国立循環器病研究センター

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慢性血栓塞栓性肺高血圧症におけるセレキシパグ(ウプトラビ®)国内第3相試験の結果

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:大津欣也、略称:国循)心臓血管内科部門肺循環科・肺高血圧先端医学研究部の大郷剛を筆頭著者とする慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するセレキシパグ(ウプトラビ®)国内第3相試験の結果が欧州呼吸器学会誌(European Respiratory Journal)に11月26日標準時間)にオンライン掲載されました。

 

■背景

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(Chronic thromboembolic pulmonary hypertension: CTEPH)は、慢性的な肺血管内の血栓閉塞で肺動脈圧が上昇し、心臓機能が低下する生命予後の悪い病気です。国内の患者数は、約4,200人で難治性呼吸器疾患(指定難病)に認定されています。治療法として外科手術ができない場合にカテーテル治療、あるいは肺動脈を広げる作用を持つ内服薬での薬物治療があります。新たな内服薬の選択肢として、肺動脈性肺高血圧症ですでに適応のあるセレキシパグ(ウプトラビ®)内服が考えられましたが、その有効性は不明でした。

 

■研究手法と成果

国内42施設の多施設共同研究で78人の慢性血栓塞栓性肺高血圧症の患者さんを、セレキシパグ内服群とプラセボ内服群に分け、20有効性、安全性を比較評価しました。主要評価として、生命予後に関係する肺血管抵抗の値がセレキシパグ内服の患者さんの方がプラセボ内服の患者さんより有意に改善しました。安全性としては、セレキシパグ投与の継続に影響のある重篤な副作用はありませんでした。

 

■今後の展望と課題

今後、慢性血栓性肺高血圧症におけるセレキシパグ内服による運動能力の改善や生命予後の改善の効果などのさらなる有効性や、長期的な効果なども確認していく必要があります。また慢性血栓塞栓性肺高血圧症におけるセレキシパグを含めた新たな治療指針を作成していく必要性があると考えられます。

 

■発表論文情報

著者: 大郷剛ら21名の共著者含む44名の国内多施設研究グループ

題名: Selexipag for the treatment of chronic thromboembolic pulmonary hypertension

掲載誌: European respiratory journal

 

■謝辞

本研究は、下記機関より資金的支援を受け実施されました。

・日本新薬株式会社

・ヤンセンファーマ株式会社

 

 

 

 

 

 

最終更新日:2021年12月08日

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