国立循環器病研究センター

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循環器病対策情報センター ニュースレター Vol. 20(2026.9.30)

地域をつなぎ、患者を支える―総合支援センターの新たな挑戦―
「第1回脳卒中・心臓病等総合支援センターへの支援にかかる全体会議」
開催報告(1)

循環器病対策情報センター長
飯原弘二

 

令和8年(2026年)9月17日、国立循環器病研究センターは、「第1回脳卒中・心臓病等総合支援センターへの支援に関する全体会議」(以下、全体会議)を開催しました。本会議の目的は、循環器病対策情報センターが中心となり、国と協力し、全国の都道府県における脳卒中・心臓病等総合支援センター(以下、総合支援センター)の整備・運用状況を共有し、地域の実情に応じた実効性のある循環器病対策を推進することです。全体会議では、全国の総合支援センターの責任者・担当者、都道府県行政担当者に参加を呼びかけ、ハイブリッド形式(WEBおよび現地開催)で開催しました。本事業に対する関係者の関心は大変高く、当日の参加者は、全国の98機関から212名で、活発な討議が行われました。本稿では、グループ討議に至るまでの全体会議の概要について報告します。

1.開会および全体会議の趣旨説明(資料1)

会議の冒頭、循環器病対策情報センター長 飯原弘二より、「全体会議」の趣旨の説明がありました。我が国の循環器病対策は、「循環器病対策推進基本計画」に基づき、2040年までに3年以上の健康寿命の延伸および年齢調整死亡率の減少を全体目標として掲げています。この目標を達成するためには、急性期の救命医療から回復期、生活期・維持期に至るまで、切れ目のない診療提供体制を構築することが不可欠です。特に、脳卒中や心臓病の患者が住み慣れた地域で自分らしく働き、暮らすための「社会で生き続けるための支援」が重要視されています。生産年齢層での発症によるキャリアの断絶や離職を防ぎ、医療と雇用をつなぐ架け橋となる「社会インフラ」として、総合支援センターが伴走支援を行う必要性が強調されました。また、都道府県の循環器病対策担当部局と総合支援センターが一体となり、地域の課題把握から施策の企画・実行に至るまで協働を深める重要性が示されました。

2.厚生労働省からの行政報告(資料2_1)

続いて、厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課 松浦朋美課長補佐より「循環器病対策について」の行政報告が行われました。 循環器病対策基本法および第2期循環器病対策推進基本計画の概要が示され、保健・医療・福祉サービスの提供体制の充実に関する各種施策(予防・健診の推進、救急搬送・医療体制の構築、リハビリテーション、緩和ケア、治療と仕事の両立支援、小児期・若年期からの移行医療、相談支援等)について説明がありました。 また、令和8年度の循環器病対策予算および「脳卒中・心臓病等の対策に係る総合推進事業」のスキームが紹介され、同年2月に発出された「脳卒中・心臓病等総合支援センターの整備に関する指針」に基づき、各都道府県における円滑なセンター運営と予算確保(特別対策事業費の活用等)に向けた国の支援方針が示されました。最後に、全国の総合支援センターから、都道府県を経て、国に提出予定の、脳卒中・心臓病等総合支援センター年次報告書(案)が示されました。

3.都道府県アンケート結果の報告(資料3)

循環器病対策情報センター 都道府県支援班 副主査の渡邉至より、「脳卒中・心臓病等総合支援センターの整備に関する都道府県アンケート結果」が報告されました。本調査は2026年6月に全国の都道府県担当者を対象に実施され、回収率は100%でした。

