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「外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言」発表
国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:大津欣也、略称:国循)の脳神経内科の猪原匡史副院長、田中智貴医長、齊藤聡医長、福間一樹医師、阿部宗一郎医師、山口枝里子医師、千葉哲矢医師、本山りえ医師、山内美穂心理士、SCUの樋口泰子師長らの研究チームが厚生労働省研究事業「脳卒中後の失語・嚥下障害・てんかん・認知症の実態調査と脳卒中生存者に対するチーム医療の確立を目指した研究」を2023年4月より行い、その成果として、「外見からの判別が困難な脳卒中後遺症の制圧に向けた提言」を取りまとめ、2025年4月に公表いたしました。
この提言は、脳卒中・循環器病対策基本法に基づく、重要3疾病(心不全・血管病・脳卒中)を克服するために、5つの戦略(人材育成・医療体制の充実・登録事業の促進・予防/国民への啓発・ 臨床/基礎研究の強化)の一環として行われました。
本提言では、この領域のエキスパートが集結し、4つの代表的な脳卒中後遺症である失語、嚥下障害、てんかん、認知障害に焦点を当て、その実態を調査し、課題を抽出しました。これら4つの脳卒中後遺症は、脳卒中生存者のQuality of life (QOL)や予後に重要な後遺症でありながら、外見からの判別が困難であることから、社会における認知が十分ではなく、脳卒中医療からも取り残されがちとなっております。
本提言では
- 脳卒中後遺障害の現状
- 脳卒中後失語の現状、課題、政策提言
- 脳卒中後てんかんの現状、課題、政策提言
- 脳卒中後認知症の現状、課題、政策提言
- 脳卒中後肺炎/嚥下障害の現状、課題、政策提言
- 脳卒中生存者の栄養管理
- 回復期・生活期から見た脳卒中後遺症
- 看護側からみた脳卒中後遺症(高次脳機能障害)
に区別し、それぞれの後遺症や各医療側から見た現状の課題や今後の展望について報告しています。
本提言によって、眼に見えない脳卒中後遺症に対する、人材不足やエビデンス不足の問題を提起することができ、今後のさらなるエビデンスの創出や研究資源の充実、産学官連携の強化などが加速し、脳卒中生存者が健やかに自分らしく生きられる社会に繋がることを目標としています。
提言書の全文および詳細な分析資料は、こちらからダウンロード可能です。
最終更新日:2025年07月07日