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動脈硬化・糖尿病内科

脂質異常症

1)脂質異常症とは?

血液中には脂質として、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類があります。コレステロールは人の細胞膜や、消化吸収に必要な胆汁酸、ホルモンのもととなる重要な物質です。中性脂肪は、エネルギーとして貯蔵したり、保温、外部からの衝撃を和らげたり、内臓を固定したりして、体内で重要な役割を果たしています。しかしながら、これらの脂質が多すぎると問題になってくる場合があります。脂質異常症というのは、これらの脂質の中でも特に、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が多過ぎる、あるいは善玉(HDL)コレステロールが少なすぎる、などの状態を示す病気のことです。図のように、悪玉(LDL)コレステロールは、余分なコレステロールを血管の壁に沈着させ、動脈硬化を起こしますが、善玉(HDL)コレステロールは逆にその血管内にたまったコレステロールを肝臓へ戻すように働きます。


診断基準 (早朝空腹時採血) 2012年動脈硬化ガイドラインより改変
高LDLコレステロール血症 LDLコレステロール 140mg/dl以上
境界域高LDLコレステロール血症 120~139mg/dl
低HDLコレステロール血症 HDLコレステロール 40mg/dL未満
高トリグリセライド血症 中性脂肪(トリグリセライド:TG) 150mg/dL以上

2)脂質異常症と動脈硬化

血液中にコレステロールなどの脂質が多い状態が続くと、血管壁に余分な脂が沈着し、プラーク(粥腫)と呼ばれる塊が作られます。これらの余分な脂は比較的短期間で血管壁にたまるため、柔らかくて壊れやすいものですが、時間の経過とともに血管の壁がどんどん分厚くなって、血管がつまりやすい状態になります。このような、血管の壁の変化を「粥状動脈硬化」と呼んでいます(図2A)。
不安定なプラークが破れると破れた部分を修復するため、血液の成分の一つである血小板が集まり血栓ができます(図2B)。この血栓が大きくなって動脈を塞いでしまうと血液はその先に流れなくなり、血流の途絶えた組織や臓器は壊死します。

動脈硬化の図

脳動脈が詰まれば脳梗塞、心臓の冠動脈が詰まれば心筋梗塞、下肢の動脈が詰まれば急性動脈閉塞症を発症します。


3)脂質異常症の治療目標値

脂質異常症は、症状がなくでもじわじわ血管の中で動脈硬化を進め、突然心筋梗塞や、狭心症、脳梗塞などを発症させる怖い病気です。動脈硬化を進行させないために、2012年動脈硬化性疾患予防ガイドラインでこれまでの研究から解析された死亡確率により、個々の病態での目標値が決められています。(図3と表2参照)



家族性にLDLコレステロールが高い疾患で、冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症など)を若年(男性55歳未満、女性65歳未満)で発症する家族性高コレステロール血症(FH)については、動脈硬化予防のためにより厳しい目標値が設定されており、早期から薬物療法が必要になります(家族性高コレステロール血症の項を参照してください)。可能性があると思われる方は主治医に相談してください。また、個々のコレステロール目標値については、主治医の先生に必ず確認して下さい。


4)家族性高コレステロール血症 Familial Hypercholesterolemia(FH)について

LDLコレステロールが高く、早期に心臓の血管に動脈硬化を起こす遺伝性の疾患です。頻度は軽症例が500人に一人以上、重症例は100万人に一人以上と言われ、日本では25万人以上と推定されています。
この疾患の症状ですが、若いころからLDLコレステロールが高いこと以外ほとんど症状はなく、一部の人では、黄色種と呼ばれるコレステロール沈着による白っぽい隆起をした斑点が、手の甲、膝、肘、瞼などに見られます。LDLコレステロールは通常、肝臓で処理されるのですが、この疾患ではLDLコレステロールが肝臓で処理できないため、血液中にたまってしまい、早期に動脈硬化を引き起こし、特に心筋梗塞、狭心症を発症させます。
発症年例は、男性の場合20歳代から起こり、40代がピークをとり、女性の場合は30代から始まり、50代にピークをとるように、非常に若くして心筋梗塞を中心とした動脈硬化性疾患を起こすのが特徴です。重症例においては、幼児期に心筋梗塞を発症することもあります。
遺伝性ですので、親、兄弟、叔父、叔母、祖父母、子供などにも同じようにコレステロールが高く、心筋梗塞、狭心症などの心臓病を発症していることも特徴です。


このような遺伝素因を持っている患者さんは、そうでない患者さんと比べると、心臓の血管の動脈硬化、すなわち、狭心症や心筋梗塞を早い段階で発症させます。これらを予防するためには、出来るだけ早く診断をして、LDLコレステロールを低下させる必要があります。
診断には、家系内調査、アキレス腱の厚さの確認、LDL受容体遺伝子の変異検査(血液検査)等が行われます。
治療は、低脂肪食の指導、薬物療法(主にスタチン系の薬剤)を行い、重症例ではLDLコレステロールを吸着除去する治療(LDLアフェレーシス*)が必要になります。定期的に血液検査や、心臓、動脈の超音波検査、運動負荷検査をして心臓の血管に動脈硬化が起こってきてないか、確認をしながら治療を継続して行う必要があります。早期発見、治療開始が大切な疾患です。自分や家族ももしかしたらと思われた方は、ぜひ主治医に相談してください。 
*LDLアフェレーシス:体外循環装置で血液中からLDLコレステロールを選択的に吸着除去する治療法です。


5)治療法は生活習慣の改善から

最終更新日 2017年01月23日

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