腎臓・高血圧内科
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IgG4関連腎臓病
IgG4関連腎臓病
IgG4関連疾患に伴い発症する腎障害です。尿細管間質にIgG4陽性の形質細胞が著明に浸潤し、特徴的な線維化を起こします。比較的高齢者に多く、ステロイド剤が著効することが多いです。
IgG4関連疾患包括診断基準 2020
1. 臨床的及び画像的診断
単一または複数臓器に特徴的なびまん性あるいは限局性腫大、腫瘤、結節、肥厚性病変を認める(リンパ節が単独病変の場合は除く)
2. 血清学的診断
高IgG4血症(135mg/dl以上)を認める。
3. 病理学的診断
以下の3項目中2つを満たす。
a. 著明なリンパ球、形質細胞の浸潤と線維化を認める。
b. IgG4陽性形質細胞浸潤:
IgG4/IgG陽性細胞比40%以上、かつIgG4陽性形質細胞が10/HPFを超える
c. 特徴的な線維化、特に花筵状線維化あるいは閉塞性静脈炎のいずれかを認める。
上記のうち、1+2+3を満たすものを確定診断群(definite)。1+3を満たすものを準確診群(probable)。1+2のみをみたすものを疑診群(possible)とする。
IgG4関連疾患の各臓器病変
症状
自覚症状は乏しいことが多いです。
IgG4関連腎臓病診断基準2020
1. 尿所見、腎機能検査に何らかの異常を認め、血液検査にて高IgG血症、低補体血症、高IgE血症のいずれかを認める。
2. 画像上特徴的な異常所見(びまん性腎腫大、腎実質の多発性造影不良域、単発性腎腫瘤(hypovascular)、腎盂壁肥厚病変)を認める。
3. 血液学的に高IgG4血症(135mg/dL以上)を認める。
4. 腎臓の病理組織学的に以下の2つの所見を認める。
a. 著明なリンパ球、形質細胞の浸潤を認める。
ただし、IgG4陽性形質細胞がIgG4/IgG陽性細胞比40%以上、あるいは10/hpfを超える。
b. 浸潤細胞を取り囲む特徴的な線維化を認める。
5. 腎外病変
a. 腎臓以外の臓器の病理組織学的に著明なリンパ球、形質細胞の浸潤と線維化を認める。
ただし、IgG4陽性形質細胞がIgG4/IgG陽性細胞比40%以上かつ10/hpfを超える。
b. 腎臓以外の臓器において以下の臨床・画像所見のいずれかを認める。
1) 両側涙腺腫脹
2) 両側顎下腺あるいは両側耳下腺腫脹
3) 1型自己免疫性膵炎に合致する画像所見
4) 後腹膜線維症の画像所見
1+3+4a+4b、を満たすものを
確定診断群(definite)
1+3+4a+4b
2+3+4a+4b
2+3+5a
1+3+4a+5a or 5b
2+3+4a+5b
準確診群(probable)
1+4a+4b
2+4a+4b
2+5a
2+3+5b
疑診群(possible)
1+3
2+3
1+4a
2+4a
2+5b
尿所見
尿所見は異常がみられないことも多いです。尿蛋白・尿潜血は陰性か陽性でも軽度です。尿細管間質マーカーであるβ2ミクログロブリンやNAGが陽性になることもあります。
腎機能の低下を伴うことがあります。
治療
副腎皮質ステロイド剤が非常に有効であることがほとんどです。病変が進行すると、不可逆的な変化をきたす可能性があるため、早期の治療が望ましいです。
最終更新日:2024年01月10日