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重大な不適合の公表

臨床研究法における「重大な不適合」とは

「重大な不適合」とは、臨床研究の対象者の人権や安全性および研究の進捗や結果の信頼性に影響を及ぼすものをいう。例えば、選択・除外基準や中止基準、併用禁止療法等の不遵守をいい、臨床研究の対象者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により研究計画書に従わなかったものについては含まない。
なお、実施医療機関の管理者は、当該「重大な不適合」に関する対応の状況等を公表すること。

(「臨床研究法施行規則の施行等について(令和4年3月31日改正、医政経発0228第1号、医政研発0228第1号)」より)

人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針における「重大な不適合」とは

当該研究の倫理的妥当性及び科学的合理性が損なわれるほどに著しくこの指針から逸脱しているもの。
下記に例示するような場合は、研究の内容にかかわらず、不適合の程度が重大であると考えられる。

・ 倫理審査委員会の審査又は研究機関の長の許可を受けずに研究を実施した場合
・ 必要なインフォームド・コンセントの手続を行わずに研究を実施した場合
・ 研究内容の信頼性を損なう研究結果のねつ造や改ざんが発覚した場合
・ 指針第6章第11の1(3)の「研究に関する情報の漏えい等」の報告を受けた場合

(「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」ガイダンスより)

研究機関の長は、当該研究機関が実施している又は過去に実施した研究について、この指針に適合していないことを知った場合には、速やかに倫理審査委員会の意見を聴き、必要な対応を行うとともに、不適合の程度が重大であるときは、その対応の状況・結果を厚生労働大臣(文部科学省の所管する研究機関にあっては文部科学大臣及び厚生労働大臣。経済産業省の所管する研究機関にあっては厚生労働大臣及び経済産業大臣。)に報告し、公表しなければならない。

(「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」第6章第11の3(1)より抜粋)

当センターで発生した「重大な不適合」

令和5年以降当センターで発生した「重大な不適合」について、以下の通り公表します。

臨床研究法関係

(2024年3月)

研究課題名エベロリムス溶出性プラチナクロムステント留置後の抗血小板療法をP2Y12阻害薬単剤とすることの安全性と有効性を評価する研究(PREMIUM)
概要2023年6月から同年9月の間、当該研究の同意取得の際に以下の事案が発生した。
・ 研究分担医師以外の医師が説明、同意文書への署名を行った。(3件)
・ 研究分担医師が説明を行ったが、同席していた研究分担医師以外の医師が同意文書に署名を行った。(1件)
・ 研究分担医師が説明を行い、同意文書に、研究分担医師と研究分担医師以外の医師の2名が署名した。(2件)
発生理由・ 説明と同意取得は研究責任医師又は研究分担医師が行わなければならないこと、臨床研究に従事する者以外が研究に関わってはならないことに対する認識が不足していた。
・ 研究分担医師の登録漏れに対する確認が不足していた。
対応状況等2023年10月に同研究の監査担当者により本件が指摘され、状況を確認後、同年12月末に研究代表医師(他施設)が、臨床研究審査委員会に報告書を提出し、2024年2月に同委員会より報告書が承認された。
今後、研究責任医師、研究分担医師より、対象者より再同意を取得する予定とし調整している。
再発防止策研究責任医師らは、研究分担医医師の登録漏れがないよう、十分留意する。
国循内の研究者らへの情報共有を行い、同様の事案の発生の防止に努める。
臨床研究法に対する理解が不十分であることが原因の一つであると考えられるため、e-learningなどを活用し、研究者らへの臨床研究にかかる教育を徹底する。

(2025年7月)

研究課題名2型糖尿病患者におけるルセオグリフロジン投与時の心筋血流予備能に与える影響(LUCENT-J study)
概要研究責任医師は、令和6年5月の奈良県立医科大学臨床研究審査会に本研究の終了報告を行い、承認されていた。しかし、同年12月、今後の2次解析について検討中に、アンモニアPET検査からの心筋血流予備能(MFR)、左室駆出率(EF)データの取得法に疑義があることが判明した。そこでデータ取得法について再確認を行なったところ以下が判明した。
  1. MFRデータは本来画像データにのみ保存されているglobal MFRを取得すべきであったが、データ入力担当は、検査結果レポートの冠動脈3枝中、MFRが最小の1枝のデータを研究データとして入力していた。
  2. EFのデータに関しては、画像解析生データより『検査結果レポート』への転記に際し、誤転記の可能性が生じるため、本来は画像解析生データよりデータを取得すべきであったが、データ入力担当は、『検査結果レポート』よりデータを取得した。
これらに伴い、本来選択基準を満たさない4症例が研究対象者に含まれていたことを認識した。
発生理由研究計画書に、研究対象者選択の判断にも必要であった、アンモニアPET検査からのデータ抽出法について明記されておらず、データ取得のための手順があいまいであった。
対応状況等研究責任医師は、「研究データ取得の手順書」を作成し、手順書に基づきデータを再取得した。
MFRのデータの変更訂正に伴い、選択基準であるMFR3以下を満たさない4症例を解析症例より除外した。変更訂正後のMFR、EFデータおよび変更訂正後に選択基準より除外された4症例を除いた33症例で再解析し、臨床研究結果の変更訂正を行った。
令和7年5月に奈良県立医科大学臨床研究審査会において、修正した総括報告書についてあらためて審議され、継続審査を経て6月に終了報告が承認された。また、選択基準に該当しない患者が含まれていたことから重大な不適合報告書を提出し、了承された。
再発防止策研究責任医師らは、研究データの取得に関して、研究実施体制内で共通認識が得られるよう、分かりやすく研究計画書等に明記し、情報共有を徹底する。

人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針関係

令和元年公表の観察研究に係る研究倫理指針不適合事案についてはこちらからご確認ください。

最終更新日:2025年07月11日

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