国立循環器病研究センター

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医療人の育成

先輩紹介:冠疾患科

心臓血管内科 心臓血管系集中治療科 専門修練医 相川裕彦

先輩プロフィール

出身地 富山県
出身校
金沢大学医薬保健学域医学類 2017年卒業

研修・勤務先
2017年4月~2019年3月 
初期研修(富山県立中央病院)
2019年4月~2020年3月
後期研修(北摂総合病院)
2021年4月~2023年3月
国立循環器病研究センター レジデント
2023年4月~
国立循環器病研究センター 専門修練医(CCU)

趣味 YOUTUBE鑑賞

 

◆国立循環器病研究センターを志望した理由

金沢大学を卒業し、地元の中核病院で初期研修を行っていた際、劇症型心筋炎の若年女性患者を診させていただく経験を得ました。その方はcentral ECMO(心肺補助装置)を必要とし、残念ながら心機能の改善はみられず、救命することができませんでした。その経験を通して、移植医療や植込み型補助人工心臓などのより先進的な循環器医療を学ぶことで、多くの命を救いたいと強く思うようになりました。そのような経緯から、3年目からの後期研修を迎えるにあたり、国立循環器病研究センター(国循)と北摂総合病院との連携プログラムに参加しました。初めの1年間は北摂総合病院で過ごし、国循OBである森井功先生、永松航先生、相川幸生先生をはじめとした先生方に熱いご指導をいただきました。つづく3年間は国循の心臓血管内科ラウンドコースのレジデントとして勤務しました。現在、医師7年目に突入し、心臓血管系集中治療科(CCU)の専門修練医として、急性心筋梗塞や急性心不全の急性期治療、補助循環の管理を深く学ぶ日々を送っています。

◆国立循環器病研究センターはどんなところ?

国循の心臓血管内科ラウンドコース(レジデントコース)では、6つの科に分かれた各専門分野を3ヶ月ごとにローテートして、集中的に特定の疾患を深く学ぶ機会が得られます。肺高血圧、移植医療、希望すれば小児循環器などの特殊な領域もカバーでき、疾患のクリニカルコースを勉強することが可能です。また多くの重症患者のケースに触れることができるという点で非常に価値がありました。ローテートに際し、各科指導医によるレクチャーが定期的に開催され、疾患の理解が一層深まります。指導医の先生方は熱心で、疑問や不明点に対しても丁寧に答えてくださいます。忙しい日々の中でも同期と切磋琢磨して、充実した学びの時間を持つことができました。
現在専門修練医として勤務しているCCUでは、循環器の分野を問わず多彩な疾患を経験できています。基礎心疾患・増悪因子を考え、客観的評価に基づいて心不全治療や補助循環の離脱を進めるアプローチを学ばせていただき、日々充実した日々を送っています。レジデント時代に勉強した内容をもとに、疾患のクリニカルコースを考えた治療・時間感覚を持って治療を行うことを意識して実践しています。

◆学術活動・研究活動について

国循の特長の一つは、学術指導の充実です。国循にはいくつかの連携大学院制度が設けられており、臨床の経験を積みながら同時に学位も取得することが可能です。私自身、レジデントの3年目から熊本大学との連携大学院に進学し、冠疾患科の藤野雅史先生の下で、レジデント時代に関心を持った急性心膜炎という希少疾患の研究を進めています。藤野先生の丁寧な指導により、レジデント3年目の日本循環器病学会学術集会(JCS2023)で発表し、医学雑誌に同時掲載することができました(Aikawa H, Fujino M, et al. J Cardiol 2023;82:268-273.)。同テーマで研究を継続し、2023年8月にアムステルダムで開催されたヨーロッパ心臓病学会学術集会(ESC)での発表も経験することができました。学術的なバックアップが強力である国循は、研究に興味がある医師にとっても非常に魅力的な環境だと感じています。

◆国立循環器病研究センターでの研修を検討されている先生方へ

国循では臨床と研究の両方において積極的な取り組みが行われており、循環器内科医としての実力をしっかりと身につけることができます。同じ目標を持った同期との絆も、ここでの研修を通じて築ける大切な財産となると思います。皆さんもぜひ国循での研修を考えてみてください。

◆指導医より

相川先生は、強心剤の点滴からなかなか離脱ができない高齢の重症心筋梗塞の患者さんを無事退院まで粘り強く治療を行っていた印象が強く残っています。治療方針を熱心に自身で考え、診療チームとのディスカッションでは自身の考えを主張しながらも、建設的に方針を検討する柔軟な姿勢も持ち合わせていました。
そのような姿勢は臨床研究にも繋がっていました。心膜炎の再発症例の治療に関する文献的検討をした際、本邦からの報告がほぼ皆無であることに彼は気づきました。当時国循には心膜炎のデータベースはありませんでしたので、彼はその作成から取り組みました。自身のクリニカルクエスチョンを解決する過程は決して簡単なものではなく、多くの時間を要したと思います。しかしながら、その最初の取り組みは、臨床論文執筆、公的競争的研究費の獲得(私が指導したレジデントでは初の獲得でした)、そして海外学会でのプレゼンテーションを経て、医師として大きな刺激、経験になったのではないかと思っています。
目下、彼はさらなる臨床研究に挑んでいますが、国循での経験が日本を牽引する臨床研究医となる助力になれば幸いです。

冠疾患科 藤野雅史

◆国立循環器病研究センターでの業績

『In-hospital adverse events and recurrence in hospitalized patients with acute pericarditis』
Hirohiko Aikawa MD, Masashi Fujino MD, PhD, Kota Murai MD, Takamasa Iwai MD, Kenichiro Sawada MD, Hideo Matama MD, Hiroyuki Miura MD, Satoshi Honda MD, PhD, Shuichi Yoneda MD, PhD, Kensuke Takagi MD, Fumiyuki Otsuka MD, PhD, Yu Kataoka MD, PhD, FJCC, Yasuhide Asaumi MD, PhD, Yoshio Tahara MD, Soshiro Ogata PhD, Kunihiro Nishimura MD, PhD, MPH, Kenichi Tsujita MD, PhD, FJCC and Teruo Noguchi MD, PhD
Journal of Cardiology, 2023-10-01, Volume 82, Issue 4, Pages 268-273, Copyright © 2023 Elsevier Ltd

最終更新日:2023年09月27日

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