国立循環器病研究センター

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医師主導治験(ENBALV試験)における治験使用薬の期限逸脱について


令和6年6月7日
国立研究開発法人国立循環器病研究センター

この度、国立循環器病研究センターにおきまして、治験の対象となる5名の患者様に有効期限の切れた治験用ワルファリンカリウム錠をお渡しするという事故が発生いたしました。
当センターとしては、この事実を把握した時点で速やかに5名の患者様に連絡をとり、説明と謝罪を行いました。現在のところ、このことが原因と考えられる健康被害、その他の問題は発生しておりません。
当センターの患者様ならびに関係の皆様方に、多大なご心配とご迷惑をお掛けしましたことを心よりお詫び申し上げます。

1.事故内容について

治験用ワルファリンカリウム錠1㎎(有効期限:令和6年2月末)を令和6年1月~3月までの間に5名の患者様に誤って交付し、最も長い患者様で4月上旬までの42日間にわたって期限切れのワルファリンカリウム錠1㎎を内服しました。

※今回の治験は抗凝固療法の有効性や安全性について試験を行ったもので、治験用ワルファリンカリウム錠は、本治験で比較のために使用したものです。
誤交付された患者様は、外科的生体弁置換術を実施した方で、今回の治験にご参加いただいた方です。

2.経過について

令和5年12月 3名の患者様がワルファリンカリウム錠1㎎の内服を開始。
令和6年1月 2名の患者様がワルファリンカリウム錠1㎎の内服を開始。
令和6年4月17日 当該試験の外部モニタリング担当者から指摘を受けて、治験薬管理者が本事態を把握。
同日、治験薬管理者が治験責任医師に報告。
令和6年4月18日~ 治験薬管理者が薬剤部長、医薬品安全管理責任者に報告。治験審査委員会へ報告するとともに、
対策会議を開催。
令和6年4月30日~ 該当する患者様に電話連絡をし、健康被害がないことを確認。
後日、すべての患者様に対面で詳細な経緯内容を説明し謝罪するとともに健康状態の確認を実施し、健康被害、 その他の問題が発生していないことを確認 。
令和6年6月4日 全ての患者様に説明と謝罪が完了。

なお、1月に内服開始した内の1名については、4月の治験来院日に、あらかじめ規定されたMRI検査において、無症候性脳梗塞が認められたため、当センターにて入院精査を受けています。その結果、抗凝固薬による追加治療は必要ない状態であることが確認されています。今回の期限切れのワルファリンカリウム錠と無症候性脳梗塞との因果関係は認められていません。この患者様の治験来院日、精査入院期間ともに、4月17日の事態把握前であったため、事態把握後に他の4名の患者様と同様に説明と謝罪を行っております。

5名の患者様は、ワルファリンカリウム錠の内服終了をもって、治験を終えております。また、当該試験は、症例エントリーおよび患者の治験参加は終了しております。
引き続き、5名の患者様の経過をフォローし、適切に対応してまいります。

3.誤交付の原因について

  1. 薬剤部における治験使用薬の期限管理が、その特殊性から一般の医療用医薬品と異なる手順で実施されていました。これが、調剤に関わる薬剤師のチェックをすり抜ける原因でした。
  2. 当該治験は当初、治験用ワルファリンカリウム錠の有効期限内に終了する計画でした。しかし、途中の計画変更により終了日が延び、結果として治験用ワルファリンカリウム錠の有効期限が切れた後まで内服期間が延長してしまいました。
  3. 計画変更による治験終了日の延期と治験用ワルファリンカリウム錠の有効期限との関係について、情報を把握する治験担当者と、実際に治験使用薬を管理・調剤する薬剤部担当者の間の情報連携が不十分でした。

4.再発防止の対応について

  1. 薬剤部における治験使用薬の管理を一般の医療用医薬品と統一しました。
    治験使用薬の管理から調剤までの一連の流れに関わる全ての薬剤師が、期限切れ薬剤に対する注意喚起を一般薬と共通の方法で確認できるようにしました。
  2. 期限確認が正しく行われたことを管理する手順を一般の医療用医薬品と統一しました。
    期限確認を実施する薬剤師、その実施を確認する薬剤師の責任所在を明確にして、治験使用薬の期限確認および実施確認が確実に行われる体制にしました。
  3. 治験使用薬に関する情報連携を密にし、担当者だけでなく複数の関係者で補完できる体制にしました。

当センターといたしましては、これらの対策によって期限切れ薬剤をお渡しすることのない手順を構築して再発防止に努め、患者様と国民の皆様の信頼回復に向け、全力で取り組んでまいります。

最終更新日:2024年06月07日

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