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心血管リハビリテーション科

対象疾患・治療法

A. 対象となる患者

現在我が国で、心臓リハビリテーション(心リハ)が保険適応となっているのは、以下7つの疾患群です。

    1. 急性心筋梗塞
    2. 狭心症
      冠動脈のカテーテル治療(ステント植込み術など)後も含まれます。
    3. 心臓術後
      冠動脈バイパス術、弁膜症手術、心臓移植などが含まれます。
    4. 慢性心不全
      保険適応となる慢性心不全として、(1)左室駆出率40%以下、(2)血液検査でBNP 80pg/ml以上または NT-proBNP 400pg/ml以上、(3)心肺運動負荷試験(CPX)における最高酸素摂取量 80% 以下、のいずれかの条件を満たすことが必要です。
      逆に、3条件のいずれかを満たすことで、不整脈や慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)などの疾患でも、慢性心不全として心臓リハビリを受けることができます。
    5. 大血管疾患(大動脈瘤、大動脈解離など)
      大動脈瘤術後、急性大動脈解離術後などが含まれます。
    6. 末梢動脈疾患
      足の動脈が動脈硬化で狭くなり、歩くと足が痛くなる病気です。
    7. 経カテーテル大動脈弁置換術後
      重症の大動脈弁狭窄症(大動脈弁が硬くなり十分に開かなくなる病気)に対して実施するカテーテル治療のことです。
    8. (慢性)肺高血圧症
      肺動脈性肺高血圧、または慢性血栓塞栓性肺高血圧症であって、
      WHO肺高血圧症機能分類Ⅰ~Ⅲ度の状態。

B. 検査法

  1. 心肺運動負荷試験(運動耐容能検査、CPX)
    呼吸気中の酸素や二酸化炭素を、顔に密着させたマスクで測定しながら、自転車エルゴメータを体力の限界までこぐ検査です。この検査により、生命予後と強く関連する最高酸素摂取量(運動耐容能の指標)や、嫌気性代謝閾値(筋肉から乳酸産生が増加し始める時点)、運動中の心電図や血圧の変化など、重要な指標が多く得られます。当院心リハでは、5ヶ月間のプログラムの開始時と終了時にCPXを実施してリハビリ効果を評価し、その結果をもとに、患者ごとに最適な運動量や強度を設定しています(運動処方)。
  2. 6分間歩行テスト
    平地を6分間できるだけ速く歩いた距離を測定する検査です。運動耐容能の指標であり、CPXで得られる最高酸素摂取量に比べて、生命予後との関連では劣りますが、容易に得られるのが特徴です。CPXの実施が困難な症例で、プログラムの開始時と終了時に実施しています。
  3. 膝伸展筋力測定
    膝を伸ばす時の大腿四頭筋の筋力を、ハンドヘルドダイナモメーターという簡易筋力計で測定する検査です。この検査もプログラムの開始時と終了時に実施し、下肢筋力のリハビリ効果を評価しています。

C. 治療法(実施内容)

  1. 運動療法
    トラック歩行、自転車こぎ、エアロビクス体操、低強度レジスタンス運動、などの運動療法を組み合わせて実施します。医師や理学療法士らの専門スタッフの監視と指導のもと、安心・安全に運動療法を実施することができます。
  2. 個別面談
    心臓病の病状、運動療法、食事療法、禁煙、自己管理方法、日常生活での注意事項、社会復帰などについて、医師と看護師より適宜説明や指導、アドバイスをします。退院時とプログラム終了時の個別面談で、患者ごとに最適な運動量や強度を設定します(運動処方)。
  3. 集団講義(心臓病教室)
    医師・看護師・栄養士・薬剤師・理学療法士・健康運動指導士らによる集団講義に参加することで、心臓病、生活習慣病、食事療法、薬物療法、禁煙、日常生活の注意点、心肺蘇生法などについて学ぶことができます。心リハに参加した患者とその家族は自由に参加できます。

最終更新日:2024年09月30日

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