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日本血栓止血学会 第6回(2022年度)岡本賞を受賞

 

遺伝相談室・室長の根木玲子先生が第6回(2022年度)岡本賞(Utako Award)を受賞されました。

日本血栓止血学会 第6回(2022年度)岡本賞受賞
岡本賞(Utako Award)  根木玲子先生

 2022年6月23-25日、仙台国際センターで開催された第44回日本血栓止血学会学術集会(堀内久徳・会長)において、遺伝相談室、産婦人科部の根木玲子室長が「岡本賞(Utako Award)」を受賞しました。
 日本血栓止血学会「岡本賞」は、血栓止血学に多大な貢献をされた岡本彰祐先生、岡本歌子先生のご好意により、人類の幸福に寄与しうる研究者を対象とするShosuke Award、および女性研究者を対象とするUtako Awardを顕彰する、日本血栓止血学会の最高の学会賞です。今後の更なる研究の発展と活躍が期待されます。

主な研究内容

 私達は遺伝性血栓性素因と妊娠合併症の関連を検討するため、妊娠関連の深部静脈血栓症(deep vein thrombosis: DVT)患者と不育症患者の遺伝的背景に関する研究を行なった。全員のアンチトロンビン、プロテインC、プロテインS の遺伝子解析の結果、低頻度の血栓性素因で知られるプロテインS p.Lys196Glu(PS p.K196E)は妊娠関連DVT のリスク因子と考えられた。一方、不育症患者でもPS p.K196E を同定したものの、一般住民の頻度1.8%と有意差はなくリスクではないことを報告した。
 妊娠中の抗凝固療法については未分画ヘパリン(unfractionated heparin: UFH)投与が基本だが、その管理には苦慮する。モニタリング指標として用いられる活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time: APTT)では、妊娠中の凝固因子の増加によりコントロールが難しくなる。私達は、どの凝固因子がAPTT 短縮に最も影響を及ぼすのかを検討するため添加実験を実施した。また当院産婦人科部ではUFH による妊娠中の抗凝固療法のプロトコールを独自に作成している。本プロトコールを凝固因子量の増加による影響を受けない抗Xa 活性で検証した結果を報告した。

受賞に際して

 これらの研究を遂行するにあたり、国立循環器病研究センターおよび大阪府下の多くの医師、研究者の皆様のご協力と援助で進めることができました。この場をお借りして心より厚く御礼申し上げます。また、これまでの研究を進めるに当たりご指導ならびに貴重なご助言を頂きました当センター脳血管内科客員研究員 名誉研究所員 宮田敏行先生(元分子病態部部長)には心より感謝申し上げます。また遺伝子解析研究に携わって頂いた当センター分子病態部部長 小亀浩市先生を始めとした研究所の皆様にも感謝申し上げます。

最終更新日:2022年08月12日

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