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脳神経外科

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国立循環器病研究センター脳神経外科発行の広報誌「NCVC Neurosurgery」をPDFでご覧いただけます。
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  • 最新臨時増刊号【2023.6】

    国循脳外科臨床研修紹介

バックナンバー

  • NCVC Neurosurgery vol.32022/7 Vol.3
    特集「頚動脈狭窄症治療Update」
  • NCVC Neurosurgery vol.22021/3 Vol.2
    特集「脳血管内治療最前線」
  • NCVC Neurosurgery vol.12020/8 創刊号
    特集「脳動脈瘤治療の最前線」

国立循環器病研究センター脳神経外科は、1978年の開設以来、脳脊髄血管障害の克服に重点的に取り組んでまいりました。現在、単一診療科内で顕微鏡手術(microsurgery)、血管内治療、定位放射線照射(ガンマナイフ)を最高水準で実施できることを至上命題とし、病態に応じて複数の治療法を組み合わせることで困難な脳疾患に立ち向かっています。

1. 脳卒中急性期治療

本邦における、包括的脳卒中センターのモデルとなるべく、脳卒中(くも膜下出血・脳出血・脳梗塞)に対する急性期治療に全力を注いでいます。一般病棟42床の他に脳神経外科治療専用の集中治療室(NCU)15床を完備し、さまざまな御施設から多くの急性期症例をお受けしています。直達手術、血管内治療のいずれも365日24時間体制で即応可能であり、個々の症例に応じた治療モダリティを適用しています。また最善の脳卒中医療を行うためには、最高水準の脳卒中内科医の存在が不可欠です。当科は脳卒中内科として本邦一のマンパワーと診療実績を誇る脳血管内科・脳神経内科と常時綿密に連携し、内科・外科両面から最善の治療選択を可能とするシステムを確立しています。

2. 脳卒中の予防的治療・慢性期治療

(1) 未破裂脳動脈瘤

数多くのクリッピング・コイル塞栓術治療実績がありますが、その治療適応決定については最も厳格な姿勢を貫いています。すなわち、サイズ、部位、患者年齢からみて十分に経過観察可能と考える病変には外科治療を勧めないということです。

これまでのメタアナリシスから日本人の脳動脈瘤は欧米と比較して破裂率が高いことが知られています。一方でUCAS Japan Studyで日本人独自の破裂率が明らかとなり、小型でも危険なもの、そうでないものが(完全ではないものの)かなり判別できるようになってきました。当科では常に上記研究における年間破裂率、患者の平均余命に基づく生涯累積推定破裂率を提示するとともに、当科での治療成績を示した上で治療を行うか否かを患者・家族と一緒に考えています。一方で、予後の極めて悪い硬膜内巨大脳動脈瘤など、難疾患のご紹介も多く受けています。単純な戦略では太刀打ちできない病変であっても、脳血管深部バイパスや頭蓋内ステントを併用したり、ハイブリッド手術室での直達手術-血管内同時治療を採用したりすることで、多くの病変が治療可能となっています。

(2) 脳動静脈奇形

脳動静脈奇形は複雑な血管形態・血行動態を有するため、破裂急性期に血腫とともに全摘可能な例は少数です。多く場合、さまざまな急性期治療を経て慢性期に根治治療が検討されます。また一方、未破裂の病変であっても特に若年者では長期にわたる破裂リスクを負うため、安全な根治治療の可能性を検討する必要があります。顕微鏡手術・血管内治療・ガンマナイフの3者を高水準で実施できることを科是とする当科は、これらモダリティを駆使して脳動静脈奇形の安全な治療に全力を挙げています。患者さまご紹介の窓口として「AVM外来」を設置しています。

(3) もやもや病

当科は国内屈指のもやもや病治療センターであり、患者さまご紹介の窓口として「もやもや病外来」を設置しています。虚血発作を呈するもやもや病に対してはSPECTおよびPETを用いた詳細な脳循環評価を行い、バイパス手術の適応があるか否かを決定します。乳児から成人まで患者年齢はさまざまですが、手術は原則全例に直接バイパス術(顕微鏡下血管吻合術)を実施し、小児例には直接バイパス術に加えて間接バイパス術(脳-側頭筋癒合術)を併用します。中大脳動脈領域に対する手術がメインですが、特に小児では必要に応じて、前大脳動脈や後大脳動脈領域に対するバイパス手術も実施しています。

