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血管外科

対象疾患についての説明

1. 大動脈弁輪拡張症

心臓の出口にあたる、大動脈の始まりの場所を「大動脈基部」と言います。この部位の大動脈瘤は「大動脈基部拡張症」と呼ばれています。大動脈の基部が大きいまま放置されていると、大動脈瘤の破裂、急性大動脈解離の発生が危惧されます。特に、血縁に急性大動脈解離を発症した方がいらっしゃる場合には、比較的早期の手術が重要と考えられています。

2. 胸部大動脈瘤(上行、弓部)

横隔膜よりも上部分の大動脈瘤を胸部大動脈瘤といいます。特に脳や腕に血液を送る枝を出しながら弓状に曲がっている、体の中で一番頭寄りにある部位を弓部大動脈と言います。この部位にできる弓部大動脈瘤は比較的日本人によく見られると言われています。

3. 胸部大動脈瘤(下行)

下行大動脈は背骨に沿って比較的まっすぐに存在し、大きな枝分かれがないため、従来行われていた人工血管置換術よりは、ステントグラフト治療が行われることが多くなってきました。ただし、弓部に近い位置に瘤の存在する例や、解離性大動脈瘤の場合では、人工血管置換手術の方が望ましい症例もあります。

4. 胸腹部大動脈瘤

胸腹部大動脈瘤は文字通り、胸部から腹部にわたる広範囲に発生する大動脈瘤です。腹部の重要な臓器に栄養を送る大事な動脈の枝分かれがあり、治療としては人工血管置換術を行うことが多いのですが、状況に応じてステントグラフト治療を行うこともあります。

一般的に大動脈瘤の存在する場所によって4つのタイプに分類します(下図:胸腹部大動脈瘤の分類;クロフォード分類)。手術方法に関しても、この4つのタイプによってそれぞれ置換範囲が変わります。

5. 腹部大動脈瘤(腸骨動脈瘤を含む)

腎臓へ血液を流す腎動脈よりも体の下側にある大動脈です。この部位の大動脈瘤は胸部大動脈瘤に比較して、動脈硬化がより強く関係していると考えられています。男性は女性の5倍の有病率があり、特に60歳以上になると増加することがわかっています。また、喫煙習慣や高血圧、家族歴がある人も腹部大動脈瘤になる可能性が高いといわれています。

6. 大動脈解離(急性・慢性)

大動脈は内膜、中膜、外膜の3層に分かれています。中膜がなんらかの原因で裂けて、もともとは大動脈の壁であった部分に血液が流れ込むことで大動脈内に二つの通り道ができる状態を大動脈解離といいます。

この大動脈解離(下図右側)は、ほとんどの場合、何の前触れもなく突然の胸や背中の激痛とともに起こります。また、起こったばかりの時には、血管が裂けているため血管の壁が薄くなり、きわめて破裂しやすい状態にあります。特に上行大動脈に解離が及ぶと、1時間に1%ずつ死亡率が上昇すると言われています。つまり、48時間以内におおよそ半分の患者さんが亡くなると言うことです。そのため、この病気を発症した場合には早急に医療機関を受診し、適切な治療を受ける必要があります。時間がたって比較的安定した状態になっても、一度解離した大動脈は、もろく弱くなっていることが多く、大動脈瘤のように拡大していくことも珍しくないため、定期的に経過観察をする必要があります。
また、大動脈瘤は、その形から、全体的にふくらんだ紡錘状瘤、部分的にふくらんだ嚢状瘤に分けられます。二つの形が混ざり合ったものもあります。一般的には同じ大きさであれば嚢状瘤の方が破裂の危険性は高いと考えられています。

7. 内臓・末梢動脈瘤

動脈瘤の場所によって、外科治療、血管内治療の何れかを選択します。血管内治療では、放射線科専門医と合同で、コイル塞栓術などの治療を行っています。

8. 閉塞性動脈硬化症を中心とする末梢血管疾患

下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)を中心に、動脈瘤に対する人工血管置換術や狭窄・閉塞血管に対するバイパス術を施行しています。血管内科、放射線科との共同で治療を進めており、カテーテル治療が優先となるが、重症・困難な症例にはバイパス手術を選択しています。病変によっては、手術とカテーテル治療を同時に行う「ハイブリッド治療」も施行しています。

9. 急性・慢性肺動脈血栓塞栓症

重篤な急性肺塞栓症は致死的であり、緊急外科治療の対象となります。また、稀な疾患ですが、慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症は進行性で予後不良です。

10. 遺伝性結合織疾患の血管治療(Marfan症候群など)

遺伝性結合織疾患の患者さんに対する診療に関しては結合織病外来を開設しており診療連携を行っています。Marfan症候群、ロイス・ディエツ症候群、エーラス・ダンロス症候群、大動脈二尖弁などを対象疾患としており、当科におけるその経験数は国内有数です。

11. 炎症性血管疾患(大動脈炎症候群,高安動脈炎など)

炎症性大動脈瘤は、一般的に大動脈壁に炎症細胞の浸潤と著明な線維化を認める原因不明の疾患です。感染性大動脈瘤など原因の判明している炎症を伴った大動脈瘤とは疾患が異なると同時に、その臨床経過と画像検査所見が類似し、鑑別診断が困難なことも多い。

呼称、疫学
本邦では脈なし病、大動脈炎症候群とも呼ばれるが、国際的には高安動脈炎といわれています。本邦での登録患者数は約5,000例と推定され、男女比は1:9と女性に多い疾患です。年齢分布は平均20~50と若年発症(女性の発症年齢は若年であるが、一方、男性では好発年齢がない)する。患者分布は、アジアおよびアフリカに多い。

臨床症状と病型分類
初期には発熱、全身倦怠感など感冒様の症状を認めます。その後、狭窄病変では弓部分枝病変による脳虚血症状(約25%)や視力障害(約5%) 、上肢血管病変による血圧左右差・脈なし(約35%)、腎動脈狭窄や大動脈縮窄による高血圧(約40%) 、冠状動脈狭窄による狭心症(約15%)が主要症状です。約10~30%に認められる拡張病変では大動脈瘤や大動脈弁輪拡大に続発する大動脈弁閉鎖不全に基づく心不全が主体となります。

最終更新日 2016年07月01日

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