国立循環器病研究センター

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宮田敏行研究所元部長が国際血栓止血学会 Esteemed Career Awardを受賞

 国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:大津欣也、略称:国循)の宮田敏行研究所分子病態部元部長(名誉研究所員)、現脳血管内科客員研究員は、国際血栓止血学会、第30回大会(2022年7月9~13日 イギリス・ロンドン)で、Esteemed Career Awardを授与されました。
https://isthcongressdaily.org/Articles/ArtMID/5577/ArticleID/366/Five-Revered-Leaders-Honored-With-ISTH-Esteemed-Career-Awards-at-ISTH-2022-Congress

■国際血栓止血学会とEsteemed Career Award研究内容について

 国際血栓止血学会は「血栓症と出血症の専門家」が集まる国際学会です。本学会は「血栓性疾患と出血性疾患に関する研究、予防、診断、治療の充実」を目指して、世界100ヶ国以上、会員数7,000人以上を擁する国際的な組織(本部:米国、ノースカロライナ州)です。第30回である今大会は、in-person(約5,000人)とvirtual(約2,000人)のハイブリッド形式で開催され、発表数は約2,000演題でした(7月9日の発表)。国際血栓止血学会のEsteemed Career Awardは学会の唯一の学術賞で毎年5名に授与されています。

■主な研究内容等

 宮田敏行先生はこれまで、静脈血栓塞栓症の遺伝子解析、抗血栓薬の薬理遺伝学的研究、血栓性微小血管症の研究として血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)/ADAMTS13および非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の研究を進めてきました。
 厚生労働省科学研究費研究班の支援を受け、国循の予防健診部、心臓血管内科と協力しながら、日本人の静脈血栓症の遺伝性素因としてプロテインS遺伝子にp.Lys196Gluバリアント(注1)(オッズ比 4.7)を同定しました。本バリアントは日本人の約55人に1人が保有し、中国人・韓国人を含めて海外では見られないことや、本バリアント保有マウスは易血栓性であることなどを報告しました。
 また、国循の脳血管内科、脳神経内科、心臓血管内科、予防健診部、輸血管理室とともにワルファリン、クロピドグレル(P2Y12アンタゴニスト)、アスピリンの薬理遺伝学的解析を行い、VKORC1, CYP2C9, CYP2C19(注2)の遺伝子多型頻度の人種による違いを明らかにし、日本人が少量のワルファリンで適正治療域を維持できることはVKORC1遺伝子多型で説明できることを明らかにするなどの業績をあげました。

(注1:バリアント 多様体)
(注2:VKORC1 ビタミンKエポキシド還元酵素
     CYP2C9, CYP2C19 チトクロームP-450に属する薬物代謝酵素)

■他の研究内容等

 フォンビルブランド因子切断酵素ADAMTS13とTTPの研究は分子病態部が精力的に取り組み、ADAMTS13の活性の著減によるTTPの病的な発症機序の解明に貢献しました。 
 また、aHUSの遺伝的背景に関する研究を行いました。これらの研究成果は、特発性血栓症、TTP、aHUSの難病指定(それぞれ指定難病327, 64, 109)に繋がりました。多くの海外の研究者を招聘し本邦での研究成果を海外に積極的に発信しました。

■最後に

 今回の国際賞の受賞はこれら研究業績の全体が評価されたものと思われます。先生のご研究はたいへん多くの臨床の先生方のご支援、ご協力のもとに行われたものであり、感謝の意を表しておられます。なお、国循の部門名は当時の所属先(一部)を示しています。


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国立循環器病研究センター企画経営部広報企画室
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最終更新日:2022年11月08日

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