国立循環器病研究センター

メニュー

広報活動

AIを用いた世界初の胎児不整脈の診断支援システム  ~ 内閣府・日本オープンイノベーション大賞・厚生労働大臣賞を受賞 ~

2025年4月2日
国立研究開発法人国立循環器病研究センター
カナデビア株式会社

 国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:大津 欣也、以下、NCVC)とカナデビア株式会社(大阪府大阪市、社長兼COO:桑原 道、以下、カナデビア)は、内閣府が主催する「第7回 日本オープンイノベーション大賞」において、「厚生労働大臣賞」を受賞しました。受賞したプロジェクトは「AIを用いた胎児不整脈診断支援システムの開発」です。

 この賞は、日本のオープンイノベーションをさらに推進するために、2018年度から内閣府が主催しているもので、今後のロールモデルとして期待される先導性や独創性の高い取組が高く評価されます。

AIによる心臓領域の抽出
【AIによる心臓領域の抽出】


 今回受賞した支援診断システムは、世界初の胎児の不整脈※1を診断する支援システムです。胎児の不整脈は全体の1%~5%程度の割合で発生し、決して珍しくはない疾患ですが、診断には高い専門技術が求められます。そのため、どの医療機関でも正確に診断するための支援システムが長年求められていました。

 このシステムは、AI技術を用いて超音波検査の静止画像から心臓の動きを解析し、不整脈の有無や種類を判定します。
(より正確には、超音波Bモード法※2で得られた胎児の心臓四腔断面画像※3から、AI技術を用いて心臓の4つの領域を特定し、領域それぞれの面積から心臓(反復動作)の動きを表す時系列データを取得、FFT解析を加えることで、得られたピーク周波数に基づいた不整脈検出と独自開発のアルゴリズムにより種別判定を行い、AIによる診断結果を導き出します。)

 NCVCとカナデビアは、2024年にこのシステムのプロトタイプを完成させました。2026年までに薬事申請※5することを目指しています。本支援診断システムが実用化されれば、妊娠を希望する女性にとって安心安全な妊娠・分娩に寄与します。

 NCVCは今後、このシステムのさらなる精度向上のため、複数の施設との共同研究を進める予定です。

 カナデビアは、中期経営計画「Forward 25」において、ライフサイエンス関連事業への進出を打ち出しており、本支援診断システムの社会実装を通じてライフサイエンス分野に貢献していきます。


※1不整脈:脈が病的にゆっくり打つ、速く打つ、または不規則に打つ状態を指す。また、不整脈の中で最もよく見られるのが期外収縮で、通常の脈の間隔よりも早く表れる脈のこと。

※2 超音波Bモード法:超音波を人体に照射して反射した波を画像化することで、心臓の断面をリアルタイムに観察する診断手法。

※3 四腔断面画像:左右心室それぞれの異常の有無を観察記録するための断面図。

※4 FFT解析:高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)。時間領域の信号を周波数領域に変換する手法。

※5 薬事申請:医療機器や医薬品等の製造・販売等には厚生労働省の許可・認定を得る必要があり、そのために必要な申請を行うこと。

【報道機関からの問い合わせ】

国立研究開発法人国立循環器病研究センター 企画経営部広報企画室
TEL : 06-6170-1069 (31120)  MAIL: kouhou@ml.ncvc.go.jp

カナデビア株式会社 
TEL: 06-6569-0076      MAIL: investor_relations001@kanadevia.com

最終更新日:2025年04月19日

設定メニュー