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腎臓・高血圧内科

医療関係者の皆様へ

医療関係者向けの専門的内容

高血圧

患者さんの24時間血圧や家庭血圧の測定により血圧値を詳細に評価し、治療方針の決定や降圧治療の効果判定を行っています。また、心臓や腎臓、血管の超音波検査などにより、高血圧に関連した動脈硬化や臓器障害を調べています。二次性高血圧の診断と治療には多くの実績を有しており、腎血管性高血圧については放射線科や血管外科との連携のもとで最適な治療法を選択しています。悪性高血圧など、高血圧緊急症とよばれる重症高血圧の治療にも多くの経験を持っています。

腎臓病

腎臓病の診断の為、蛋白尿や血尿を有する患者に対して、腎生検を行い、免疫療法を行っています。慢性腎臓病の原因を尿・血液・画像検査で評価し、適切な食事療法や薬物療法を行っています。末期腎不全に至った場合、安全に透析導入が行えるよう患者教育や内シャント作成の手配を行います。

1. 慢性腎不全のみかた

当科は腎不全の診察に際し、下記の点を留意しております。
① 生活習慣の修正
 A. 減塩
  3g/日以上 6g/日未満
 B. カリウム制限
  野菜・果物の積極的摂取を控える
 C. 禁煙
 D. 減量
  BMIが25未満
 E. 適度な節酒

② 血圧管理
 糖尿病患者は130/80mmHg未満
 非糖尿病で蛋白尿が陽性の場合は130/80mmHg未満
 非糖尿病で蛋白尿が陰性の場合は140/90mmHg未満

③ 貧血管理
 目標Hbは10g/dl以上、13g/dl未満

④ 高カリウム血症、代謝性アシドーシスの管理
 ACE阻害薬、ARB、スピロノラクトンなどの副作用や食事によるカリウム摂取に注意。
 カリウム上昇時、食欲不振時には代謝性アシドーシスの検索。

⑤ カルシウム・リン代謝の管理
 CKDの進行に伴い、リン上昇・カルシウム低下・PTH上昇がみられることが多い。
 リンとカルシウムの管理を優先させる。

⑥ 脂質の管理
 心血管疾患の予防を含めて、LDLコレステロールは 120mg/dl未満(可能であれば 100mg/dl未満)に管理する。

⑦ 薬剤投与量の調節
 CKD進行するにつれ、腎排泄性の薬剤は減量や投与間隔の延長が必要となります。

2. 腎生検について

慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、膠原病合併腎障害に対し、腎生検を行い、組織学的確定診断をつけております。
3年間の腎生検の内訳は下記のとおりです。

総数 55例
IgA腎症 12例顕微鏡的多発血管炎 5例
微小変化型ネフローゼ症候群 4例骨髄腫腎 1例
膜性腎症 7例間質性腎炎 2例
巣状糸球体硬化症 2例コレステロール塞栓症 2例
膜性増殖性糸球体腎炎 1例その他 8例
腎硬化症 2例再生検 2例
糖尿病性腎症 5例ループス腎炎 1例
シェーグレン症候群 1例 

 

3. 多発性嚢胞腎に対するトルバプタン(サムスカ)導入について

PKD遺伝子の変異により、尿細管由来の嚢胞が両腎に多発し増大することで、進行性に腎機能が低下し70歳までに約半数が末期腎不全に至る疾患で、常染色体優性遺伝の形式をとります。2014年、多発性嚢胞腎に対し、バソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタン(商品名:サムスカ)が保険適応拡大となりました。また、多発性嚢胞腎に対する難病認定が拡大されました。これらにより、多発性嚢胞腎に対するトルバプタン(サムスカ)の導入が可能となりました。多発性嚢胞腎に対する、サムスカの投与量は心不全や肝硬変と比較し、とても多いため、飲水・排尿管理が必須になってきます。当科では飲水・排尿管理を習得してもらうため、また、多尿のため自己中断とならないように、サムスカを導入する場合は、3泊4日程度の入院で行っております。なお、多発性嚢胞腎は心臓弁膜症や脳動脈瘤を合併することがありますため、その精査も行います。
なお、遺伝性疾患でありますため、親・兄弟・子に同様の疾患がないか精査し、サムスカの導入基準を満たす場合、CKDの進行を防ぐため、治療を開始することをお勧めしております。

患者さんの紹介や相談について

患者さんのご紹介は専門医療連携室までご連絡ください。
今後も当センターとの連携医療を何卒宜しくお願い申し上げます。

患者さんをご紹介いただける場合、下記の所見を参考にしてください。
① 0.50g/gCre以上または2+以上の蛋白尿
② 蛋白尿と血尿がともに陽性(1+以上)
③ GFR < 50 ml/分/1.73m2


治験・研究情報

家庭血圧に基づいた高血圧治療試験や、生活習慣改善の効果に関する研究、降圧薬感受性遺伝子の研究、高血圧と心臓・血管障害に関する研究など、多くの研究を行っています。
慢性腎臓病と循環器疾患、急性腎障害に関する研究、透析患者における循環器疾患、透析中の体液・心機能変動など、多くの臨床研究を行っています。

最終更新日:2024年01月12日

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