広報活動
新規ECMOシステム「バイオセーバー®」が保険収載
2025年12月5日
国立研究開発法人国立循環器病研究センター
国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:大津 欣也、略称:国循)人工臓器部が、ニプロ株式会社(本社:大阪府摂津市、代表取締役社長:山崎 剛司)と共同開発したECMO※1(エクモ:体外式膜型人工肺)システム「バイオセーバー®」※2が製造販売承認を2025年9月3日付で取得し、2025年11月1日に保険収載されました。
本医療機器は、重症循環不全・呼吸不全を発症した患者さんに対して、救命のために一時的に血液循環・呼吸の機能をサポートするECMO治療に使用するものです。

ECMO治療とは
薬物治療を含む他の治療法では救命できない重症循環不全の場合、並びに人工呼吸器では救命できない重症呼吸不全の場合において、循環・呼吸機能を補助することによって、救命を目指して、自己循環・呼吸機能の回復、他の治療手段への橋渡し、各種治療方法を検討する時間的猶予を得ることを目指して用いられる、膜型人工肺、血液ポンプ、血液回路などから構成される心肺補助システムによる治療法です。元々、心臓血管外科手術に用いられる人工心肺装置から発展したECMO治療は、今日の臨床において極めて重要な治療手段の一つとなっています。一方、ECMOシステムには様々な課題があり、ECMO治療を必要とする期間の安全かつ安定した使用、加えて病院内外でのECMO治療中の搬送における安全性の確保、医療従事者の負担軽減が望まれておりました。
国立循環器病研究センター人工臓器部におけるECMO研究開発
国立循環器病研究センター人工臓器部では、長年にわたり耐久性と抗血栓性などに優れたECMOシステムの開発を目指して研究開発を続けてきました。本ECMOシステムは、これまで行ってきた様々なECMOシステム研究開発の集大成とも言えるもので、その優れた性能により、重症循環・呼吸不全の治療成績を向上させることが期待されます。
新規ECMOシステム「バイオセーバー®」
本医療機器は、「バイオセーバー® ECMO回路セットHC」(以下、「ECMO回路セット」)と「バイオセーバー® コンソール」で構成されます。ECMO回路セットは優れた耐久性と血液適合性を備えた「バイオキューブ®」ニプロコーティング膜型人工肺と「バイオフロート®」遠心ポンプ、カニューレを組み込んだヘパリンコーティング回路セットであり、ECMO治療の必要性に応じて最長14日間の連続使用を可能とします。
ECMO治療中の継続的な患者さんの安全確保と医療従事者の負担軽減を目指したECMOシステム
ECMO回路セットを内部に搭載できる体外循環装置用遠心ポンプ駆動装置「バイオセーバー® コンソール」は小型(30×21×34cm)・軽量(6.8kg)であり、様々な使用条件下における高い可搬性を実現しました(病院内外での搬送時などにおいて内蔵バッテリによる90分間の連続駆動が可能)。さらに各種ECMOシステム駆動状態の安全監視機能(血液流量、回路内圧、温度、酸素飽和度、吹送ガス圧の連続モニタリングが可能)を装備し、病院内外の搬送が必要な場面を含むECMO治療中の継続的な患者さんの安全確保と医療従事者の負担軽減の実現を目指したECMOシステムとなっております。
注釈
※1 ECMO: Extracorporeal Membrane Oxygenationの略称
※2 製造販売承認2025年9月3日付取得
【報道機関からの問い合わせ】
国立研究開発法人国立循環器病研究センター 企画経営部広報企画室
TEL : 06-6170-1069 (21120) MAIL: kouhou@ml.ncvc.go.jp
最終更新日:2025年12月24日