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高安動脈炎外来

診療科等の概要

 

高安動脈炎は大動脈やそこから分枝する大きな血管に炎症が生じて、血管が狭窄したり閉塞したり拡張(動脈瘤を形成)したりして、脳、心臓、腎臓、肺といった重要な臓器に障害を与えたり、手足が疲れやすくなったりする原因不明の血管炎で、厚生労働省の指定難病の1つです。発症初期には発熱、頭痛、全身倦怠感などがみられ、炎症が生じた血管での血管障害が進むと、頚部痛、胸痛、背部痛、上肢のだるさ、息切れ、腹痛、高血圧などの血管障害に関連するさまざまな症状が出てきます。
金沢医学専門学校(金沢大学医学部の前身)で眼科教授をされていた高安右人先生が1908年に初めて報告したことにもとづいて、「高安動脈炎」と呼ばれています。厚生労働省の報告では日本の高安動脈炎・患者数は約5,000名とされ、患者さんの9割は女性で、15歳から30歳代の若年女性に発症が多い疾患です。
稀少疾患であるため、なかなか診断に至らずに症状が進行して発見されることも多い疾患です。よって、たくさんの患者さんを診る専門施設での診断、治療が必要となる疾患と考えられます。国立循環器病研究センターでは多数の高安動脈炎の患者さんが外来フォローされておりますので、当院の「高安動脈炎外来」に受診をご検討頂ければと思います。

1. 高安動脈炎と診断された方へ

高安動脈炎では早期の診断・治療開始が重要となります。理由は、適切な抗炎症治療により血管の炎症を鎮静化しないと、血管のリモデリング(狭窄/閉塞、拡張/瘤、血栓形成)が進むため、早期の診断と治療が重要なのです。また、病気の進行状況により、手術やカテーテル治療を検討する必要が生じる場合もありますが、国立循環器病研究センターでは手術やカテーテル治療の対応を心臓外科・血管外科などと相談して進めることが可能です。主治医の先生とご相談頂き、当院への受診をご検討下さい。

2. ご紹介いただくかかりつけ医の先生方へ

紹介方法

患者さんをご紹介いただく際には、「診療予約依頼書(Excelファイル)」に必要事項をご記入の上、専門医療連携室(06-6170-1348)へFAXでご送信下さい。24時間送信可能です。詳細はこちらのページからご確認いただけます。

診察日時

・毎週金曜日 9:00~14:00(予約制)
氏名(職名) 専門領域
中岡 良和(研究所血管生理学部・部長) 高安動脈炎、肺高血圧症
・毎週木曜日 (予約制・初診のみ)
氏名(職名) 専門領域
大郷 剛(肺循環科)医長 肺高血圧症全般、高安動脈炎

3. 疾患解説などあれば

高安動脈炎の原因について

原因は残念ながら未だ不明です。高安動脈炎は遺伝的な要因を背景にして、何らかの環境要因が加わって(例えば感染やストレスなどが契機となり)発症して、血管の炎症が持続して生じると考えられています。

高安動脈炎の治療法

高安動脈炎による血管の炎症を抑えることが基本となります。通常はプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドを用います。炎症が強く、なかなか副腎皮質ステロイドが減らせない場合は、免疫抑制薬や生物学的製剤のトシリズマブ(抗IL-6受容体抗体)を使うこともあります。また、血栓ができるのを予防する薬を使うことも有ります。炎症の結果、血流が低下して日常生活に大きく差し支える場合は、炎症が治まってから外科的に血管のバイパス手術をすることもありますし、血管が拡大して動脈瘤を形成する場合には人工血管置換術をすることもあります。厚生労働省の調査研究班によると、高安動脈炎の患者さんの約2割の方が手術を受けるいうデータもあります。

高安動脈炎の経過について

大部分の患者さんはステロイドなどの抗炎症治療薬によって炎症を鎮静化させることができます。また、さまざまな画像検査法や治療法の進歩が近年見られており、高安動脈炎の経過はとても良くなって来ています。一方で、心臓弁膜症(特に大動脈弁閉鎖不全症)、大動脈瘤、高血圧症、腎機能障害、肺高血圧症などの合併症を生じた方には、厳重な管理が必要となることが有ります。約7割の患者さんでは、治療経過中に「再燃」が見られるため、定期的な受診をしてフォローしていくことが必要です。

高安動脈炎の別名として以下のものがあります

大動脈炎症候群
脈なし病
高安病

この病気に関する資料・関連リンク(資料)

・高安動脈炎(国立循環器病研究センターHPの疾患解説)
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/takayasu_arteritis/
・2015-2016年度合同研究班による血管炎症候群の診療ガイドライン (日本循環器学会が公開しているガイドライン。高安動脈炎については9-28ページを参照)
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2017_isobe_h.pdf
・市民公開講座「血管炎についてもっと知ろう:それぞれの病気の特徴と療養に役立つ知識」2)高安動脈炎
https://www.vas-mhlw.org/html/shiminkoukaikouza.html

 

最終更新日:2023年05月26日

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