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ガンマナイフ外来

診療科等の概要

Gamma Knife Radiosurgery|定位放射線治療(Stereotactic Radiosurgery, SRS)

脳動静脈奇形(AVM)、脳腫瘍、三叉神経痛などの脳疾患に対して、開頭手術を行わずに治療が可能な非侵襲的な放射線治療法です。

大阪・吹田にある当センターでは、国内外からの患者さんを対象に、ガンマナイフ(Gamma Knife)を用いて、脳の深部病変にも対応可能な、精密かつ非侵襲的な定位放射線治療(SRS)を提供しています。国内外からの患者さんに、科学的根拠に基づいた治療を実施しています。

  • お知らせ

    2025年2月8日(土)

    【開催報告】脳の健康とガンマナイフ治療に関する市民公開講座を開催しました(大阪|吹田|国循)
    第21回一般社団法人日本ガンマナイフ学会学術総会の共催として、「家族みんなで考える脳の健康——切らずに治す脳神経外科治療|知っておきたいガンマナイフ治療」と題した市民公開講座を開催しました。
    当日は約40名の方にご参加いただき、活発な質疑応答も交えながら、脳の病気と放射線治療に関する理解を深めていただきました。ご参加ありがとうございました。

    2025年1月24日(金)〜25日(土)

    【開催報告】第21回 日本ガンマナイフ学会学術総会を開催しました(大阪|吹田|オービックホール)
    第21回 一般社団法人 日本ガンマナイフ学会学術総会The 21st Meeting of the Japanese Leksell Gamma Knife Societyを大阪・淀屋橋のオービックホールにて開催しました。
    ▶︎ 詳細はこちら(https://jlgks2025.cvdlive.org/
    国内外から多くの医療関係者にご参加いただき、転移性脳腫瘍、硬膜動静脈瘻、頭蓋底腫瘍などをテーマに、活発な議論と最新知見の共有が行われました。

     

1.ガンマナイフとは | About Gamma Knife Radiosurgery

Gamma Knife Radiosurgery|定位放射線治療(Stereotactic Radiosurgery, SRS)

・脳の病変に対して、開頭せずに治療可能な精密放射線治療
・フレームレスでも最大0.15mmの位置精度を実現
・周囲の正常な脳組織への影響を最小限に抑える定位放射線治療装置

 

ガンマナイフ(Gamma Knife)とは、脳内の病変(脳腫瘍、脳動静脈奇形、三叉神経痛など)に対して、開頭せずに治療を行うことができる高精度の定位放射線治療です。

192本の細いガンマ線(X線よりも波長の短い高エネルギーの電磁波)を一点(病巣)に集中照射することで、周囲の正常組織への影響を抑えつつ、標的部位のみを徐々に凝固・壊死させます

この技術は、手術が難しい脳の深部にある病変や、外科的手術に不安がある方(ご高齢の方や持病のある方など)にも選択肢の一つとして検討されます。

また、ガンマナイフICON®ではフレーム固定に加え、マスク固定による非侵襲的な治療も可能となっており、外来日帰りでの対応も可能なケースがあります。

2.当センターのガンマナイフ治療|Our Gamma Knife Treatment at NCVC

セカンドオピニオンオンラインにも対応)も含め、まずはお気軽にご相談ください。
・治療時および治療後は脳神経外科専門の看護師が担当します。
・治療後は外来での定期診察にて、患者さんとご家族を継続的にサポートします。遠方にお住まいで定期受診が難しい場合にはかかりつけ医と連携して診療を支援いたします。

1)ガンマナイフ外来|外来および治療 森 久恵 (Hisae Mori) 脳神経外科医長

◆  火曜・木曜:再診・初診対応
◆  月曜・水曜・金曜:初診のみ対応
※ご本人が入院中で外来受診が難しい場合は、ご家族のみの受診も可能です。

ガンマナイフ担当医|外来および治療 森 久恵 (Hisae Mori) 脳神経外科医長

所属学会(Memberships):日本脳神経外科学会/日本脳神経外科コングレス/日本定位放射線治療学会/日本ガンマナイフ学会/明日のガンマナイフを担う会/日本脳卒中学会/日本脳卒中の外科学会/日本脳腫瘍の外科学会/日本小児神経外科学会

医療関係者の方へ|For Referring Physicians
ご紹介や治療適応の判断に迷われる場合には、お電話またはE-mailにてお気軽にご相談ください。画像をご提供いただける場合には、よりスムーズな検討が可能です。

2)治療日

月~金(平日毎日)

