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心血管リハビリテーション科

心血管リハビリテーション科の特色

心臓リハビリに参加することにより、心筋梗塞の患者様の死亡率が20~26%低下することや、風船・ステント治療後や慢性心不全の患者様の再入院率が減少することがわかっています。日本循環器学会や欧米の心臓病治療ガイドラインでも、急性心筋梗塞・狭心症・心臓術後・慢性心不全などの患者様が心臓リハビリに参加することが推奨されています。

当センター心血管リハビリテーション科は、リハビリ棟の4階と5階の広々としたスペースで、医師・看護師・理学療法士・臨床検査技師・健康運動指導士などがチームとなって、心臓病の患者様の体力回復・快適な生活・再発防止をめざして心臓リハビリを実施しています。当科は、心臓リハビリ室のスペースの広さ、内容の充実度、実施件数のいずれをとっても日本でトップクラスです。当科のスタッフは、心臓リハビリに参加して体力を回復し元気になられた患者様の笑顔を何よりの喜びとして、毎日の業務につとめています。

心臓リハビリテーションについての説明

1. 心臓リハビリテーションの定義

心臓リハビリテーションの定義は、「心疾患患者の最適な身体的、心理的、社会的状態を回復および維持し、基礎にある動脈硬化の進行を抑制し、さらに罹病率と死亡率を低下させることをめざす多面的介入であり、内容として、運動療法のほかに冠危険因子是正や患者教育・カウンセリングも含む」とされています(米国心臓協会AHA2005年学術声明)。

ここで重要な点は、心臓リハビリのゴールは、単に体力を取り戻し自信を付けて社会復帰するだけでなく、長期にわたり健康状態と生命予後を改善することも含んでいるということと、心臓リハビリは運動療法だけでなく冠危険因子是正や教育・カウンセリングなども含む多職種チームによる多面的な介入であるということです。

2. 心臓リハビリテーションの効果

虚血性心疾患および慢性心不全に対する心臓リハビリテーションの主な効果として、以下のものが証明されています。

  1. 運動耐容能(最高酸素摂取量)の増加
  2. 狭心症症状・心不全症状の軽減
  3. 冠危険因子(脂質異常・耐糖能異常・高血圧・肥満)の是正
  4. 動脈硬化進行抑制、血管内皮機能改善、冠側副血行路発達促進、自律神経機能改善、凝固線溶系機能改善など
  5. 左室リモデリング抑制、血中BNP下降
  6. 不安・抑うつの解消、QOL改善
  7. 長期予後改善(心死亡率低下、再入院減少)

3. 国立循環器病研究センター心臓リハビリテーションプログラム

当センターでは、病棟で200m歩行が可能となった段階で心臓リハビリ室での心臓リハビリプログラムを開始します。患者様は医師やリハビリスタッフの指示に従い心電図を付けて歩行・自転車こぎ・エアロビクス体操・ストレッチ運動などの運動療法をおこなうとともに、集団講義で心臓病の正しい知識や食事・禁煙・日常生活について学習し、さらに個人面談で退院後の生活や不安について指導を受けていただきます(図3)。

心臓リハビリの有益な効果は長期にわたり継続することで得られますから、退院後も週2~3回外来リハビリに通院していただき、在宅運動療法と合わせて週5~7回運動療法を継続することが大切です。当センターの心臓リハビリプログラムは3ヶ月でいったん終了となりますが、現在わが国では心臓リハビリ(心大血管疾患リハビリテーション)は開始日から150日まで健康保険が認められていますので、希望があれば開始から5ヶ月後まで継続していただくことができます。


【図3】国立循環器病研究センターの心臓リハビリテーションプログラム

国立循環器病研究センターの心臓リハビリテーションプログラム

心臓リハビリテーションの実施風景

【図4】心臓リハビリにおける歩行運動
心電図モニターを付けて一定の速度で室内トラックを歩行します。自覚症状や心拍数の変化を注意深く観察して、歩行速度を適切に調節します。最初は1回5~10分歩行から開始し、慣れてくれば歩行時間を徐々に延長して1回30分歩行とします。

心臓リハビリにおける歩行運動

【図5】心臓リハビリにおける運動療法:自転車エルゴメーター
運動負荷試験をおこない、患者様ひとりひとりに最も適した運動の強さや時間を決め、医療スタッフの監視のもとで心電図を確認しながら安全に自転車こぎ運動などの運動トレーニングをおこなっていただきます。また自宅での運動療法のやり方について指導をおこないます。

心臓リハビリにおける運動療法:自転車エルゴメーター

【図6】心臓リハビリにおける運動療法:セラバンドを使用した低強度レジスタンス運動
上半身の筋肉の強化を目的として、セラバンド(ゴムベルト)を使用した低強度レジスタンストレーニングを実施します。音楽に合わせて、楽しい雰囲気の中でおこないます。

心臓リハビリにおける運動療法:セラバンドを使用した低強度レジスタンス運動

【図7】心臓リハビリでの患者様向け集団講義
心臓リハビリに参加されている患者様とその家族の方を対象として、心筋梗塞や心不全といった心臓病の原因や治療方法、食事療法や禁煙の実行方法、日常生活での注意事項、運動療法のしかたなど合計18項目のテーマについて講義をおこなっています。医師・看護師・薬剤師・栄養士・検査技師・運動指導士が講師をつとめ、1回約40分間、週3~4回実施しています。質問も受け付けています。

心臓リハビリでの患者様向け集団講義

【図8】心臓リハビリにおける医師・看護師による個人面談
退院後の生活や社会復帰での注意、運動療法のやり方、不安やうつ状態などについての相談およびアドバイスを個別におこないます。医師および看護師が担当し、通常は初回参加時、退院時、3ヶ月後に行います。

心臓リハビリにおける医師・看護師による個人面談

【図9】心肺運動負荷試験(運動耐容能検査、CPX)
マスクを付けて自転車こぎの運動負荷テストを行い、吐く息を集めて運動中の酸素の摂取量や二酸化炭素の排出量を精密に測定することにより、その人の最大運動能力、有酸素運動能力、運動中の呼吸状態や心電図などを評価する検査です。自転車のペダルが徐々に重くなり、その人の限界に達したところで終了します。通常は、心臓リハビリの開始1~2週間後と3ヵ月後に測定して、運動療法での最適トレーニング強度の決定や運動能力の改善率評価に利用します。

心肺運動負荷試験(運動耐容能検査、CPX)

【図10】CPX検査データに基づく運動耐容能評価と運動処方
CPX検査において、症候限界性運動負荷時の呼気ガス分析データから、その人の運動耐容能(最高酸素摂取量Peak VO2)を評価することが可能です。さらに、運動療法における最適トレーニング強度(トレーニング心拍数)を決定することができます。下図の実例では、運動耐容能(Peak VO2)は年齢・体重補正後に98.3%で正常であり、嫌気性代謝閾値(AT)から求めたトレーニング心拍数は100/分であることがわかります。

 CPX検査データに基づく運動耐容能評価と運動処方

最終更新日 2016年10月17日

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