国立循環器病研究センター

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循環器病対策情報センター ニュースレター Vol.7 (2026.3.20)

循環器病対策情報センター長
飯原弘二

がん対策に学ぶ、循環器病情報提供の未来
~国立がん研究センター 若尾文彦先生のご講演を拝聴して~

去る2026年3月9日、国立がん研究センター(国がん)のがん対策情報センター本部より若尾文彦先生をお招きし、20年に及ぶ「がん対策情報センター」の歩みと、AI時代の新たな課題についてご講演をいただきました 。
わが国の循環器病対策が本格化する今、先行するがん対策の知見は、私たちが進むべき道を照らす貴重な道標となります。本講演から得られた、今後の対策に不可欠な「3つの視点」を共有します。

 

  1. 「標準情報」と「個別相談」の高度な役割分担

国がんが運営する「がん情報サービス」は、科学的根拠に基づく信頼性の高い「標準情報」をウェブや冊子で全国へ発信しています 。一方で、全国の拠点病院に設置された「がん相談支援センター」は、その病院の患者でなくとも誰でも無料で、個別の不安や地域の医療情報について相談できる窓口として機能しています 。 この「中央によるエビデンスの担保」と「地域による伴走型の支援」という役割分担のネットワークこそ、循環器病対策においても構築すべき理想のモデルです 。

 

  1. 「患者・市民参画(PPI)」による情報の質向上

情報の「正しさ」だけでは、人々の心には届きません。国がんでは、100人規模の「患者・市民パネル」を組織し、専門家による査読と並行して、患者の視点からコンテンツの評価を行っています 。 「この表現は傷つく」「言い回しが難しい」といった当事者のフィードバックを反映させるプロセスは、情報の公平性、中立性、バランスを確保するために極めて重要です 。

 

  1. データサイエンスとDX、そしてAIへの対応

2016年の法整備により、がんは網羅的なデータ収集体制(全国がん登録及び院内がん登録)を確立しました 。対して、循環器分野はまだ法的根拠に基づく網羅的な登録制度が未整備であり、今後の大きな課題です 。 また、昨今の生成AIやゼロクリック検索の台頭により、公式サイトへの流入が減少する一方で、AIによる誤情報の提供リスクも高まっています 。信頼できる情報源へ正しく誘導するメディア戦略や、疾患を横断して検索できるワンストップのポータルサイト構築が、これからのDX時代に求められています 。

 

結びに代えて

若尾先生は、医師にとって情報発信は「亜流」と見なされがちな文化があることを指摘されました 。しかし、質の高い情報を国民に届け、社会の理解を深めることは、適切な受診行動や再発防止、そして患者のQOL向上に直結する、医療の根幹をなす活動です 。 私たち循環器病対策情報センターも、今回の学びを糧に、脳卒中や心臓病に悩む全ての方々に「確かな、分かりやすい、役に立つ情報」を届けるための体制構築を加速させてまいります 。

 

ご講演いただいた若尾先生の資料と講演会当日の写真を添付しています。また、モデルケースである「がん情報サービス」の詳細は以下のリンクよりご確認いただけます。

以上

 

資料1 若尾先生 ご講演まとめ

 

最終更新日:2026年03月23日

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