患者の皆様へ
高度循環器ドック 検査項目と内容
カテゴリー | 検査項目 |
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心臓精密検査 | 心臓超音波検査 心磁図検査 加算平均心電図検査 ホルター心電図検査 |
呼吸機能・睡眠検査 | 呼吸機能検査 簡易睡眠時無呼吸検査 |
冠動脈精密検査 | 心臓MRI検査 |
頭頸部血管精密検査 | 頭部および頸動脈 MRI・MRA 検査 頸動脈超音波検査 |
脳高次機能検査 |
認知機能の検査 重心動揺検査 |
体血管特異的検査 | 胸腹部 CT 検査 ABI 検査 下肢血管超音波検査 |
心臓超音波検査
この検査でわかること
心臓は4つの部屋と、4つの弁と呼ばれるものからできています。この検査では、これらの部屋の大きさや働き、また弁の動きなどをみることで、色々な心臓病の診断ができ、治療方法の選択や効果の判定にも役立ちます。
検査の方法
超音波の通過をよくするために肌にゼリーをつけるため、上半身のみ肌の見える状態になり、ベッドに横になっていただきます。探触子(プローブ)と呼ばれる超音波を送信・受信する道具を肌に押し当てたり、移動させたりしながら心臓の様子を観察します。
検査時間
30分程度です。
検査を受けられる際のお願い
検査を行う際には、心臓を観察しやすくするために体を左横向きにしていただくことや、肺の空気の影響で心臓が観察しづらい場合に息を止めていただくことなどがあります。
心磁図検査
この検査でわかること
心磁図検査は、心臓全体(あるいは各部分)の磁気の変動から、心臓の電気活動を画像として表示できる新しい検査です。この検査では、以下のようなことが判ります。1. 不整脈を中心とした心臓の病気の診断。
2. 不整脈の発生場所や重症度。
3. 心臓の電気の伝わり方が衰えた際におこる伝導障害。
4. 狭心症や心筋梗塞など。
検査の方法
心磁図検査は外界からの電波や磁気を遮断するシールドルームと呼ばれる部屋の中で行います。着衣(検査衣)のままでこの磁気シールドルーム内のベッドに5~10分程度横になり、安静にしていただくだけで検査は終了します。
検査時間
全体の検査時間は15分から20分程度です。
検査を受けられる際のお願い
心磁図検査では心電図検査のような"電極"をつける必要はありませんが、金属の付いた衣服や装飾具などを身につけておられる場合は、検査室内の磁場に影響を与えますので正確な記録ができません。また、心臓ペースメーカやICDなどの機器を体内に埋め込まれている方も検査を行うことができません。心臓から自然に発生する磁気を計測しているだけですので、身体への悪影響は全くありません。安心して検査を受けて下さい。
加算平均心電図検査
この検査でわかること
加算平均心電図は、心電図波形のたし算と平均を交互に繰り返して、通常の心電図では記録できないとても小さな電気信号を記録する検査です。心筋梗塞や心筋症などの病気では、心臓の細胞が傷ついたり、炎症がおこったりすることでその部位の刺激が正常に伝わらなくなるため、心室頻拍や心室細動などの重篤な不整脈をおこす危険があります。
加算平均心電図は、重症心室性不整脈の発生予測に大変有用な検査です。
検査の方法
心電図検査と同様に上半身は肌が見える状態で、脚は膝下が見えるようにして、胸など7箇所に専用の電極シールを取りつけます。検査は、正確に結果を評価するために、2~3回記録を繰り返します。ベッド上で仰向きに15分~30分程度安静にして頂くだけで、検査は終了します。
検査時間
15分から30分程度です。
検査を受けられる際のお願い
電極シールをしっかりと装着するため、汗、皮脂、角質を消毒用アルコールでふき取ります。消毒用アルコールでかぶれる方は事前にお申し出下さい。加算平均心電図検査は、身体のとても小さな信号をとらえる検査のため、検査中に動いたり力が入ったりしているときれいに記録が出来なくなりますので、できる限りリラックスし安静にしていて下さい。また、不整脈があるなど検査を受ける方の状態により検査時間が長くなることもあるので、お手洗いは事前に済ましておいて下さい。
加算平均心電図検査は、心電図検査と同じで心臓から発生する電気を計測しているだけですので、身体への影響はありません。安心して検査を受けて下さい。
ホルター心電図検査
この検査でわかること
