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高血圧

 

高血圧というのは、血圧が高いという病態です。たまたま測った血圧が高いときには血圧が高いといえますが「高血圧症」とは言い切れません。高血圧症とは、くり返して測っても血圧が正常より高い場合をいいます。くり返しの測定で診察室血圧で最高血圧が140mmHg以上、あるいは、最低血圧が90mmHg以上であれば、高血圧と診断されます。

  1. 高血圧について
  2. 日常生活の留意点について
  3. 食事について
  4. 家庭で血圧を測定される方へ

1. 高血圧について

(1)血圧とは何か

血圧とは心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことです。
血圧は体のすべての血管にありますが、普通は動脈特に上腕動脈の圧力を意味します。
血圧の高さは、心臓が血液を押し出す力と血管の拡張で決まります。血管の弾力性も関係しています。また血圧は、腎臓や神経系、内分泌系、血管内皮からの物質など、多くの因子によって調整されています。
食塩も重要です。
血圧は常に変動しています。通常は朝の目覚めとともに上昇し、日中は高く、夜間・睡眠中は低くなります。
また、冬は夏より高くなります。

(2)最高血圧・最低血圧とは

心臓は、収縮と拡張を繰り返して血液を送り出しているので、動脈の中の血圧は心臓の収縮、拡張に応じて上がったり下がったりします。動脈の血圧が心臓の収縮により最高に達したときの値が「最高血圧または収縮期血圧」、心臓の拡張により最低に達したときの値が「最低血圧または拡張期血圧」です。

イラスト:血圧と血管

(3)高血圧症とは

高血圧というのは、血圧が高いという1つの症状です。たまたま測った血圧が高いときには血圧が高いといえますが「高血圧症」とは言い切れません。高血圧症とは、くり返して測っても血圧が正常より高い場合をいいます。診察室でのくり返しの測定で最高血圧が140mmHg以上、あるいは、最低血圧が90mmHg以上であれば、高血圧と診断されます。

(4)高血圧症の種類


「本態性高血圧症」
原因の判らないものをいい、高血圧症の約90%がこれに入ります。本態性高血圧症は遺伝的な因子や生活習慣などの環境因子が関与しており、生活習慣病といわれています。原因としては以下のことが考えられます。
  • 過剰な塩分摂取
  • 肥満
  • 過剰飲酒
  • 精神的ストレス
  • 自律神経の調節異常
  • 運動不足
  • 野菜や果物(カリウムなどのミネラル)不足
  • 喫煙
「二次性高血圧症」
体の中に血圧上昇の原因となるはっきりした病気がある時にはこれを二次性高血圧症と呼びます。この中には、腎動脈狭窄、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫などのように外科手術により高血圧の治療が期待できるものが含まれます。

(5)高血圧症から起こる病気

イラスト:動脈硬化が原因で起こる疾患

血管の壁は本来弾力性があるのですが、高血圧状態が長く続くと血管はいつも張りつめた状態におかれ、次第に厚く、しかも硬くなります。これが高血圧による動脈硬化で、この動脈硬化は、大血管にも、小血管にも起こり、脳出血や脳梗塞、大動脈瘤、腎硬化症、心筋梗塞、眼底出血などの原因となります。また、心臓は高い血圧にうち勝つために無理をすることになり、心臓肥大が起こり、心不全になることもあります。したがって、こうした合併症を予防するためには、高血圧にならないように注意し、既に高血圧の人は血圧を正常化することが必要です。

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2. 日常生活の留意点について

(1)減塩について

塩分をとり過ぎると体内に水分が蓄積し、血流量を増加させます。これにより血圧が上昇します。1日6g未満を目標にしましょう。
※減塩のポイントは食事についてをご参照下さい。

(2)寒さについて

暖かい所から急に寒い所へ出ると、血管が収縮し、血圧が上がります。特に冬は室内と外気との差をなるべく少なくするようにしましょう。
具体的には

・外出時、マスクやマフラー、手袋などで肌の露出部分を少なくする。
・居間と浴室、便所の温度差が少ないよう暖房や着衣に気を付ける。

夏、冷房が効き過ぎた部屋からそうでない所へ出る時にも血圧を上昇させるので、外気との温度差が5度以上にならないよう気を付けましょう。

(3)入浴について

入浴も血圧の上昇や下降に関係します。特に冬は、寒い脱衣所で裸になると血圧が上がり、熱い風呂に入るとさらに上昇し、風呂に浸かっていると徐々に下がります。そして、風呂から上がると血圧は大きく下がります。あまり熱い湯(42℃以上)ではなく、ぬるめ(40℃ぐらい)の風呂に5〜10分間位浸かりましょう(長湯は禁)。前述のように、風呂場は冷たくないよう暖房をかけたり湯気がたっている状態で使用するのが良いでしょう。

(4)排泄について

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いきみの時間が長いと血圧が上がります。スムーズな便通を心掛けるよう普段から便秘を予防しましょう。具体的には、

