手術×放射線治療』(メディカ出版)

脳神経外科医長 森 久恵 編著。ガンマナイフを含む集学的治療の実践をまとめた書籍です。


ガンマナイフ治療,脳神経外科 の取り組みについては、国循広報誌でも詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。

最終更新日:2026年04月17日

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