TPVI(経カテーテル的肺動脈弁留置術)外来
診療科等の概要
心室中隔欠損に肺動脈弁下や弁狭窄・右室肥大(右心室の筋肉が分厚くなること)・大動脈騎乗(大動脈が心室中隔をまたがった状態で位置すること)を伴った疾患群をファロー四徴症といいます。先天性心疾患の5〜10%を占めており1歳前後で心臓内の修復手術が行われることが多いですが、徐々に肺動脈弁の逆流が増加し術後10〜30年経過し20歳から40歳代になると、半数以上の患者様に中等度以上の肺動脈弁逆流を認めるとされています (図1)。
再治療せずに放置しておくと不整脈による突然死・心室機能低下による心不全・心内膜炎等をきたし生命予後が悪化することが示されているため、これまで外科的生体弁置換術 (手術で肺動脈に豚や牛の弁を留置して逆流を制御する手術)が行われてきました。しかし重度の肺動脈弁逆流が生じた場合であっても①疲れやすい・むくみ・階段昇降時の倦怠感などの非特異的な症状のため症状の有無がわかりにくい②再治療が必要な時期が就労年齢にあたり長期入院が困難③再治療後も生体弁の劣化に伴い生涯にわたって複数回再治療が必要などの理由で必要な時期に再治療が行われず右室機能が低下する患者様が多く、一旦低下した右室収縮能は改善しないため入退院を繰り返す等の生活の質の低下と10年間で2%前後の頻度で若年性の突然死を来たす点が問題とされてきました (図2)。
またファロー四徴症のみならず肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損・完全大血管転位など先天性心疾患全体の約22%にも肺動脈弁逆流・狭窄を認めるとされており、肺動脈弁に対する再治療が必要です (図3)。肺動脈弁に対する再治療の新たな選択肢としてカテーテルによる肺動脈弁に対する治療 (経カテーテル的肺動脈弁留置術、以下TPVI)が欧米では2000年代前半から開始されています (図4)。本治療は治療時間が約2-3時間、1週間前後での入院期間と手術よりも体への負担が少なく合併症も少ないため2025年に改定された日本循環器学会ガイドラインでは心臓の形態がカテーテルに適合していれば手術と同等のレベルで選択することが推奨されています 。

当センターは同治療における豊富な経験を元に2025年に日本で初めてTPVIに特化した外来を創設しております。肺動脈弁逆流に対応した自己拡張型のTPVIデバイスに関して国際共同治験の段階から関わっており心臓外科や不整脈専門医とも密に連携して国内トップレベルの症例経験を有しています。また限られた施設しか使用できない外科的生体弁置換術や人工導管における肺動脈狭窄や逆流に対応したバルーン拡張型TPVIデバイスの認可と使用経験を有しており、お悩みの患者様や医療機関におかれましてはお気軽に御相談頂けますと幸いです。
最終更新日:2026年06月05日