国立循環器病研究センター

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広報活動

国立循環器病研究センター内に心臓カテーテルアブレーション治療の専用トレーニング施設を開設、本格稼働開始

 

2023年9月20日
国立研究開発法人国立循環器病研究センター


国内外医師へのトレーニングプログラム提供で、医療技術の底上げ、国内外の医療の均てん化へ

心房細動のみならず、頻脈性不整脈まで対象とする製品力を評価し、開設を決定

 国立循環器病研究センター(所在地:大阪府吹田市、理事長:大津 欣也、以下「国循」)は、国循 オープンイノベーションセンター内に、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカル カンパニー(本社所在地:東京都千代田区、代表取締役プレジデント:玉井 孝直、以下「ジョンソン・エンド・ジョンソン」)が同社の製品の安全・適正使用を目的として、不整脈診断・治療機器モジュール「バイオセンスCARTO 3※1」を使用して行うカテーテルアブレーション治療※2専用トレーニング施設「イノベーティブ ラーニング センター/ Innovative Learning Center」を2023年4 月に開設したことをお知らせいたします。

 「イノベーティブ ラーニング センター」では、国内外の若手医師を対象としたジョンソン・エンド・ジョンソン主催のトレーニングプログラムが9月から順次提供されます。さらに、国循とジョンソン・エンド・ジョンソンが共同で実施するトレーニングプログラムの展開も視野に入れ、今後も超高齢社会で年々増加傾向にある不整脈の一種、心房細動におけるカテーテルアブレーション治療のさらなる発展と、グローバル視点での医療の均てん化に寄与してまいります。

「イノベーティブ ラーニング センター」国立循環器病研究センター外観

 「イノベーティブ ラーニング センター」の開設により、ジョンソン・エンド・ジョンソンのリアルとデジタルを融合した豊富なトレーニングプログラムが、全国の医師の方々に対していつでも提供可能となります。また、施設を常設にしたことで、時期を選ばない体系的な年間トレーニング計画の設計が可能となります。今後は患者ケアや手術手技など臨床的な内容に特化した国循の若手教育ノウハウと、ジョンソン・エンド・ジョンソンのトレーニングを掛け合わせ、より質・効果が高い、安全・適正使用のためのプログラムの提供を目指します。

 トレーニングプログラムの一環として、カテーテル操作をテーマにした医療従事者向けのWEB講演会が定期的に開催されます(第1回目は9月21日)。また、アジア太平洋地域の医師を対象としたカテーテルアブレーションに関する手技見学の定期プログラムなども企画しており、「イノベーティブ ラーニング センター」を起点に、国内外にカテーテルアブレーションの安全・適正使用に関する知見を発信、提供してまいります。

 <「イノベーティブ ラーニング センター」で提供されるプログラム特長と詳細>

若手医師向け:新たな常設トレーニング施設の開設によって、より多くの医療従事者の手技習得ニーズへの対応が可能。
教育者向け:全国各地から集まる不整脈専門医師へ教育者向けトレーニングを行うことによって、日本全国の履修済みの医師による若手医師育成が可能となり、医療技術の底上げが期待できる。
海外医師向け:国立循環器病研究センターへの来訪医師に対しても、常時製品トレーニングを提供可能。

■国循とジョンソン・エンド・ジョンソンとのコラボレーションの背景

 この度のプログラム対象である不整脈の一種、心房細動の患者数は、高齢化に伴い年々増加傾向にあり、日本における患者数は、2020年で約97万人、2050年では約103万人と総人口の約1.1%を占めるまでになると予測されています1)。一方で、国内の循環器専門医15,205人2)に対して、不整脈専門医は1,235人3)と少ないにもかかわらず、根治的治療を目指せるカテーテルアブレーションの治療ニーズは年々高まっており、技術を習得した医療人材の育成と教育環境の構築は急務だと考えられます。

 国循は、海外の医師を含む若手医師を対象とした循環器領域の教育プログラムを40年以上展開しており、プログラム履修後の医師は各地の地域病院でリーダーとなり活躍するなど、優秀な医療人材を数多く輩出している日本有数の教育機関です。一方で、ジョンソン・エンド・ジョンソンは、医療機器製品やソリューション提供に加え、各地で30年以上にわたり、製品の安全・適正使用のための製品トレーニングを提供しており、さらなる設備および機会の拡大を続けています。同社が提供する「バイオセンスCARTO 3」は、心房細動だけでなく頻脈性不整脈をトータルで治療できる汎用性の高い機器であり、この度国循内にトレーニング室が開設されることで、今後のより力強い教育の推進力の場として期待できます。

■国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 副院長 心臓血管内科部門 草野研吾  コメント

 近年、近畿地方においてカテーテルアブレーションの症例数が増加傾向にある中、今回の取り組みで、移動の時間的・身体的負荷を減らしながら効率的にスキル習得ができるようになります。国循は、現在、日本の医療をけん引する研究・診療施設として、「循環器領域における世界最高峰の機関」となることを目指しています。そのためには、若手研究者が活躍できる環境を整備すること、そして、スキル習得・向上のための革新的な教育プログラムの開発・提供が必要となります。今後は、ジョンソン・エンド・ジョンソンとのトレーニングプログラムの開発などにより、当センターの教育レベルがさらに向上し、国内外で活躍できるような優秀な若手人材の育成と輩出をよりスピーディに行い、社会に還元できることを期待しています。

 

<注訳>

※1:「バイオセンスCARTO 3」は、ジョンソン・エンド・ジョンソンのバイオセンス ウェブスター事業部により提供している医療機器で、心臓内の電気⽣理学的情報と3次元の解剖学的情報をシステム上でリアルタイムに統合した3Dマッピング画像を⽣成し、頻脈性不整脈の診断から治療までをサポートします。また、同社が提供する最新のモジュールのインストールや、診断用・治療用ツールの導⼊で、最新のマッピングテクノロジーを使⽤することができます。
※2:カテーテルアブレーション治療は、カテーテルという細い管を血管経由で心臓に挿入し、不整脈の原因となっている異常部位を焼灼(しょうしゃく)することで、心臓の動きを正常に戻す治療法。

<参考文献>

1. Inoue H, et al. Int J Cardiol. 2009 Oct 2;137(2):102-7.
2. 一般社団法人日本循環器学会 会員名簿・専門医名簿・心不全療養指導士名簿参照(2021年8月時点)
3. 一般社団法人日本不整脈心電学会 専門医名簿参照(2023年7月時点)

【国立循環器病研究センターについて】

国立循環器病研究センター(国循)は、病院と研究・医療訓練機関を備えた医療センターです。厚生労働省管轄のもと運営されており、国立高度医療専門センター(ナショナルセンター)の一法人で、全国に6つある専門病院の1つです。国循は循環器疾患を専門とする医療機関であり、国内でも有数の心臓移植実施施設です。病院、研究所、そしてオープンイノベーションセンターの3部門から構成されています。病院はNEWSWEEK誌における「The World’s Best Specialized Hospitals 2023」で第15位(Top Specialized Hospitals - Cardiology (newsweek.com))となりました。

 

 

【報道機関からの問い合わせ先】

国立循環器病研究センター企画経営部広報企画室
TEL : 06-6170-1069(31120)
MAIL: kouhou@ml.ncvc.go.jp

最終更新日:2023年09月20日

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