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血管外科

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血管外科の病気

「血管外科」は「血管病変の手術的治療を扱う外科の一分野」(世界大百科事典第2版)と書かれていますが、脳の血管の病気である脳卒中は神経内科や脳神経外科が主に治療し、心臓の冠動脈の病気である狭心症や心筋梗塞は循環器内科や心臓外科が主に治療しています。

国立循環器病研究センター血管外科は、心臓から送り出された血液が全身に流れる「大動脈」、大動脈から枝分かれして上肢や腹部内臓や下肢の末梢にまで血液を送り込む「動脈」、末梢から心臓に血液が戻る時に流れる「静脈」と「大静脈」、心臓から肺に血液を送り込む「肺動脈」の病気を治療しています。

血管の病気は大きくなって最終的に破裂する拡張性の病気と、狭くなって最終的には閉塞する閉塞性の病気に分けることができます。

「大動脈」の病気のほとんどは大きくなる病気で、“大動脈瘤”と“大動脈解離”が大半を占めます。大動脈瘤の破裂や大動脈解離は即座に生命にかかわる病気です。

「動脈」では手や足の動脈が閉塞する病気が最も多くみられます。腹部内臓の「動脈」の病気は比較的まれですが、動脈瘤の割合が多く、腎動脈には狭窄や閉塞もよく見られます。いずれの動脈も、急に閉塞すると激しい症状が現れて緊急手術が必要になりますが、徐々に動脈が閉塞するときには、症状も徐々に現れます。

「静脈」の病気で最も多いのは“下肢静脈瘤”ですが、生命に危険を及ぼすことはほとんどありません。一方、静脈内に血栓ができる“静脈閉塞”は、エコノミークラス症候群として有名な“急性肺動脈塞栓症”を起こすと生命にかかわる病気になります。

「肺動脈」の病気で最も多いのは肺高血圧症で、その内の“肺動脈血栓塞栓性肺高血圧症”は手術治療が可能ですが、大変、難度の高い手術です。

血管外科の病気は極めて緊急度の高いことがあります。救急医をはじめ、救急隊や救急受入病院の医師の血管外科の病気に対する理解が進み、医療機器の充実もあって、手遅れにならずに搬送されることが増えています。しかし、突然死の原因になる大動脈瘤の破裂や大動脈解離は、脈のあるうちに、病院にたどり着けるかどうか、手術室にたどり着けるかどうか、と言うほどの緊急性があります。

大動脈解離や急性肺動脈塞栓症は前触れなく襲ってきますので、発症すればすぐに対応するしかありません。

一方、大動脈瘤は徐々に拡大するにもかかわらず、ほとんどの場合に無症状です。破裂してから初めてわかることも稀ではありません。他の病気の検査や健康診断などで偶然に発見される場合がほとんどです。また、徐々に動脈が閉塞する閉塞性動脈硬化症では、段階的に症状が進みます。いずれの場合も、診断を受けたら早いうちに専門医に相談するのが安全です。

血管外科の手術

国立循環器病研究センターでは、開設以来、3500例以上の胸部大動脈と3000例以上の腹部大動脈の手術を行ってきました。肺動脈手術も230例以上行っています。最近10年間の手術数は下図の通りです。

大動脈に対する緊急手術の割合は年々増加しています。特に胸部大動脈では急性大動脈解離の手術が多く、全体の1/3が緊急手術です。腹部大動脈でも緊急手術が全体の1割を超えています。

緊急手術を行うためには、CT検査、血液検査、手術、輸血などを即座に行える態勢が必要です。血管外科医だけではなく、救急患者を受け入れるための救急担当医、看護師、臨床検査技師、レントゲン技師、手術を行うための麻酔科医、看護師、臨床工学技師、術後の集中治療のための看護師などを含む、大きなチームが必要ですが、国立循環器病研究センターでは、常時、複数の大動脈手術が行える態勢を整えています。

グラフ

大動脈の標準的な術式である人工血管置換術は、開胸や開腹に加えて、大動脈の血流を一時的に遮断する必要があります。胸部大動脈の手術では心臓手術と同じく体外循環装置が必要で、さらに、低体温や循環停止、脳潅流と言った特別な補助手段が必要となることも稀ではなく、侵襲(体の負担)の大きい“しんどい”手術です。
しかし、大動脈の手術を受けられる患者さんの中には、高齢であったり、他の病気を持っておられる方が多く、“しんどい”手術に耐えられない可能性が高くなります。そういった患者さんのために、カテーテル手技によるステントグラフト内挿術が開発され、国立循環器病研究センターでは2007年から本格的に導入しています。

ステントグラフト内挿術の割合は、胸部大動脈では3割近くですが、最近では大動脈解離の治療にもステントグラフト内挿術を用いており、手術成績が向上しています。
腹部大動脈では半数以上の手術がステントグラフト内挿術により行われています。
ステントグラフト内挿術が導入されてから10年が経ち、いい点や改善すべき点が次第に明らかになってきました。人工血管置換術のいい点や“しんどい”点と比較しながら、ひとりひとりの患者さんに最も適した治療方法を選んでいます。

末梢動脈の手術はバイパス手術が標準的でしたが、最近はカテーテルによる治療が進歩しており、第一選択となることもあります。血管内科や放射線科と協力して、長期にわたって効果を発揮する治療方法を選んでいます。
肺動脈の手術を行う病気のうち、最も多い肺動脈血栓塞栓性肺高血圧症は経過の長い病気で、最初から外科で診療することはほとんどありません。この病気も、最近はカテーテルによる治療が導入されました。心臓血管内科(肺循環科)や放射線科と協力して、重症度や閉塞している場所を考えながら、治療方法を選んでいます。
下肢静脈瘤の治療は、従来は静脈瘤抜去術(ストリッピング)を行っていましたが、2018年春からカテーテルによるレーザー治療を本格的に導入することになりました。

施設認定

  • 日本心臓血管外科学会 心臓血管外科専門医認定機構認定修練施設
  • 日本外科学会 外科専門医制度修練施設
  • ステントグラフト実施基準管理委員会 ステントグラフト認定施設

最終更新日 2018年04月13日

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