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病理部

診療面

病理部門は、病気の診断を行う部門です。開設以来、臨床各科と協力し、正確な診断を行うように努力しています。以下に、個々の診断について詳しく述べます。

1. 病理組織診断

生検組織診断と手術で摘出された臓器・組織の診断に分けられます。

生検診断は、さまざまな検査により患者様の体の一部から採られた、小さな組織から標本を作ります。当センターでは心筋生検と腎生検が多く提出されます。心筋生検ではカテーテル検査時にバイオトームとよばれる小さな鉗子を用いて、大きさ2-3 mmのわずかな心筋組織が採取されます。年間450件以上施行(2016年:496件)されています。また、全国医療機関からの診断依頼も年間350件以上あります(2016年:364件)。さまざまな原因によって心筋に炎症が起こる心筋炎やサルコイドーシス・ファブリー病・筋ジストロフィーといった疾患に伴う心臓の病気を、これまでの豊富な経験から鑑別し、その患者様の治療方針の決定に重要な役割を果たしています。また、心臓移植実施施設であることもあって、移植後の拒絶反応に対する治療効果の判定や治療方針の決定に関しても重要な役割を果たしています。更に、原因不明の心筋の病気である心筋症については、画像検査では捉えきれない組織所見を汲み取り、臨床所見と照らし合わせながら、これまでの経過も踏まえた診断を臨床医に伝えます。ほぼ全例に電子顕微鏡検査も施行し、必要に応じて免疫組織化学検査(免疫染色) も同時に行っています。

手術で摘出された臓器・組織の診断では、まず、目で見て観察し、必要な部分を小さな組織に切り出し、ホルマリンなどで固定し、種々の工程を経て、3-5 μmの厚さに組織を切り、7.5X2.5cmのスライドグラス上に載せ、染色して標本を作ります。これを光学顕微鏡下で観察して病気の診断や病気の拡がりなどを詳しく臨床医に伝えます。手術後の治療方針の決定や治療の効果判定に貢献しています。当センターでは心臓血管外科および脳外科からの心臓腫瘍や脳腫瘍に加え、大動脈、血管、弁膜疾患などの組織や、心臓移植時には摘出心全体の詳細な病理学的検索を行っています。また、周産期科からは子宮や胎盤などの臓器も提出され、診断しています。

2. 細胞診断

細胞診断では、患者様の心臓や肺の周囲にたまった液体を細い針を刺して採取した細胞、子宮頚部からこすって採取した細胞、尿中、喀痰中の細胞などを調べます。検体はスライドガラスに塗り、パパニコロウ染色やギムザ染色などをして標本を作ります。出来上がった標本は、最初に細胞検査士が顕微鏡で観察し、病気を推定した後、細胞診専門医または病理専門医が細胞検査士とともに観察しながら検討し、最終的に診断します。良性か悪性かの判断は組織診断と同様に最も重要な診断になります。当センターでは心不全や肺炎の裏に隠れた肺癌などの悪性疾患が診断されることがあり、除外診断の一つの要素として重要な役割を果たします。

3. 術中迅速診断

手術中に採られた病気の部分の一部の組織から標本を作り、15~20分ほどで診断するものです。組織を-80℃以下の低温で急速に凍らせ、5μmの厚さに切り、スライドグラス上に載せ、染色して標本を作ります。これを顕微鏡で観察して診断をし、結果を手術室の臨床医に伝えます。良性か悪性かの判断や手術で切除する部分の端に悪性の細胞がないかどうかを知るために行われ、治療の方針や切除する範囲などを決定する際に必要となります。当センターでは心臓腫瘍、脳腫瘍、婦人科疾患の検体が多く提出されます。

4. 剖検(病理解剖)診断

治療を尽くしたにも関わらず、不幸にして患者様が亡くなられた際に、臨床医が病理解剖をお薦めすることがあります。ご遺族の承諾のもとで行われるもので、死因の究明はもとより、生前に患者様の病気の診断が難しかった場合の正確な診断や、治療の効果を明らかにして、臨床医に伝えます。患者様の病気に対するご遺族のご理解とともに、臨床各科と検討会を行い、同じ病気で困っている患者様に役立てようとするものです。ときに最新の画像検査でも生前捉え切れなかったような、微細な病変を見出すことがあり、重要な役割を果たしています。病理解剖は外科病理診断と同じく、顕微鏡での観察も行うため、最終診断には数ヶ月を要します。

1年間(2016年)の各診断件数は、組織診断:1,837件、細胞診断:923件、術中迅速診断:22件前後、剖検数は45症例です。

研究面

国立循環器病研究センターに以前より保存されている試料を用いた循環器病研究のお知らせとお願い

平成16年4月以降ご遺体の病理解剖(剖検)に際し、医学教育・研究参加にご承諾いただいた患者様のご遺族へのお知らせとお願いです。

病理解剖診断の終了後も保存させていただいているホルマリン検体、パラフィンブロック検体について以下に示す医学研究に役立たせていただきたいと存じます。国立循環器病研究センターの倫理委員会で厳格に審査され、承認を受けた「国立循環器病研究センターにすでに保存されている試料を用いた循環器病研究」のリストを開示いたします。

研究に際しては個人が特定できないように匿名化して集計、解析し、患者様の個人情報は厳重に保護し、取り扱いには十分に留意し行政機関個人情報保護法に基づき適正に管理しております。また、これらの研究は倫理委員会で研究計画書の内容及び実施の適否等について科学的及び倫理的な側面が審議され承認されています。対象に該当する患者様のご遺族で、ご質問または研究目的使用を希望されない方がおられましたら、臨床検査部病理 植田初江(内線 2871)までご連絡ください。ご連絡がない場合には、貴重な検体からの結果を研究に使用させて頂きます。

連絡先及びお問合せ先

国立循環器病研究センター 病理部 植田初江
電話 06-6833-5012 (内線 2871)(※ 電話番号のおかけ間違いには、ご注意ください)

病理部門では、さまざまな形態学的解析を行える設備を備えています。共焦点レーザー顕微鏡に加えて、暗室不要での蛍光観察が可能なオールインワン蛍光顕微鏡(KEYENCE)、標本の取り込みから画像解析まで行えるデジタル病理システム(aperio)、透過電子顕微鏡(日立、H-7650)などを使用しています。

【左】デジタル病理システム 【右】オールインワン蛍光顕微鏡

最終更新日 2017年08月07日

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