国立循環器病研究センター

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循環器病対策情報センター

はじめに

循環器病の診療情報を収集することは、個々の患者に対する適切な医療の提供や、循環器病の発症状況や診療情報等の現状の把握に基づいた、予防、医療機関の整備、研究の推進等の循環器病対策を進めていく上で重要です。
2019年7月にとりまとめられた「非感染性疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会」報告書や、2019年12月に施行された「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」に基づき、2020年10月に閣議決定された「循環器病対策推進基本計画」で、公衆衛生への活用及び急性期医療への活用を目的として、「まずは、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、急性冠症候群、急性大動脈解離及び急性心不全(慢性心不全の急性増悪を含む。)に係る診療情報を収集・活用する仕組みを構築する」ことが求められています。

収集の体制

国立循環器病研究センターでは、循環器病の診療情報収集のための組織として、2021年9月より「循環器病対策情報センター」を立ち上げるなど収集事業開始に向けた体制整備を進めています。

センター長 ごあいさつ

 循環器病対策情報センター長 飯原弘二

我が国における死亡原因として、心臓病は第2位、脳卒中は第4位をしめ、合わせて(脳卒中と心臓病、その他を総称して、循環器病と呼びます)全体の約20%を占めており、年間31万人以上の国民が亡くなっています。2025年には、団塊世代が後期高齢者に突入し、65歳以上の人口が約30%に、75歳以上の人口が約18%に達し、今後さらに高齢化率が上昇すると推測されています。循環器病は、介護が必要となった主な原因の約20%、医療費も約20%と最多となっています。
2018年12月に、「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」に基づき、2020年10月に閣議決定された「循環器病対策推進基本計画」で、公衆衛生への活用及び急性期医療への活用を目的として、「まずは、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、急性冠症候群、急性大動脈解離及び急性心不全(慢性心不全の急性増悪を含む。)に係る診療情報を収集・活用する仕組みを構築する」ことが求められました。
そこで、国立循環器病研究センターでは、循環器病の診療情報収集のための組織として、2021年9月より「循環器病対策情報センター」を立ち上げるなど収集事業開始に向けた体制整備を進めています。国から委託された事業として、「非感染性疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会報告書」でまとめられた6疾患を対象とした循環器病登録の準備を進めています。また、2022年に開催された第11回循環器病対策推進協議会(以下、協議会)において、医療情報利活用の取組の現状をふまえた循環器病データベース構築の方向性が示され、その利活用のニーズとして、1)公衆衛生への活用、2)医療の質の向上、3)患者相談支援の充実、4)学術研究等への活用、等が挙げられました。
世界で最も進んだ超高齢社会である日本では、2040年には少子高齢化や労働力人口の減少が進み、医療・介護サービスの需要が高まり、社会制度そのものの存続が危ぶまれています。今後、循環器病対策を持続可能性のある形で推進していくためには、確かな疫学指標をもとに、医療情報の標準化、IT技術を活用した業務効率化、デジタルヘルス、遠隔医療、AI技術による診療サポート等の活用した、総合的な循環器病対策を推進するための情報基盤を構築することが喫緊の課題です。循環器病対策情報センターでは、循環器病の克服を目指した対策に資する研究と事業を両輪とし、組織横断的な情報基盤を構築して、世界に対して先進的な循環器病対策の推進モデルを発信します。
循環器病対策は、国民、医療従事者、行政、病気を経験された患者・患者、関連する企業が一体となり推進しなければ、効果的な対策を進めることは困難です。皆様のご理解とご協力をどうぞよろしくお願い致します。

国立研究開発法人 国立循環器病研究センター
循環器病対策情報センター長 飯原弘二
Koji Iihara, MD, PhD
Director, Center for Stroke and Cardiovascular Disease Informatics

