広報活動
国循データサイエンス部の福田真弓室長が第8回日本医療研究開発大賞「AMED理事長賞」を受賞
― 脳卒中・急性期疾患の国際共同臨床試験推進への貢献が評価 ―
2026年1月20日
国立研究開発法人国立循環器病研究センター
国立研究開発法人国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:大津欣也、略称:国循)のデータサイエンス部 福田真弓 臨床研究品質管理室長(脳血管内科併任)が、第8回 日本医療研究開発大賞「日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞」を受賞しました。
本賞は、医療分野の研究開発の推進に顕著な貢献を果たした事例を表彰するもので、AMED理事長賞は、若手研究者等の優れた取り組みを顕彰する賞です。今回の受賞は、福田真弓室長の脳卒中・急性期疾患分野における国際共同臨床試験推進への取り組みが高く評価されたものです。
授賞式は令和8年1月16日(金)に、高市早苗内閣総理大臣らが参列するなか首相官邸で執り行われ、AMEDの中釜斉理事長から表彰状と表彰楯が授与されました。
脳卒中臨床試験の課題
脳卒中は日本における主要な死因であり、介護を要する疾患としても大きな社会課題となっています。効果的な治療の開発には臨床試験の実施が不可欠である一方、「発症から短時間での対応が求められる」という脳卒中の疾患特性から、臨床試験の実施には制度面・実務面において多くの課題が存在しています。
脳卒中の急性期臨床試験推進への取り組み
国循では豊田一則副院長を中心に、多施設が参加する臨床試験ネットワーク「NeCST(Network for Clinical Stroke Trials)」の構築が進められており、福田真弓室長はNeCSTにおける品質マネジメント体制の整備に貢献してきました。さらに、NeCSTを基盤として実施される国際共同臨床試験に参画した経験から、発症間もない時期に実施される急性期臨床試験における「同意手続き」の課題に着目しました。現在は、研究者や脳卒中経験者、臨床試験専門職、法律家、メディア関係者など多職種からなるチームと協働し、同意プロセスの課題解決に向け、新たなあり方を模索しています。
本研究は、専門家だけで結論を出すのではなく、患者さんや市民のみなさまの声を出発点として、よりよい医療のあり方を共に考える「社会共創」の取り組みを軸としています。本賞の受賞を契機として、我が国の医療・社会制度や文化的背景に根差した同意プロセスのあり方について、今後もさらなる検討が進められる予定であり、引き続き関係各所と連携しながら取り組んでまいります。
受賞概要
賞名:第8回 日本医療研究開発大賞 日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞
受賞者:福田 真弓
所属:国立研究開発法人 国立循環器病研究センター データサイエンス部
受賞業績:「社会共創」の観点を重視した脳卒中・急性期疾患の国際共同臨床試験への参画促進に対する貢献
<参考>
福田 真弓 プロフィール
国立循環器病研究センター データサイエンス部臨床研究品質管理室長(脳血管内科併任)
専門領域:脳血管障害(急性期脳卒中)、治験・臨床研究の計画・管理
略歴:千葉大学卒業後、亀田総合病院初期臨床研修医を経て、国立循環器病研究センター 脳血管内科にて臨床経験を積み、ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程へ留学。帰国後、国立循環器病研究センター データサイエンス部に所属し、診療に携わりながら、脳卒中など急性期疾患を対象とした臨床試験の推進に取り組み、脳卒中経験者や、多様な専門職と協働しながら、臨床試験のよりよい進め方を検討している。
研究班紹介
本受賞につながる研究活動は、現在、AMEDの支援のもとに実施されている「REFINED-IC:BEYOND研究班」により推進されています。本研究班では、脳卒中をはじめとする急性期疾患の臨床試験において、患者さんや市民のみなさまの声を大切にしながら、我が国の医療・社会制度や文化的背景に根差した、よりよい同意プロセスのあり方を検討しています。
研究班ウェブサイト
https://www.amed.go.jp/kenkyu_kousei/kaihatsusien_jigyo_fukuda.html
研究テーマに関するQ&A
Q1.なぜ脳卒中の臨床試験が大切なのですか?
脳卒中は、ある日突然起こり、命やその後の生活に大きな影響を与える病気です。よりよい治療法を見つけていくためには、実際の医療現場で行われる臨床試験が欠かせません。特に発症してすぐの「急性期」は、とても大切な時期であり、現状よりも有効な治療法を開発することは喫緊の課題です。
Q2.急性期の臨床試験は、なぜ難しいのですか?
脳卒中を発症した直後は、意識がもうろうとしたり、言葉が出にくくなったりして、患者さん本人が説明を理解したり、判断したりすることが難しい場合があります。
また、突然の病気のため、家族がすぐに病院へ来られないこともあります。一方で、治療や臨床試験が遅れると、患者さんにとって不利になることもあります。
Q3.「同意手続きの課題」とは何ですか?
医療や臨床試験では、内容を理解し、納得したうえで同意することが基本です。しかし、脳卒中の急性期では、本人が判断できないことも少なくありません。
そのようなときに、誰に、どのように説明し、いつ判断するのが患者さんにとって一番よいのかを考えることが、大きな課題となっています。
Q4.この研究では、どのようなことに取り組んでいるのですか?
研究者だけでなく、脳卒中経験者やその家族、医療者、法律の専門家などが一緒になり、実際の経験や社会の視点を取り入れながら、納得感のある同意のあり方を検討しています。
発症直後に十分な説明や同意が難しい場合でも、厳格な条件のもとで臨床試験を開始し、後から本人や家族に説明して同意を得る方法(同意免除や事後同意)についても、患者さんの利益と尊厳を最優先に、慎重に検討しています。
Q5.この研究は、私たち市民にどんな意味がありますか?
この研究は、専門家だけで決めるのではなく、患者さんや家族、市民みなさまの声を取り入れながら、急性期臨床試験におけるよりよい同意のあり方を考える取り組みです。将来、もし自分や家族が脳卒中になったときでも、限られた時間の中であっても、臨床試験へ参加するかどうかを、できるだけ納得して選択できる医療環境につながることが期待されます。
【関連リンク】
第8回日本医療研究開発大賞について / 首相官邸HP
【報道機関からの問い合わせ】
国立研究開発法人国立循環器病研究センター 企画経営部広報企画室
TEL : 06-6170-1069 (21120) MAIL: kouhou@ml.ncvc.go.jp
最終更新日:2026年01月20日