・毎日便意がなくても、決まった時間にトイレに行く。胃や大腸は朝食後に刺激を受け、活発に動くので朝食後が望ましい。
・朝食前に冷水や冷たい牛乳を飲む。
・繊維の多い野菜(人参・大根・ごぼう)や海藻類を多く摂る。
・腹部を自分で「の」の字にマッサージする。
 注意※ 腹部大動脈瘤を持っている人は行わないようにしましょう。緩下剤などの下剤が必要な場合もあります。

トイレが居室と比べて冷え込むのが良くないことは前述しましたが、日本式の便器にしゃがむよりも、洋式便器に腰掛けて用を足すほうが、急激な血圧の変動を避けられます。

(5)十分な睡眠と休養について

イラスト:十分に休養をとりましょう

毎日、仕事や家事、育児など社会生活を営んでいれば、必ず過労や緊張、精神的ストレスがありますがなるべくとり除きたいものです。そのためにも、毎日規則正しい生活を送り休養を十分にとり疲れを残さないようにしましょう。過重労働・超過勤務・夜更かしは禁物です。

(6)たばこについて

「百害あって一利なし」とはまさにたばこです。喫煙により血管が収縮し、一時的に血圧が上がるばかりでなく、血液の流れを悪くし、血液が凝固しやすくなり、動脈硬化の原因となります。そうでなくても私達の体は加齢と共に動脈硬化が進んでいます。あなたの血管は、長い習慣の喫煙により、ボロボロになっていませんか?

(7)お酒について

1日の飲酒量は、男性ではアルコールとして1日20〜30mlまで、日本酒なら1合=180cc、ビール中びん1本、ウイスキー水割ならシングル2杯まで。女性はその半分までが適量です。
大量飲酒は血圧を上げ、脳卒中や心臓病、肝臓病などの原因になりますが、一方では少量飲酒者は飲まない人に比べて動脈硬化がいくらか軽く、心筋梗塞や循環器病での死亡も少ない事も知られています。一部の人を除いては、禁酒の必要はありません。

(8)肥満について

太り過ぎは血圧を上げ、心臓にも負担をかけ、全身の動脈硬化を進めたりします。肥満判定基準で男女共に、BMI=25以上は肥満といえます。

肥満判定基準
肥満判定基準計算式

但し、BMIで25未満を目標としますが、人それぞれの体にあった減量方法、減量傾向があり急激な体重減量が必ずしも正しいとは言い切れません。先ずは医師にどれくらいの体重が望ましいか、どういう方法とどれくらいの期間で痩せれば良いかをたずねてみましょう。高血圧の治療と同じで、根気よく、減量にとり組む心構えが必要です。

(9)運動や労作について

運動や労作の許される程度は、その人の高血圧の重症度や合併症の有無と関連するので、まず医師にどの程度、運動しても良いかを、たずねてみましょう。軽い運動(散歩・自分のペースでのジョギング・ラジオ体操・自転車にのる)は、血液の流れを良くし、全身に良いだけでなく、肥満防止につながり気分転換にもってこいです。但し、運動をしていて、息切れが強い、胸がドキドキする、頭がフラフラするなどの症状が起こり、しんどい時は、医師に相談して下さい。

3. 食事について

日々の生活の糧となる食事は、循環器とも密接なかかわりを持っています。
このかかわりを知り、バランスのとれた食事をとることで、症状がおさえられることも少なくありません。
何に注意して、どのようにして食べたら良いのか、基礎知識をきちんと把握して、さっそく実践してみましょう。
詳しくは"食事について"をご参照下さい。

4. 家庭で血圧を測定される方へ

血圧は、運動・安静・入浴・排便・食事・睡眠・体調・精神緊張等の条件で著しく変わります。測る前には、5~10分位安静にし条件を一定にした状態で測ることが望ましいです。

(1)いつも同じ腕・姿勢・時間に測るようにしましょう

(例) 人によって左右差があります。左と右で血圧が10mmHg以上違う場合は、高い方の腕で測りましょう。
姿勢 座った姿勢が望ましいです。座った後、1〜2分安静後に測定しましょう。
時間 - 起床後1時間以内(食事、服薬の前に)
- 就寝前
(その他 - 体の調子が悪いとき)

(2)測るときは、きついシャツ等で腕の上部を締め付けないようにしましょう。

イラスト:血圧のはかり方

(3)血圧計は、腕と同じ高さのところにおいて測りましょう。

(4)血圧記録用紙の記入の仕方(例)

できる限り長期間、全ての測定値を記録しましょう!

(5)血圧計は、定期的に使い始めと、その後、数年に1回の点検が必要です。

(6)高血圧の薬を飲まれている方へ

a. 主治医の指示がない限り、自分で判断して調節したり中止しないようにしましょう。
b. 薬を途中で中止すると、血圧は以前の値に戻り時にはそれ以上に上昇し、高血圧による合併症を起こすことがあります。
c. 副作用や、何か異常のある時は主治医に相談しましょう。

文責:河野 雄平

 

最終更新日:2023年08月04日

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