国立循環器病研究センター

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広報活動

石灰化切削デバイスの効果を高めて再発を防ぐ画像指標を世界で初めて解明

心臓冠動脈の石灰化治療に新指針
ー血管内の「向かい側」がカギー

 

2026年2月20日

国立研究開発法人国立循環器病研究センター

 

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:大津欣也、略称:国循)心臓血管内科部門冠疾患科の籔本直也、藤野雅史、片岡有、部長野口暉夫らの研究チームは、冠動脈カテーテル治療で血管を広げても、また狭くなる再狭窄を繰り返して治りにくい「石灰化結節」という病変に対し、治療成績を改善させる新たな画像指標を明らかにしました。本研究は、石灰化切削デバイス(ロータブレーター)の有効性について多施設のデータを解析し、血管内超音波検査において病変の反対側にも石灰化(対側石灰化)が認められる場合、石灰化切削デバイスを使用することで再発率が著しく低下することを世界で初めて示しました。本成果により、これまで判断基準が曖昧であった石灰化切削デバイス使用の適否が明確になり、血管形状に応じたオーダーメイド治療の実現に貢献することが期待されます。

 

高齢化により増加する、血管が強く石灰化した冠動脈の治療

進みゆく高齢化社会に伴い、冠動脈が動脈硬化で石のように硬くなる「石灰化」病変を持つ患者さんが急増しています。中でも「石灰化結節」と呼ばれる岩のような病変は、手術によりステント(金網の筒)を留置しても、再び血管内腔に岩が飛び出すことがあり、再発リスクが高いことが大きな課題でした。さらに、ダイヤモンド粒子付きの先端部を高速回転させて削る「石灰化切削デバイス」の有効性に関して、その効果は一様ではなく、どのような患者さんに対して使用すべきか、明確な基準が存在しませんでした。

■対側石灰化がある場合、治療後の再発率が切削デバイス使用有無で8.6%対51.6% と明確な差を確認

本研究では、多施設共同レジストリ「U-SCAN」のデータを用いて石灰化結節を有する209名の患者さんを解析しており、石灰化切削デバイス(ロータブレーター)を使用した群は非使用群に比べて長期的な再発リスクが有意に低いことが分かりました。特に血管内超音波検査で治療対象の反対側にも石灰化(対側石灰化)が認められる症例ではその効果が顕著で、再発率は使用群8.6%に対し非使用群51.6%と大きな差が確認されました。一方で、対側石灰化がない場合には、切削デバイス使用における2群間の有意差は認められませんでした。反対側の石灰化が切削の安定性を高める可能性が示され、この所見を治療選択の判断材料とすることで、より確実な治療につなげることができます。

再発を繰り返す患者の負担軽減と個別化治療の実現

石灰化結節は再狭窄を繰り返しやすく、複数回の治療が必要となることも少なくありません。今回の知見により、血管の形状や石灰化の分布に応じて最適な治療法を選択できる可能性が広がりました。再発リスクを事前に見極めることで、患者の身体的・精神的負担の軽減や医療資源の効率的活用につながることが期待されます。

この研究成果は、Circulation: Cardiovascular Interventionsオンライン版に令和8年2月11日に掲載されました。

 

≪参考≫

■本研究には多施設共同レジストリ「U-SCAN」のデータを用いて近森病院(高知県高知市)・柏厚生総合病院(千葉市柏市)が参加しています。

 

発表論文情報

著者:Naoya Yabumoto, Masashi Fujino, Teruo Noguchi, Yu Kataoka et al.

題名:Enhanced Efficacy of Rotational Atherectomy for Calcified Nodules with Contralateral Calcification: Insights from a Multicenter Intravascular Ultrasound Imaging Study

掲載誌:Circulation: Cardiovascular Interventions

DOI:10.1161/CIRCINTERVENTIONS.125.015932

謝辞

本研究は、下記機関より資金的支援を受け実施されました。

・公益信託日本動脈硬化予防研究基金

・公益財団法人テルモ生命科学振興財団

・公益財団法人コニカミノルタ科学技術振興財団

・公益信託循環器学研究振興基金

【報道機関からの問い合わせ】

国立研究開発法人国立循環器病研究センター 企画経営部広報企画室
TEL : 06-6170-1069 (21120)  MAIL: kouhou@ml.ncvc.go.jp

最終更新日:2026年02月20日

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