  • 整備・選定状況: 総合支援センターの選定および循環器病対策推進協議会等の開催率が100%に達しています。選定形態としては「1か所」が87%を占め、選定方法は「関係機関調整」が68%でした。配置されている職種は、医師(85%)、看護師(85%)、事務職(81%)、社会福祉士(74%)、リハビリ専門職(57%)、管理栄養士(47%)、薬剤師(45%)など多岐にわたっています。
  • 予算と課題: 令和8年度の総合支援センターの予算総額は800〜1199万円の規模が最も多く、特別対策事業費の活用率は96%に上ります。一方で、人材確保の面では「できている」が60%である一方、「できていない」が40%存在し、社会福祉士や看護師・保健師、事務職員等の専従人材の不足や、補助金の継続性に対する不安が挙げられました。また、事業を推進する上での問題点として、役割分担や標準的マニュアルの整備、データ収集・評価指標の統一などを求める声が多く寄せられました。
  • 期待される支援: 循環器病対策情報センターに期待する支援として、「事例の共有(好事例・難事例)」(79%)、「予算獲得のための計画策定支援」(70%)、「相談支援の質向上のための人材育成」(57%)などが上位に挙げられました。

4.宮城県の取り組み紹介(資料4)

東北大学病院循環器内科の安田聡教授より、「宮城県脳卒中・心臓病等総合支援センターの取組」が紹介されました。 宮城県では、東北大学病院内に設置された総合支援センターにおいて、医師、看護師、医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)等の多職種チームが相談窓口および病棟からの依頼に対応し、相談件数はこれまでの累計で3,343件に及んでいます。 具体的な取り組みとして、以下の先進事例が報告されました。

  • 多職種による包括的相談支援: 心不全患者に対するアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の実施や在宅強心剤持続投与を見据えた多職種カンファレンスによる在宅療養への移行支援、肺高血圧症患者における入院前から退院後を見据えた地域包括支援センター・ケアマネジャーとの連携、脳卒中後の失語症患者に対する患者会や自治体の自立訓練事業、意思疎通支援者派遣事業の紹介など、多職種連携による支援を積極的に推進しています。
  • 地域支援者との連携強化: 地域の医療機関や訪問診療・訪問看護、行政等の支援者を対象とした「東北大学病院オープンカンファレンス」をハイブリッド形式で継続開催し、心不全の緩和ケアや在宅管理に関する講演とグループディスカッションを通じて地域の顔の見える関係づくりとニーズ把握に努めています。
  • 成人移行支援体制の構築: 宮城県こども病院や成人移行支援センター等と連携し、小児期・若年期から成人期への移行期、さらに地域移行に至るまでの2段階のシームレスな支援体制を推進しています。

以上の全体会議における趣旨説明、行政報告、アンケート結果の共有、および先進事例の発表を経て、後半のグループ討議へと移行しました。グループ討議では、事前アンケート等で特にニーズの高かった「相談支援体制」、「治療と仕事の両立支援」の2つの重要課題について、全国の担当者間で活発な議論と情報共有が行われました。全体会議の後半では、各グループからの討議の内容について興味深い報告がありました。徳島県、熊本県の脳卒中・心臓病等総合支援センターから、高木康志教授と辻田賢一教授、最後に循環器病対策情報センター都道府県支援班主査 豊田一則から、グループ討議の総括がありました。今回の全体会議で、総合支援センターと都道府県の循環器病対策担当者が協働して、循環器病対策を推進していくことの重要性が共有されました。

今回の全体会議では、全都道府県の総合支援センターおよび行政担当者に、事前アンケートにご回答いただきました。今回の全体会議の開催にご協力いただきました、多くの関係者の皆様に改めて感謝の意を表したいと思います。本会議の後半のグループ討議の詳細は、次回のニュースレター「開催報告(2)」として、報告させていただきます。

以上

 

担 当:国立循環器病研究センター
    循環器病対策情報センター 事務局
メール:cvdjoho01@ncvc.go.jp
電 話:06-6170-1069 (内線21203)

 

議事次第
資料1:脳卒中・心臓病等総合支援センターへの支援に関する全体会議
資料2_1:循環器病対策について
資料3:都道府県アンケート結果
資料4:宮城県脳卒中・心臓病等総合支援センターの取組

当日の会場の様子

 

最終更新日:2026年09月30日

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