腎臓・高血圧内科
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IgG4関連腎臓病
IgG4関連腎臓病
IgG4関連疾患に伴い発症する腎障害です。尿細管間質にIgG4陽性の形質細胞が著明に浸潤し、特徴的な線維化を起こします。比較的高齢者に多く、ステロイド剤が著効することが多いです。
IgG4関連疾患包括臨床診断基準
- 臨床的に単一または複数臓器に特徴的なびまん性あるいは限局性腫大、腫瘤、結節、肥厚性病変を認める。
- 血液学的に高IgG4血症(135mg/dl以上)を認める。
- 病理組織学的に以下の2つを認める。
①織所見:著明なリンパ球、形質細胞の浸潤と線維化を認める。
②IgG4陽性形質細胞浸潤:
IgG4/IgG陽性細胞比40%以上、かつIgG4陽性形質細胞が10/HPFを超える
上記のうち、1+2+3を満たすものを確定診断群(definite)。1+3を満たすものを準確診群(probable)。1+2のみをみたすものを疑診群(possible)とする。
IgG4関連疾患の各臓器病変

症状
自覚症状は乏しいことが多いです。
尿所見
尿所見は異常がみられないことも多いです。尿蛋白・尿潜血は陰性か陽性でも軽度です。尿細管間質マーカーであるβ2ミクログロブリンやNAGが陽性になることもあります。 腎機能の低下を伴うことがあります。
腎生検所見
リンパ球と形質細胞(IgG4陽性優位)の浸潤を伴う尿細管間質性腎炎です。



特徴的な線維化(storiform fibrosis:花筵様線維化)

糸球体病変を呈することがあり、膜性腎症の形をとることが多いです。 後腹膜線維症を合併すると、両側尿管狭窄をきたし、水腎症を呈することがあります。
IgG4関連腎臓病診断のためのアルゴリズム(IgG4関連腎臓病診療指針)

IgG4関連腎臓病診断基準(IgG4関連腎臓病診療指針)

治療
副腎皮質ステロイド剤が非常に有効であることがほとんどです。病変が進行すると、不可逆的な変化をきたす可能性があるため、早期の治療が望ましいです。
最終更新日:2021年10月08日