センター長 略歴

1987年3月京都大学医学部医学科 卒業
1987年6月京都大学医学部付属病院脳神経外科 研修医
1988年3月天理よろづ相談所病院脳神経外科 医員
1989年4月静岡県立総合病院脳神経外科 医員
1990年4月京都大学大学院医学研究科 入学
1994年3月京都大学大学院医学研究科 修了
1994年4月国立循環器病センター脳血管外科 医員
1994年9月国立循環器病センター研究所病因部脳外科研究室 室員
1995年6月市立舞鶴市民病院脳神経外科 副医長
1996年4月市立舞鶴市民病院脳神経外科 医長
1997年4月カナダ トロント大学医学部 Research Fellow
1999年7月カナダ トロントウエスタン病院 Clinical Fellow
2000年7月国立循環器病センター脳血管外科 医員
2004年10月国立循環器病センター脳血管外科 医長
2009年7月国立循環器病センター脳血管外科 部長
2009年11月京都大学医学部 臨床教授
2010年4月国立循環器病研究センター 教育・研修部長(併任)
2010年9月国立循環器病研究センター 脳血管部門長
2013年10月九州大学大学院医学研究院脳神経外科 教授
2017年4月国立循環器病研究センター 副院長(非常勤・兼任)
2018年4月九州大学病院 病院長補佐(併任)
2020年4月国立循環器病研究センター 病院長
2021年9月国立循環器病研究センター 循環器病対策情報センター長(併任)
2025年4月国立循環器病研究センター 循環器病対策情報センター長
国立循環器病研究センター 人間ドックセンター長(併任)
国立循環器病研究センター 次世代医療研究部長(併任)

研究活動 *循環器病対策に関係する公的研究(代表分のみ)

厚生労働科学研究費補助金 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業(平成22~24年度)
「包括的脳卒中センターの整備に向けた脳卒中の救急医療に関する研究」(J-ASPECT Study)
総務省消防防災科学技術研究推進制度(平成23~25年度)
「救急搬送の予後向上に向けた医療機関との情報の連結に関する研究」
科学研究費助成事業 基盤研究B(平成25~28年度)
「DPC情報を用いた脳卒中大規模データベースによるベンチマーキングに関する研究」
厚生労働科学研究費補助金 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業(平成25~27年度)
「脳卒中急性期医療の地域格差の可視化と縮小に関する研究」
日本医療研究開発機構研究費 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業(平成26~28年度)
「脳卒中後遺症の低減に向けた汎用性の高い革新的治療法の開発」
日本医療研究開発機構研究費 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業(平成27~28年度)
「脳卒中を含む循環器病対策の評価指標の開発に関する研究」
日本医療研究開発機構研究費 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業(平成28~29年度)
「脳卒中を含む急性循環器疾患の救急医療の適確化をめざした臨床指標の確立に関する研究」
厚生労働科学研究費補助金 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業(平成28~30年度)
「脳卒中の医療体制の整備のための研究」
日本医療研究開発機構研究費 医療機器開発推進研究事業(平成28~30年度)
「脳卒中高リスク群を抽出する革新的な臨床診断意思決定システムの開発に関する研究」
日本医療研究開発機構研究費 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業(平成29~令和元年度)
「脳卒中を含む循環器病対策の評価指標に基づく急性期医療体制の構築に関する研究」
科学研究費助成事業 基盤研究B(平成30~令和3年度)
「脳卒中のLearning Healthcare Systemに関する研究」
厚生労働科学研究費補助金 政策科学総合研究事業(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究事業)
「Precision medicineの確立に資する統合医療データベースの利活用に関する研究」(令和元~2年度)
日本医療研究開発機構研究費 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業(令和元~2年度)
「脳卒中のQOLと医療経済評価法の開発に関する研究」
日本医療研究開発機構研究費 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業(令和2~4年度)
「超高齢社会における健康寿命の延伸を目指した脳卒中予後予測モデルの開発」
厚生労働科学研究費補助金 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業(令和3~4年度)
「Value-based medicineの推進に向けた循環器病の疾患管理システムの構築に関する研究」
科学研究費助成事業 基盤研究B(令和4~7年度)
「脳卒中・心臓病のCircular Healthcare Systemに関する研究」
国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部横断的研究推進費(令和4~6年度)
「スマートヘルスケアシステムの基盤構築に関する研究」
厚生労働科学研究費補助金 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業(令和4~6年度)
「脳卒中・循環器病のEvidence-based policy makingの推進に関する研究」
厚生労働科学研究費補助金 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業(令和5~6年度)
「循環器病のデジタルヘルスの推進に関する研究」
厚生労働科学研究費補助金 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業(令和6~7年度)
「循環器病対策の進捗評価法の確立を目指した研究」
厚生労働科学研究費補助金 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業(令和6~7年度)
「脳卒中急性期医療の均てん化を加速するための研究」
日本医療研究開発機構研究費 優れた医療機器の創出に係る産業振興拠点強化事業(令和6年度)
「循環器疾患の革新的な医療機器の創出と支援人材を育む産業振興拠点」

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