3)治療の流れ|Hospital Stay & Treatment Process

標準入院プラン【2泊3日~5泊6日】

  • 1日目:入院・オリエンテーション・必要検査(MRI/CTなど)
  • 2日目:ガンマナイフ治療
  • 3日目以降:経過観察のうえ退院

短期入院プラン【1泊2日】

※必要な検査は原則として外来時に実施

  • 1日目:入院・オリエンテーション・(検査)・治療
  • 2日目:退院


『ガンマナイフ治療を受けられる方へ』パンフレット

4)ガンマナイフ室担当看護師

ガンマナイフ室では、脳神経外科集中治療室(NCU病棟)に所属する看護師が対応します。万一に備え、担当看護師は年1回の緊急対応トレーニングを実施しています。

3.対象疾患・適応| Indications Treated with Gamma Knife Radiosurgery

当院では、主に以下のような疾患に対して、病変の大きさ・部位・患者さんの全身状態などを総合的に考慮し、適応を判断しています。

【脳血管障害|Cerebrovascular Disorders】


【脳腫瘍|Brain Tumors】

  • 聴神経腫瘍(Vestibular Schwannoma / Acoustic Neuroma)
  • 髄膜腫(Meningioma)
  • 下垂体腺腫(Pituitary Neuroendocrine Tumor, PitNET)
  • 頭蓋咽頭腫(Craniopharyngioma)
  • 血管芽細胞腫(Hemangioblastoma)
  • 脊索腫(Chordoma)
  • 転移性脳腫瘍(Brain Metastases)

【その他の疾患|Other Indications】

  • 三叉神経痛(Trigeminal Neuralgia)
  • 本態性振戦(Essential Tremor)
  • てんかん(Epilepsy)
  • パーキンソン病(Parkinson’s Disease)
  • 眼窩内疾患(Intraorbital Lesions) など
    ※ てんかん・パーキンソン病・本態性振戦などの機能的疾患は、現行の保険診療では適応外となっております。あらかじめご了承ください。

4.治療実績|Treatment Record

当センターでは、2002年4月から2024年12月までに延べ3,579件のガンマナイフ治療を実施しており、脳動静脈奇形(AVM)に対する治療件数は512件にのぼります。

年次別治療件数の推移|Annual Trend in Gamma Knife Cases

  • ガンマナイフ治療総件数:3,579件(2002年4月〜2024年12月)

    年次別 ガンマナイフ治療疾患別件数(2002年〜2024年)

  • 脳動静脈奇形AVM治療件数:512件

    年次別 AVM に対する治療モダリティ別件数(2018年〜2024年)

ガンマナイフ治療の対象疾患は時代とともに変化しており、転移性脳腫瘍ではマスク固定による分割照射や三叉神経痛などの機能的疾患への適応も増加しています。
AVMにおいては、直達術・血管内治療・放射線治療を組み合わせた集学的治療戦略の中で、ガンマナイフが重要な役割を担っています。

転移性脳腫瘍

5年間再発なく病変コントロールを維持しています。

脳動静脈奇形

深部や危険部位にあって手術による摘出が困難な脳動静脈奇形は、ガンマナイフによる治療を行っています。ガンマナイフ単独で根治が難しい場合には、手術・血管内治療・ガンマナイフを組み合わせた複合治療(multimodal treatment)を行っています。

三叉神経痛

右第2・第3枝領域(三叉神経V2・V3)の三叉神経痛でお悩みの患者さんに対して、ガンマナイフによる定位放射線治療を実施しました。
治療後、痛みは変動を繰り返しながらも1〜2か月の経過で徐々に軽減し、最終的に消失しました。

5.よくあるご質問|Frequently Asked Questions(FAQ)

お問い合わせの多いご質問とその回答を掲載しています。
こちらに記載のないご不明点は、担当医または外来までお気軽にお問い合わせください。

ガンマナイフ治療について

Q.脳以外の場所の治療はできますか?
A.ガンマナイフは脳疾患専用の定位放射線治療装置であり、肺や脊髄などの病変は対象外です。
Q.治療は何回も行うのでしょうか?
A.原則として1回の照射で治療を完了します。
ただし、マスク固定の場合は「寡分割照射」や「多段階照射」などを行うことがあり、複数回に分けて照射しても一連の治療として1回と数えます。
また、疾患や病変の性質によって、照射後に効果が現れるまでの期間は異なります。詳細は担当医にご相談ください。

ガンマナイフ入院について

Q. 入院期間はどのくらいですか? 日帰り治療は可能ですか?
A.原則として2泊3日または1泊2日です。
AVMや事前検査が必要な場合には2泊3日となります。
マスク固定による分割照射では日帰り治療も可能です。詳細は担当医にご相談ください。
Q.費用はどのくらいかかりますか? 保険は使えますか?
A. 多くの疾患は保険適用対象です。以下は一例です。
区分費用
70歳未満 3割負担約18万円
70歳以上 1割負担約5万円
70歳以上 3割負担約9万円
自費約50万円
Q.薬を飲んでいますが、治療前に中止が必要ですか?
A.多くのお薬については、治療前に中止する必要はありません。
ただし、一部のお薬では中止や用量の調整が必要となる場合があります。
詳しくは入院時に確認いたしますので、入院日数分のお薬を必ずご持参ください。
(外来受診時にはお薬手帳をご持参ください)

