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血管外科

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1.はじめに

一人ひとりの患者さんに最適な治療を選ぶことを心がけています

体に優しい(低侵襲)治療が広まっていますが利点だけではありません。確立された手術にも、新しいカテーテル治療にも精通した専門医が、病気の重症度や特性だけでなく全身状態も考えて、最適な治療をおすすめしています。

救急搬送を断りません

豊富なマンパワー(医師、看護師、技師、パラメディカルスタッフ)と充実した施設を最大限に生かして、複数の緊急手術を行う体制を整えています。
(手術室が満杯の時に、一年間に2例だけお断りしました。2018年、2019年実績)

2.血管外科の病気

国立循環器病研究センター血管外科は、心臓から送り出された血液が全身に流れる「大動脈」、大動脈から枝分かれして上肢や腹部内臓や下肢の末梢にまで血液を送り込む「動脈」、末梢から心臓に血液が戻る時に流れる「静脈」と「大静脈」、心臓から肺に血液を送り込む「肺動脈」の病気を治療しています。
脳の血管の病気である脳卒中は神経内科や脳神経外科が治療し、心臓の冠動脈の病気である狭心症や心筋梗塞は循環器内科や心臓外科が治療しています。
血管の病気は大きくなって破裂してしまう拡張性の病気と、狭くなって詰まってしまう閉塞性の病気に分けることができます。
「大動脈」の病気のほとんどは大きくなる病気で、"大動脈瘤"と"大動脈解離"が大半を占めます。大動脈瘤破裂や急性大動脈解離は即座に生命にかかわる病気です。
「動脈」では手や足の動脈が閉塞する病気が最も多くみられます。腹部内臓の「動脈」の病気は稀ですが、動脈瘤の割合が多く、腎動脈には狭窄や閉塞もよく見られます。いずれの動脈も、急に閉塞すると激しい症状が現れて緊急手術が必要になりますが、徐々に動脈が閉塞するときには、症状も徐々に現れます。
「静脈」の病気で最も多いのは"下肢静脈瘤"ですが、生命に危険を及ぼすことはほとんどありません。一方、静脈内に血栓ができる"静脈閉塞"は、エコノミークラス症候群として有名な"急性肺動脈塞栓症"を起こすと生命にかかわる病気になります。
「肺動脈」の病気で最も多いのは肺高血圧症で、その内の"肺動脈血栓塞栓性肺高血圧症"は手術治療が可能ですが、大変、難度の高い手術です。

3.血管外科の手術

国立循環器病研究センターでは、年間200例から250例の胸部大動脈、150例から200例の腹部大動脈の手術を行ってきました。肺動脈の手術は年間10例から20例と少ないのですが、開設以来の総数は250例以上で日本では最多の手術数です。足や手の動脈の手術は70例から80例(透析患者さんのシャント手術を含む)行っています。2018年から下肢静脈瘤のレーザー治療を開始し、2019年は92例の下肢静脈瘤手術を行いました。(図1)

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図1:国立循環器病研究センター血管外科での手術数

血管外科の病気は極めて緊急性の高いことがあります。救急医をはじめ、救急隊や救急受入病院の医師の血管外科の病気に対する理解が進み、医療機器の充実もあって、手遅れにならずに搬送されることが増えています。しかし、突然死の原因になる大動脈瘤の破裂や大動脈解離は、脈のあるうちに病院にたどり着けるかどうか、手術室にたどり着けるかどうか、と言うほどの緊急性があります。
大動脈に対する緊急手術の割合は年々増加しています。特に胸部大動脈では急性大動脈解離の手術が多く、最近は胸部大動脈の手術の1/3が緊急で行われています。腹部大動脈でも緊急手術が全体の1割を超えています。(図2)
緊急手術を行うためには、CT検査、血液検査、手術、輸血などを即座に行える態勢が必要です。血管外科医だけではなく、救急患者を受け入れるための救急担当医、看護師、臨床検査技師、レントゲン技師、手術を行うための麻酔科医、看護師、臨床工学技師、術後の集中治療のための集中治療医や看護師などの医療関係者のほか、それらを支える多くのスタッフを含む大きなチームが必要です。国立循環器病研究センターでは、常時、複数の大動脈緊急手術が行える態勢を整えています。

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図2:胸部大動脈手術の緊急手術の割合

4.大動脈の手術方法

大動脈の標準的な術式である人工血管置換術は、開胸や開腹に加えて、大動脈の血流を一時的に遮断する必要があります。胸部大動脈の手術では心臓手術と同じく体外循環装置が必要で、さらに、低体温や循環停止、脳潅流と言った特別な補助手段が必要となることも稀ではなく、侵襲(体の負担)の大きい"しんどい"手術です。
大動脈の手術を受けられる患者さんの中には、高齢であったり、他の病気を持っておられる方が多く、"しんどい"手術に耐えられない可能性が高くなります。そういった患者さんのために、カテーテル手技によるステントグラフト内挿術が開発され、国立循環器病研究センターでは2007年から本格的に導入しています。
ステントグラフト内挿術の割合は、胸部大動脈では3割近くですが、最近では大動脈解離の治療にもステントグラフト内挿術を用いており、手術成績が向上しています。腹部大動脈では半数以上の手術がステントグラフト内挿術により行われています。(図3)
ステントグラフト内挿術が導入されてから10年が経ち、いい点や改善すべき点が次第に明らかになってきました。一方、人工血管置換術は長い歴史の中で改善が重ねられてきた確実性の高い手術です。
国立循環器病センター血管外科では、人工血管置換術とステントグラフト内挿術の両方に精通した外科医がそれぞれのいい点や"しんどい"点を比較して、一人ひとりの患者さんに最も適した治療方法を勧めています。

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図3:大動脈の手術におけるステントグラフト内挿術の割合

施設認定

  • 日本心臓血管外科学会 心臓血管外科専門医認定機構認定修練施設
  • 日本外科学会 外科専門医制度修練施設
  • ステントグラフト実施基準管理委員会 ステントグラフト認定施設

最終更新日 2020年06月12日

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