HOME > 診療科・部門のご案内 > 小児循環器・産婦人科部門 > 小児循環器内科 > 先天性心疾患のカテーテル治療

小児循環器内科

先天性心疾患のカテーテル治療

先天性心疾患に対する治療の歴史をたどると、その修復は外科的治療を中心としてきました。一方、1960年台に始まったカテーテル治療は、器具の進化や技術の向上によって近年急速に進歩を遂げています。現在では外科的治療と協調して、その補完的役割を担うはかりではなく、心房中隔欠損、動脈管開存、肺動脈弁狭窄など一部の疾患においてはカテーテル治療のみで修復が完結するものがあります。このような医療の変遷に伴い、我が国でも先天性心疾患に対するカテーテル治療の実施件数は年間4000件を超え(JPIC学会集計)広く普及してきました。国立循環器病研究センターでは黎明期より数多くのカテーテル治療実績を積み重ね、多くの治療手技において、教育的役割を担う施設として治療の安全性向上や普及に貢献してきました。また、成人期の先天性心疾患に対するカテーテル治療例も多く、担当部門の連携を密にして、大人の患者さんにも満足していただける医療を提供できるよう心がけています。

近年の当科のカテーテル治療統計では、外科治療と協働した1歳未満の乳児に対する治療(ハイブリッド治療)が増加しています。また、構造的心疾患治療の低侵襲化に伴い、成人診療科と連携した60歳を超える患者さんの治療実績も増加しています。小児循環器内科で扱う先天性心疾患に対するカテーテル治療件数は、国内最多となっています。

1997-2015年 年間カテーテル治療件数
小児循環器担当カテーテル治療年齢分布(2012)

経皮的心房中隔欠損閉鎖術

2005年~2015年の間に901人にAmplazter Septal Occluderを用いた経皮的心房中隔欠損閉鎖術を施行しています。その内の73人は多孔性欠損です(図1)。2016年2月から日本でもOcclutech Figulla Flex Ⅱ Occluderも使用可能となり、上位欠損孔もより安全に閉鎖が可能となりました。外科治療に比較して身体への侵襲が少なく、胸部に創が残らないなどの有利点があります。

図1

図1の説明:3個の欠損孔が2個の閉鎖栓を用いて閉鎖されている。

経皮的動脈管閉鎖術

2005年~2015年の間に、内径約2mm以上の動脈管に対しては127人にAmplaztzer Duct Occluderを用いた経皮的動脈管閉鎖術を施行し、内径2mm未満の動脈管に対しては87人に動脈管コイル閉鎖術を施行しています。

図2

図2の説明: Amplatzer duct occluderを用いて太い動脈管を閉鎖。留置直後は少量の残存短絡が認められたが、翌日には完全閉鎖した。

大動脈縮窄に対する経皮的ステント留置術(図3)

上半身と下半身の圧格差は50mmHg。ステント留置後圧格差は消失し、運動時の高血圧も250mmHgから200mmHg以下へ改善した。

図3

図3

左心低形成症候群に対する動脈管ステント留置術(ハイブリッドアプローチ)

低体重や心機能低下などのためにNorwood手術が危険な状態の児に対しては、両側肺動脈絞扼術後に経皮的動脈管ステント留置術を施行しています。退院して、発育後にNorwood手術と両方向性Glenn手術を同時に施行することを目指します。

図4

図4

図4

図4の説明: 動脈管の狭小化に伴い大動脈縮窄も悪化した。動脈管にステントを留置し、続いてステントサイドセルをバルーンカテーテルで拡大し、大動脈縮窄も解除された。

無脾症候群に伴う狭窄性総肺静脈還流異常に対するステント留置術

流出静脈に重度の狭窄を伴う総肺静脈還流異常を合併する場合は出生後直ちに狭窄解除が必要となります。外科治療では救命率が50%未満でしたが、流出静脈狭窄部に経皮的ステント留置術を施行することでその多くが救命可能となっています。

図5

図5

図5の説明: 流出血管である垂直静脈と静脈管に狭窄が認められた。垂直静脈から門脈への狭窄部に2個(①②)、静脈管に2個(③④)の計4個のステントを留置し、圧格差は消失した。

最終更新日 2019年08月29日

ページ上部へ