臨床工学部
診療科等の概要
臨床工学部の概略
臨床工学部は、医療機器の専門家として患者さんに即した医療機器の『操作・設定』『安全な使用環境の確保』を提供することであり、又、社会使命としては高度な医療技術の進歩に伴う医療機器の高度・複雑化が進む中、安全な医療の提供に尽力する。
(公益社団法人 日本臨床工学技士会 | Japan Association for Clinical Engineers)
臨床工学部の構成
臨床工学部のスタッフ構成
部長(医師)1名、技士長1名、副技士長等2名
主任4名、臨床工学技士21名、事務員1名
委託業務職員3名 【総勢33名】
国家/認定資格
【(学会等)認定資格】
ME専門認定士
不整脈治療関連専門臨床工学技士 / 植込み型心臓デバイス認定士
体外循環技術認定士(4学会合同認定委員会)
人工心臓管理技術認定士(4学会、1研究会合同認定委員会)
呼吸療法認定士(3学会合同認定委員会)
透析技術認定士(透析療法合同専門委員会)
心血管インターベンション技師(日本心血管インターベンション治療学会)
特定高圧ガス取扱主任者(酸素)
【他の国家資格】
臨床検査技師 / 診療放射線技師
臨床工学部の業務内容
業務内容は、人工心肺業務・集中治療業務・補助人工心臓業務・デバイス業務・アブレーション業務・血液浄化業務・心臓カテーテル業務・医療機器管理業務等があり、それぞれの領域で専門的知識を習得した臨床工学技士を配置、安全かつ高度な医療を提供している。また、臨床研究や医師主導治験などにも積極的に参画し、最新の医療知識・技術の習得にも努めている。
(人工心肺装置スタンバイルーム)
人工心肺業務
心臓血管外科手術の際、心臓と肺の代替として人工心肺装置を使用している。
人工心肺業務としては、部内カンファレンスを行い、疾患や術式、人工心肺中の管理プランをスタッフ間で共有、準備~術中(人工心肺中)、術後ICU管理までの一連の業務を行っている。特に、術中においては、術者・麻酔科医、看護師とのコミュニケーションを重要と考えており、術中の患者の安定した循環維持(確保)に努めている。
当センターでは、年間人工心肺症例数が約800例と国内屈指の症例数を誇っており、
人工心肺業務には、体外循環技術認定士資格を取得したスタッフが担当し、より安全に手術が行える体制を整えている。
集中治療業務
ICU(Intensive Care Unit)やCCU (Coronary Care Unit)、NICU(Neonatal Intensive Care Unit)などの集中治療系の病棟では、呼吸器や補助循環(ECMOやIABP)、生体情報モニタ、CRRTなど多くの医療機器が使用されている。また、重症心不全患者に対するIMPELLAやCentral ECMOなどの先進医療技術も積極的に導入し、臨床工学技士は、それらの機器の導入から離脱までの管理やその他の医療機器とのセットアップ、トラブル対応など急性期の循環維持、医療機器の安全性の確保など包括的な管理を行っている。
補助人工心臓業務
人工心臓部門では、生命維持装置『補助人工心臓(VAD)』を装着した患者さんが移植までの間、安心して過ごせるよう人工心臓管理技術認定士(専門的な知識・研修を受けたスタッフ)がサポートしている。また、2011年4月には植込型補助人工心臓の保険償還も認められ在宅で療養しながら移植を待っている患者も急増しており、その方々への教育や自宅環境整備・調整にも貢献している。
IMPELLA(制御装置、補助循環用ポンプカテーテル:ABIOMED®)
血液浄化業務
腎機能が低下し腎不全となった場合、腎機能を代行する血液浄化療法が必要となる。
血液浄化部門では、循環病疾患の治療が必要な入院患者さんを対象に血液透析を行っており、さらに肝不全や敗血症となった場合に施行する血漿交換療法やPMX-DHPといった特殊血液浄化療法も行っている。また、家族性高コレステロールに対してのLDL-Apheresisも外来で行っている。
デバイス/アブレーション業務
