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小児心臓外科

総動脈幹症(Truncus Arteriosus)

背景

総動脈幹症(Truncus Arteriosus)

総動脈幹症は本来ふたつの大血管で形成される心臓の出口が、ひとつの弁、ひとつの大血管によって形成されている比較的稀な先天性心疾患です。左心室と右心室の出口には心室中隔欠損があり、心室中隔欠損の上をそれぞれの心室に跨るようにして総動脈幹と呼ばれるふとい大血管が出ています。肺動脈は総動脈幹から直接枝分かれしています。CATCH-22と呼ばれる染色体の異常や、DiGeorge(ディジョージ)症候群と呼ばれる疾患を伴い心臓以外にも異常が見つかる場合があります。


症状、経過

新生児期よりチアノ-ゼを来します。乳児期早期より、心不全症状を来します。すなわち呼吸が速い、呼吸がしんどそう、ぜろぜろいいやすい。脈が速い、ミルクの飲みが悪いなどです。また総動脈幹の弁逆流や大動脈弓部の異常(大動脈縮窄や大動脈弓離断症など)を合併しているものはより早期に重篤な状態に陥ります。総動脈幹症で、もし何らかの外科治療を行わなければ2,3ヶ月以内には半分以上、そして1年以内にはほとんど全例死亡するといわれています。

血行動態(血液の流れ)

右心室から送り出される血も左心室から送り出される血もともに総動脈幹に拍出されます。総動脈幹からは全身への動脈と肺への動脈に枝分かれして血液を分け合います。右心室からの血液は静脈血ですからチアノ-ゼを来します。また肺動脈の血管抵抗の方が低いため、心臓の送り出す血液の多くは肺動脈の方により多く流れます。多くの場合、肺には体に行く血液の3倍以上の血液が流れるため、心臓に非常に負担がかかり、肺は余分な血液が流れてうっ血し、全身には十分な血液酸素栄養が来ないため、様々な症状を来します。また総動脈幹の出口の弁の異常を伴う場合が多く、弁の逆流があるとより早期に重篤な状態に陥ります。

診断

心臓超音波検査で診断が確定します。さらに必要であれば心臓カテーテル検査を行い、合併する心疾患の有無、肺動脈の走行、心臓を養う血管である冠動脈の走行や肺高血圧の程度などを確認し、治療方針、手術術式を詳細に検討します。

治療

診断がつけば、症状に応じて、強心剤や利尿剤の投与など心不全に対する治療を開始し、手術を計画します。手術は人工心肺下に開心術を行います。総動脈幹を左心室の出口となるように心室中隔をパッチ閉鎖します。右心室の前壁を切り開いて右心室の出口とし、総動脈幹から出ている肺動脈を切り離し、右心室と肺動脈の血流路を作成します。患児が侵襲の大きな修復術に耐えられないと判断した場合には両側肺動脈絞扼術を行い肺血流の制限により心不全・肺高血圧を改善し体重の増加を待って上記修復術を行うこともあります。

治療後経過

手術直後は、人工心肺の影響などから、強心剤や利尿剤を投与します。一時的に肺高血圧の増悪を来す場合もあり、一酸化窒素といって肺動脈の血圧を下げるガスの吸入を必要とすることもあります。長期的には、多くの場合は正常児に近い発育発達が見込まれますが、手術後に、肺動脈狭窄、大動脈弁逆流、不整脈などを来すことがあり、定期的なフォローアップが必要です。新生児期に心外導管といって人工血管で右心室-肺動脈間の血流路を作成した場合には、成長に伴って心外導管の狭窄を来すので、時期をみて再手術が必要になります。

最終更新日 2016年07月25日

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