国立循環器病研究センター

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広報活動

急性期脳梗塞に対する再開通療法のガイドライン遵守率 全国373施設のベンチマークを初めて公開

 

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:大津欣也、略称:国循)の飯原弘二病院長が代表を務める、急性期脳卒中医療の質の改善を促すClose The Gap-Stroke (略称:CTGS) というプロジェクトにおいて、急性期脳卒中に対して再開通療法を実施した全国の治療施設の医療の質のベンチマークを、初めてJ-ASPECT研究班ホームページにて公開いたしました。

■公開目的

 今回、参加施設の各指標の評価結果をホームページにて公開することは、日本の脳卒中医療の問題点を明らかにするとともに、各施設の結果をベンチマークとしてフィードバックして自発的な改善を促すことを目的として実施いたしました。
  医療の質(Quality of Care)を測り、改善することは世界的にも注目されており、本プロジェクトでは、2013年度から2017年度まで急性期脳梗塞に対して再開通療法を行った症例を対象とし、治療に関連した25項目の指標についてその遵守率等を収集し、その解析から実臨床レベルで遵守することが死亡率の減少や退院時自立度の増加に関連することを示しております(Ren et al. Stroke 2022)。
 今回は、特に、急性期脳卒中に対する再開通療法を実施した施設における、再開通療法に係るガイドラインの遵守率を明らかにし、全国の治療施設における分布をホームページ上に公開するとともに、各施設に当該施設の遵守率を示すことによって、各施設での治療への取組姿勢に働きかけ、当該治療のより有効・安全な実施を推進することを目指しました。

■公開した内容

 全施設の結果は、当該項目についての遵守率の分布を示す百足図の形で提示しております。(図1)百足図において各点は各施設の遵守率を示し、より右側に遵守率の高い施設が位置するように並べて表示されます。
 参加各施設には自施設が各項目でどの位置にあるかを、他の施設と比較しながらベンチマークで把握することが可能です(図1)。それに加えて百足図の形を見ることで、参加施設全体として遵守率が高い項目、ばらつきが大きい項目、遵守率が低い項目を視覚的に捉えることも可能です。(図2)

■今後の目標と課題

 本研究では過去2回の調査を行なっており、初回調査参加施設は227施設、第2回調査373施設と増加しております。第3回調査では450を超える施設が参加予定となっており、2019年12月以降のコロナ禍が、脳卒中医療に与えた影響などを検討する予定です。そのほかにもこのプロジェクトを継続して実施し、より一層、脳卒中医療の質を向上させていくためにて邁進してまいります。

 

図1)各施設へのフィードバック(Sample)
各施設には、当該施設が参加施設の内どの位置にあるかをフィードバックします。

※遵守率:「標準的治療の対象となる患者数」で「標準的治療を実施された患者の数」を割った数を百分率で表したもの

 

図2)

【参考情報】

百足図の見方
各項目の遵守率は、その分布を示す百足図の形で提示しております。
各項目の遵守率は「標準的治療の対象となる患者数」で「標準的治療を実施された患者の数」を割った数を百分率で表したものです。
各点は参加施設の遵守率を示し、X軸の右側に実施率の高い施設が表示されます。
各点から伸びる上下の線は、算出された値の安定性(95%信頼区間)を表しており、各項目に該当する患者が多いほど安定して区間は狭くなり、少ないと広くなります。
同一の実施率の場合は、施設当たりの登録症例数が多い方が右(上位)に来るよう配置しています。

■謝辞

本研究は、日本脳卒中学会、日本脳神経外科学会との連携のもと実施され、下記機関より資金的支援を受け実施されました。
・日本医療研究開発機構 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業
・厚生労働科学研究費 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業
・循環器病研究開発費

 

報道関係の方からのお問い合わせ

国立循環器病研究センター企画経営部広報企画室
TEL : 06-6170-1069(31120)
MAIL: kouhou@ml.ncvc.go.jp
個別取材の手続きは、こちらからご確認いただけます。

最終更新日:2022年09月13日

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