デバイス業務
デバイス業務では、『徐脈に対するペースメーカ』や『頻脈に対するICD、CRT』などの植込み型デバイス手術時のプログラマ操作や術中介助を行っている。また、デバイスを植込まれた患者の心臓手術やICU・CCUなどでの細かな設定変更など緊急時の対応も行っている。更に、関連業務としてエキシマレーザーを用いたリード抜去術や遠隔モニタリングも行っている。
(S-ICD 植込み術:Boston Scientific社 提供)
アブレーション業務
アブレーション業務としては、AF(心房細動)やVT(心室頻拍)などの頻拍性不整脈に対してアブレーション治療を行っており、3Dマッピングシステムの操作、Activation mappingやSubstrate mappingを用いた視覚的な治療のサポートを行っている。また、バルーンアブレーションとしてクライオやレーザーなどの操作も行っている。
(アブレーション治療)
心・血管カテーテル業務
カテーテル業務
心臓に栄養を供給している冠動脈に狭窄等を来した際には、経皮的冠動脈形成術(PCI治療)を行う必要がある。治療の際には、Rotablator、Diamondback360®、DCA、レーザーなども使用することがあり専門的な知識が求められています。心臓カテーテル業務では、治療に必要なデバイスのセットアップ、種々の機器操作を行い、治療のサポートを行っている。
(Diamondback360®)
医療機器管理業務
院内で使用する医療機器には台数制限がある。そのため、医療機器管理室では各病棟で滞りなく、円滑に医療機器が行き渡るよう専用の医療機器管理システムを使用し、円滑な医療機器の運用を行っている。また、運用している医療機器に関して、専門スタッフが40項目を超えるチェックを行い、医療機器の安全性を担保している。その他、人工呼吸器など命に直接係るような医療機器に関しては、医師、看護師を対象に定期的な操作説明も行い、教育活動も行っている。
その他
ヘリでの緊急患者搬送などは補助循環装置や補助人工心臓等の生命維持装置が装着されているケースが多く最善の注意が必要とされる。また、ドクターカーは新センター移設と同時に更新、仕様に関しては、あらゆる補助循環装置が安全に稼働/搭載できるよう車内スペース確保や電気容量など考慮し設計から携わった。臨床工学技士も安全に円滑に患者搬送が出来るよう常に介入している。
(ヘリポートでの患者対応)
(補助循環装置が装着された患者搬送)
(新センターと新ドクターカー)
『臨床工学技士』の人材育成について
教育(人材育成)体制は、ES(Employee Satisfaction:スタッフが遣り甲斐を持って、プロとして、いきいきと輝いている。)を基本に構築。
先輩技士の役割としては、若手技士が成長しようとする意欲に応え、様々な業務に係わり、多くの経験が積める環境を整備する。また、プリセプター・プリセプティ体制をとり、新人技士(プリセプティ)が早く職場と臨床業務に適応できるよう『一定期間、一人の先輩技士(プリセプター)がマンツーマンで教育・指導できる体制』を取っている。
プリセプター・プリセプティ体制のメリットは、プリセプティに対し精神的サポートも行いながら、プリセプティが臨床経験から得た技術や知識を与えることで、より実践能力の習得を容易にする支援・教育体制です。
プリセプター・プリセプティ体制
教育研修体制
教育研修制度では、新採用者からマネジメント職までの各階層別研修による『off-JT』と『OJT』を実施。また、教育研修制度と評価制度など、その他の人事諸制度を連動させスタッフの能力を最大限伸長・発揮させることを目指している。
NHOグループで実施される各階層別の教育研修での各階層において期待される役割を理解し、医療職としての必要なスキルを学び、今後の自分のキャリアについて考える機会も作っている。また、センター内で臨床工学部が携わっている各職域についても医療機器の『取扱い』や『教育研修』も適宜実施しています。
最終更新日:2021年10月11日