不整脈の中には終日続いているものもあれば、一日のうち数分だけ出るようなものもあります。心電図をとっているときに、たまたま不整脈が出れば診断がつくのですが、なかなかそういう機会には恵まれません。ホルター心電図検査では、長時間のモニターでそうした一過性の不整脈を診断することができます。ホルター心電図は体に張り付ける電極の数が少ないので、普通の心電図ほどの精度はありませんが、不整脈の診断には十分です。狭心症発作時の特有の心電図変化も記録できます。検査の方法
胸にいくつかの電極を張り付け、そこから得られる心電図をクレジットカードより少し大きいくらいの小型の機械に記憶させます。
検査時間
夕食後から翌朝まで装置を装着し心電図を記録します。
検査を受けられる際のお願い
特にありません。
呼吸機能検査
この検査でわかること
からだの運動能力、心臓の働きと肺の働きは、密接に関係しています。呼吸機能検査では、肺の大きさ(空気を吸える量と、吐き出せる量)、弾力性の程度(吐き出しの強さ)、ガス交換の効率性(空気中酸素の取り込みやすさ)などを調べます。この検査によって、喘息・気管支炎・肺気腫などの有無と障害の程度がわかります。検査の方法
通常は、椅子に座った状態で検査します。
専用のマウスピースをくわえて、鼻をクリップで止めた状態で、検査します(口呼吸)。空気を吐き出せる量と吸える量を測ったり、吐き出しの速さ・強さや、息をこらえての検査などがあります。
検査時間
15分から30分程度です。
検査を受けられる際のお願い
呼吸機能検査は、しっかりと大きく・強い呼吸を繰り返し行いますので、服装は、胸・お腹・喉を締め付けない楽な服装でお願いします。正確な結果を出すためにご協力をお願いいたします。
簡易睡眠時無呼吸検査
この検査でわかること
睡眠時無呼吸症候群の検査です。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何回か呼吸がとまり、ぐっすりと眠れない病気で、日中の眠気だけではなく、循環器病の危険因子である糖尿病や高血圧、心疾患や脳血管疾患にかかる危険性と関係があると言われています。この検査では、眠っている間の呼吸の状態や、血液中の酸素飽和度を同時に記録することで、睡眠中の無呼吸や低呼吸がないかを調べます。検査の方法
鼻の気流を記録するために、鼻にセンサーをつけ、お顔にテープで固定します。また片手の指1本に動脈血の酸素飽和度を測定するモニターをつけます。
検査時間
夕食後から翌朝まで装置を装着して記録をします。
検査を受けられる際のお願い
爪のマニキュアやネイル装飾は、取り除いてから検査を受けて下さい。防水仕様ではありませんので、装着後は顔に水がかからないようにしてください。手を洗う場合には、指につけたモニターを外して下さい。
心臓MRI検査
この検査でわかること
MRI検査は、強い磁石と電磁波を利用し、脳、肝臓、心臓といった様々な臓器に含まれる水分と脂肪の信号をとらえて画像化する検査です。放射線被ばくがなく、造影剤も使わずに検査を行うことができて、どの方向の断面の撮像も可能です。またいろいろな撮像法があり、検査目的に応じて使い分けることができるのも大きな特徴です。最近の心臓MRIでは、心臓を栄養する血管(冠動脈)の壁の状態を確認して、将来心筋梗塞や狭心症になるような危険な動脈硬化プラークを調べることが可能となりました。
検査の方法
筒のような形の大きな磁石の中に入り検査を受けます。用いる電磁波の周波数(数十メガヘルツ)はラジオで使われている電波の帯域の中にあります。
検査時間
40分から50分程度です。
検査を受けられる際のお願い
MRIは安全性の高い検査法ですが、強力な磁石を使いますので、体に手術や外傷(けが)の処置のため金属が取り付けられていたり、埋め込まれている場合は、画像が乱れたり、危険が生じることがあります。心臓ペースメーカや除細動器が埋め込まれている方や、狭いところが苦手な方には、この検査はできません。
また、心拍や呼吸が安定していない方では画質が落ちて、正確な診断ができない場合があります。
頭部および頸動脈MRI・MRA検査
この検査でわかること
強い磁石と電磁波を利用して行う検査で、放射線被ばくや造影剤注射がなく、詳しく病気を調べることができます。脳ドックなどでMRAが行われるようになり、偶然、脳動脈瘤や動脈が詰まっていることがわかるケースも増えています。
頸動脈では脳梗塞の原因となる危険な動脈硬化プラークを調べる方法の1つとして注目されています。
検査の方法