本疾患は術後も長期の観察・ケアが必要であり、当科外来で責任を持って継続診療させていただきます。

(4) 頚動脈狭窄症

当科は開設以来、数多くの患者さんに対して頚動脈内膜剥離術(CEA)や頚動脈ステント留置術(CAS)治療を行ってまいりました。未破裂脳動脈瘤同様、その治療適応決定については厳格な決定しており、脳血管内科・脳神経内科と合同の頚動脈カンファレンスにて一例一例協議した上で、治療方針を決定しています。

最近の内科治療の進歩により、無症候性の頚動脈狭窄に対する外科的血行再建術の適応はより厳格になってきています。その中で、頚動脈エコーやMRIプラークイメージを行ってハイリスクと考えられる症例を抽出して、CEAやCASを行っています。CEAかCASかの選択では、それぞれのリスク因子を症例ごとに比較して、より安全確実な方法を選択しています。また、双方ともハイリスクと考えられる症例に対しては、ハイブリッド手術室を用いた複合治療を行っています。

(5) 硬膜動静脈瘻

耳鳴りや眼球充血などでご紹介いただく場合が多いですが、最近は脳ドックなどで偶然発見されるケースも増えてきています。当科ではこれまで多くの患者さんを主に血管内治療で治療してきました。低侵襲で治療できる反面、治療の戦略が適切でないと根治に至らなかったり、治療の合併症を生じたりするため、血管内治療の経験が豊富な医療機関での治療が望ましい疾患です。

(6) 脳腫瘍

脳腫瘍の治療にも積極的に行っています。脳実質外良性腫瘍(頭蓋底髄膜腫など)は脳血管疾患と同じように、血管内手術の併用を含めた綿密な治療計画と顕微鏡手術の技量で患者予後が決まるといっても過言ではありません。また、ガンマナイフ(定位放射線治療)は良性腫瘍のみならず、悪性腫瘍の脳転移巣に対する低侵襲かつ極めて有用な治療法であり、他の医療機関から多くの患者さんを受け入れ、照射を行っています。当科では週2回の「ガンマナイフ外来」を開設しており、新規のご紹介ならびに照射治療後のフォローアップを行っています。

(7) 三叉神経痛・顔面痙攣

脳血管による神経の圧迫で生じる病気で、微小血管減圧術は根治性の高い治療です。脳血管障害の外科手術で培った技術を用いて、この手術も積極的に行っています。また、三叉神経痛で、高齢者や全身状態不良で手術が好ましくない場合や、術後に症状が再発する難治例に対して、ガンマナイフ治療も行っています。

患者さんの紹介や相談について

一般病棟42床の他に脳神経外科専用の集中治療室(NCU)15床を完備しており、急性疾患を24時間体制で受け入れています。脳血管造影(カテーテル検査)を含む種々の緊急検査、緊急開頭手術、緊急血管内治療を常に迅速に提供することができます。

最善の脳卒中医療を行うためには、最高水準の脳卒中内科医の存在が不可欠です。当科は脳卒中内科として本邦一のマンパワーと診療実績を誇る脳血管内科・脳神経内科と常時綿密に連携し、内科・外科両面から最善の治療選択を可能とするシステムを確立しています。

急性期治療と同様に、予防的治療にも全力を注いでいます。外来受診ご希望の患者さんがおられましたら、必ず専門医療連携室から事前に脳外科専門外来、もしくは特殊外来のご予約をお取りください。
診療情報提供書、レントゲン、CT、MRIの画像データもしくはフィルム、検査データなどの資料をご用意下さい。

脳血管疾患関連の病気について、患者の皆様向けにその原因や治療法などを分かりやすくご紹介しています。
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最終更新日:2023年12月19日

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