AVM(脳動静脈奇形)外来
診療科等の概要
AVM(脳動静脈奇形)外来|脳神経外科 特殊外来 のご案内
脳動静脈奇形(AVM)と診断された方のなかには、
- どんな病気なのか
- どんな治療があるのか
- 後遺症は残らないか
といった不安や疑問を抱えていらっしゃる方も多いと思います。
当センター脳神経外科では、
- 顕微鏡手術(マイクロサージェリー)
- 血管内治療(カテーテル治療)
- 定位放射線治療(ガンマナイフ)
の3つの治療法すべてに対応できる体制を整えており、各分野の専門医が連携して最適な治療方針を検討しています。
AVM外来では
- 専門医による丁寧な診察と説明
- 最新の治療法や臨床データに基づく治療方針のご提案
- 必要に応じた検査入院による精査
を行っております。
受診を希望される方へ(※紹介予約制)
AVM外来は完全予約制です。
かかりつけ医・主治医の先生を通じて、当センター専門医療連携室からご予約ください。
紹介時には以下の資料をご準備いただけると、スムーズな診療につながります:
- 診療情報提供書
- 画像データ(MRI、CT、脳血管撮影画像など)
- 検査結果(血液検査、脳波など)
外国人患者の方へのご案内
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/outpatient/op001/ の「外国人患者の方へのご案内」にリンクしてください
AVM(脳動静脈奇形)の患者さんをご紹介いただく場合
「診療予約依頼書」 に必要事項をご記入の上、専門医療連携室(06-6170-1348)へFAXでご送信ください。患者さんには紹介状をお渡しいただき、火曜日にご来院いただくようご指示ください。
外来日時 | 毎週火曜日15:00~(予約制、初診のみ) |
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診療科 | 脳神経外科 |
AVM(脳動静脈奇形)外来担当医
氏名(職名) | 専門領域 |
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片岡 大治(脳神経外科部長) | 脳血管障害の外科的治療(脳動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病、頚動脈狭窄症)、頭蓋内腫瘍の外科治療 |
森 久恵(脳神経外科医長) | 定位放射線(ガンマナイフ)治療、脳神経外科一般 |
脳動静脈奇形とは
どのような病気か
脳動静脈奇形(AVM)とは、脳の中で異常な動脈と静脈が毛細血管を介さず直接つながり、その部分がとぐろを巻いたような血管の塊(ナイダス)となっている状態です。
ナイダスは正常な血管に比べて壁が薄く、破れやすいのが特徴で、破れると脳出血やくも膜下出血といった脳卒中を引き起こします。
出血しなくても、けいれんや手足のまひなどの症状が出ることがあり、健康診断や脳の検査で偶然に見つかることもあります。
脳動静脈奇形は、一部の例外を除いて遺伝とは関係ありません。
この病気は脳のどこにでも発生しますが、とくに大脳半球に多く、20~40歳代の若年層における脳出血の原因の一つとして知られています。
当センターは、小児から高齢者まで幅広い年齢層のAVM治療に対応しております。
検査と治療方法
検査について
脳動静脈奇形(AVM)の検査には、次のような画像検査が行われます:
- CT・MRI・MRA:脳の構造や血管の様子を確認します
- 脳血管造影(カテーテル検査):細い管を血管に入れて、詳しく血流の状態を調べます
- 脳血流検査(ラジオアイソトープを使う検査):必要に応じて、脳の血液の流れを詳しく調べます
これらの検査結果をもとに、患者さんごとに最適な治療方法を検討します。
治療方針
脳動静脈奇形(AVM)は、最新の研究によると、脳動静脈奇形(AVM)の年間出血リスクは、未破裂の場合で約1~3%とされています。一度出血を起こしたAVMでは、再出血のリスクが高まり、初回出血後1年間での再出血率は報告では7~15%程度とされています 。
そのため、一度でも出血したAVMに対しては、原則として何らかの治療をおすすめしています。
一方で、出血していないAVMについては、
- 治療によるリスク
- 経過をみることによるリスク(自然経過)
の両方をわかりやすくご説明した上で、ご本人やご家族と一緒に治療方針を決定しています。
治療について
脳動静脈奇形の治療方法には、以下の4つがあります:
- 開頭手術(AVM摘出術)
→ 脳の異常な血管(ナイダス)を外科的に取り除きます - ガンマナイフ(定位放射線治療)
→ 放射線を集中して当て、数年かけてナイダスを閉塞させます - 血管内治療(塞栓術)
→ カテーテルを使って、異常な血管を内側から詰めます - 経過観察(慎重なフォローアップ)
→ 出血のリスクが低いと判断された場合や、開頭手術・ガンマナイフ・血管内治療といった治療を行うことでかえってリスクが高まると考えられる場合には、あえて積極的な治療を行わず、経過観察(慎重なフォローアップ)を選択することがあります。この場合も、定期的に画像検査(MRIやMRAなど)を行い、AVMの変化や新たな症状がないかをしっかり確認しながら対応していきます。
組み合わせた治療(複合治療)
血管内治療だけで根治できる例は全体の約10%と限られています。
そのため、AVMの大きさや形、位置に応じて、手術やガンマナイフと組み合わせて治療することが多くあります。
治療方針が決まるまでの流れ
AVM外来受診(火曜日)
- 診察・画像診断説明
- 追加検査が必要な場合は検査入院をお勧めします
検査入院(約1週間)
- 頭部MRI,MRA,functional MRI
- 脳血管撮影(カテーテル検査)
- ヘリカルCT
- 血液検査、心機能検査など
- 脳波、PET、眼科受診など
カンファレンス
- 治療方針検討
最良の方針を決定し、後日ご説明させて頂きます。検討の結果治療適応とならない場合もあります。
- 治療方針検討
治療
- 手術【10~30日程度の入院】 血管内治療との複合治療の有無により多少前後します
- ガンマナイフ【3日程度の入院】
- 経過観察 当院外来通院、もしくはかかりつけ医受診
外来受診(月~金)
- 外来担当医は検査・治療入院の時に決まります
生活で注意すべきこと
出血はまえぶれなくおこることがほとんどですので、AVMを診断されていて突然の意識混濁、頭痛、めまい、手足の麻痺などの症状が現れた場合には、夜間・休日関係なく病院にご連絡下さい。
最終更新日:2025年05月07日