固定方法について|フレーム固定

Q.なぜフレーム固定が必要なのですか?
A.ガンマ線を正確に病変に集中照射するためには、頭部の位置を高精度に保つ必要があります。そのため、専用の金属フレームで頭部を固定し、照射精度(〜0.15mm)を確保します。フレームは局所麻酔を行ったうえで装着し、治療後はすぐに取り外されます。
Q.フレームのピンはどこまで刺さるのですか?
A.頭蓋骨の表面までです。骨を貫通することはありません。
Q.傷跡は残りますか?
A.一時的に点状のあとが残ることがありますが、数日で目立たなくなります。
洗顔・洗髪も、翌日から問題なく行っていただけます。
Q.髪を剃る必要はありますか?
A.髪を剃ったり短くする必要はありません。
Q.フレーム固定は痛いと聞きました。
A.フレーム装着時には局所麻酔の注射で一時的な痛みを伴うことがありますが、その後は徐々に軽減されます。装着処置の際には、鎮痛薬や鎮静薬を併用し、不安が強い場合は抗不安薬の使用も可能です。
また、治療後に頭の「じわじわする感じ」や軽い痛みが出ることがありますが、多くは1時間以内におさまり、必要時は内服薬で対応します。
Q.全身麻酔は可能ですか?
A10歳以下のお子さまには全身麻酔を使用します。
成人の場合は、原則として局所麻酔で対応しますが、不安の強い方には鎮静薬で「うとうとした状態」で治療を受けていただくことも可能です。
>お気軽にご相談ください。

固定方法について|マスク固定

Q.マスク固定とはどのような方法ですか?
A.マスク固定とは、熱で柔らかくなる樹脂製のマスクを顔に合わせて成形し、治療中の頭部を安定させる方法です。痛みを伴う処置はなく、フレームを使わないため身体への負担が少ないのが特徴です。
Q.マスク固定でも照射の精度は大丈夫ですか?
A.当院で使用しているガンマナイフICON®では、マスク固定でも0.15mmの高い照射精度を維持できます。
頭部の位置は、照射中もリアルタイムで監視・自動補正されるため、正確に治療を行うことが可能です。
Q.どのような場合にマスク固定が選ばれますか?
A.主に以下のようなケースでマスク固定が適応となります:
・転移性脳腫瘍など、寡分割照射(数日に分けた照射)が必要な場合
・フレーム装着の負担を避けたい方
・外来日帰り治療を希望される方 など
一方で、高精度が求められるAVMや小病変への単回照射では、フレーム固定が適している場合もあります。また、閉所恐怖症のある方には、マスク治療が難しい場合もあります。
最終的には、疾患の種類・照射範囲・ご本人のご希望などを総合的に考慮し、担当医が適切な固定方法を判断いたします。
Q.マスク固定でも痛みはありますか?
A.マスクの装着自体は痛みを伴いません。
やや圧迫感を感じることがありますが、リラックスしていただけるようスタッフがサポートします。
Q.マスク固定の作成にはどのくらい時間がかかりますか?
A.初回の固定作成にはおおよそ20分程度かかります。
その後は毎回同じマスクを使用しますので、2回目以降の治療ではすぐに始められます。
Q.日帰り治療は可能ですか?
A.はい、マスク固定で分割照射を行う場合には日帰りでの対応が可能です。
ただし、事前検査の結果や全身状態によっては入院をお願いすることもありますので、詳細は外来でご案内いたします。

ガンマナイフ治療中のこと

Q.治療時間はどれくらいかかりますか?
A.治療部位や大きさにより異なります。照射時間は、治療計画が完了した段階で正確にお伝えいたします。
Q.治療中は絶食でしょうか。
A.フレーム装着後の検査までは絶食となります。フレーム装着している状態ですので、装着中は咀嚼が難しいため、昼食にはパンなど手で食べられるものをおすすめしています。
治療中も飲水は可能ですので、ストローをご持参いただくと水分補給がしやすくなります。
A.マスク固定の場合には、食事制限はありません。
Q.トイレが近いので心配です。
A.照射中でも遠慮せずにスタッフにお申し出下さい。一時休憩を挟み、途中から照射を再開することが可能です。

治療後について

Q.治療後の制限はありますか。
A. 特別な制限はありません。治療後はそのまま日常生活にお戻りいただけます。
Q.髪の毛は抜けますか。
A.多くの場合、脱毛の心配はありません。
ただし、脳表に近い病変に照射した場合には、2〜3週間後に一時的な脱毛が生じることがありますが、その後再生しますのでご安心ください。
Q.副作用が心配です。
A.副作用の有無や内容は、病変の部位・大きさ・患者さんの状態によって異なります。
治療をご相談いただく際には、お一人おひとりに応じて、治療による効果と副作用の可能性について丁寧にご説明いたします。
当院では、副作用のリスクが比較的低く、かつ治療による効果が大きいと見込まれる方に対して、ガンマナイフ治療をご提案しています。
Q.治療後の定期検査はどうなりますか?
A.原則として、治療後3か月ごとの外来通院をお願いしています。
経過が安定してくれば、6〜12か月ごとの通院に切り替えます。
遠方にお住まいで通院が難しい方には、紹介元の医師と連携し、検査画像や所見をご提供いただく形での経過観察も可能です。

最終更新日:2025年04月28日

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