筒のような形の大きな磁石の中に入り検査を受けます。用いる電磁波の周波数(数十メガヘルツ)はラジオで使われている電波の帯域の中にあります。
検査時間
40分程度です。
検査を受けられる際のお願い
MRIは安全性の高い検査法ですが、強力な磁石を使いますので、体に手術や外傷(けが)の処置のため金属が取り付けられていたり、埋め込まれている場合は、画像が乱れたり、危険が生じることがあります。心臓ペースメーカや除細動器が埋め込まれている方や、狭いところが苦手な方には、この検査はできません。
頸動脈超音波検査
この検査でわかること
頸動脈は手で首を触るとすぐわかるように、体の浅いところにあり、超音波で一番見やすい血管です。頸動脈は動脈硬化が起こりやすい場所であり、この検査により血管の壁の厚さと血管の中を詳しくみることができるため、ごく初期の動脈硬化をとらえることができます。頸動脈を調べることにより、脳卒中になりやすいかだけでなく、心筋梗塞や狭心症のような他の動脈硬化による病気になりやすいかもわかります。
検査の方法
超音波を使って検査を行うため、検査による負担が少なく、横になっていただくだけで簡便に行うことができます。
検査時間
30分程度です。
検査を受けられる際のお願い
検査を行う際には、首を観察しやすくするために仰向きに寝ていただき、頭を左右に傾けていただくことがあります。頸椎の病気がある場合はお申し出ください。
認知機能の検査
この検査でわかること
記憶力、時間や場所に対する見当識(正しく認識する機能)など、認知機能の状態を評価します。検査の方法
口頭での質問に答えていただいたり、文字や図形を書いていただきます。
検査時間
20分程度です。
検査を受けられる際のお願い
読み書きに眼鏡が必要な方はご持参下さい。
重心動揺検査
この検査でわかること
身体のバランスの保持の状態を客観的に検査するのが重心動揺検査です。重心位から普段の姿勢の特徴を知ることができ、同年代の基準値と比較した動揺(ふらつき)の程度を知ることができます。検査の方法
台の上に直立していただき、重心の変化を記録します。
検査時間
10分程度です。
検査を受けられる際のお願い
特にありません。
胸腹部CT検査
この検査でわかること
CTは英語の computed tomography の略で、コンピュータを用いて作るエックス線の断層写真の意味です。大動脈瘤の有無を調べるための撮影を行います。大動脈の撮影では、瘤の有無、形態やサイズを精密に知ることができます。なお、この検査には放射線の被ばくがあります。
検査の方法
筒のようなところに体を入れて、周りから照射されるエックス線で体の輪切り像を作ります。痛みもなく危険もありませんが、身体に埋め込まれている一部の医療機器によっては、調整が必要な場合もあります。
検査時間
10分から15分の検査です。
検査を受けられる際のお願い
造影剤は使用いたしません。除細動器やCRT-D等を埋め込まれている方は、あらかじめお申し出下さい。
ABI検査
この検査でわかること
この検査では、上腕と足に血圧測定用のマンシェットをまき、上腕と足の血圧を同時に測定します。足のほうが上腕より少し血圧が高いのが通常です。ABI(Ankle-Brachial pressure Indexの略)は、足の収縮期血圧を上腕の収縮期血圧で割った値で、この値が低い場合、足の動脈の一部分が狭くなっている可能性が高いことを示します。ABIが1.0以上の場合は正常ですが、0.9以下であれば、足の動脈に病変があると断定できます。この数値が低いほど重症です。ただし、糖尿病や慢性腎不全(特に透析患者さん)では、ABIが1.0以上であっても必ずしも正常だとはいえませんので、注意を要します。検査の方法
ベッド上に仰向きに寝ていただいた状態で、自動ABI測定器で上腕と下肢の血圧を同時に測ります。
検査時間
15分程度です。
検査を受けられる際のお願い
特にありません。
下肢血管超音波検査
この検査でわかること
この検査は、超音波で下肢(足)の動脈に沿いながら血管と血管の中の血液の流れを調べます。動脈硬化などで血管が詰まったり狭くなっていれば、どこの血管がどのくらい狭くなっているかを診断し、治療方法の選択や効果の判定に役立てます。検査の方法
ベッド上に仰向きに寝ていただいた状態で、下肢の動脈の超音波検査を行います。
検査時間
30分程度です。
検査を受けられる際のお願い
特にありません。
最終更新日:2021年09月21日