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再生医療センター

研究概要

国循は、循環器病研究に携わる国内唯一のナショナルセンターの責務として、心血管病に対する再生医療の日本における研究開発をリードするために、2022年4月に再生医療センターを新設いたしました。そのセンター長としては、英国のclinical-scientistとして20年以上の再生医療開発の世界的実績をもつ現役ロンドン大学教授の鈴木憲が着任(併任)しました。国際的にも競争力の高い包括的な開発戦略が構築できており、再生医療によって1日も早く一人でも多くの患者さんを救えるようにすることを目指します。本センターでは、再生医療の基礎応用科学から橋渡し・非臨床研究・臨床試験までを一貫して効率よく開発できるよう、医師・非医師の両者を含めた多分野からの熱意あるスタッフ(大学院生・ポスドクから上級研究員・室長まで)を出身大学や医局に関係なく全国から広く募集中です。

研究テーマ

急性心筋梗塞や心筋症をはじめとする心血管病に対する再生医療・細胞治療の研究開発・臨床応用が我々のテーマです。そのための主要な課題は、病態に合わせた至適なドナー細胞の確立及び最適な細胞移植ルートの開発です。この領域での20年以上の経験と知識による独自のアイデアに基づいて、これらの課題を解消できる複数のパイプラインが立ち上がっており(以下を参照)、これらを効率良くかつ信頼度の高い研究で確立し、堅牢な科学的データに基づいた迅速な臨床応用を目指します。臨床開発のためには、心臓外科・循環器内科・治験支援スタッフ・共同開発企業を含めた治験コンソーシアムが立ち上がっており、再生医療の臨床の場における真の成功を追求します。また、最先端の研究技術を駆使した、分子・細胞・組織レベルの解析による治療機序の解明や、それに基づく更に優れた治療プロトコールの開発も目標とします。

間葉系幹細胞(MSC)を用いた治療:MSCには臓器保護・組織修復に働く多彩な液性因子の分泌による強力な心筋組織修復効果(パラクライン効果)があり、また他家細胞を免疫抑制剤無しにユニバーサルに投与することができるため、細胞治療のドナーとして大きな期待がかかります。当センターでは、骨髄や羊膜などの組織由来MSCやiPS細胞などの幹細胞由来MSCを含めた様々なタイプのMSCを体系的に検討し、それぞれの特長を活かした利用方法を開発しています。また、従来の細胞投与方法ではドナー細胞の定着率が低いことが大きな問題でしたが、我々は最新のbioengineering技術を駆使してドナー細胞の定着を著増し治療効果を向上でき、かつ臨床応用が可能な投与法を開発しています。これらの中の複数のプロジェクトは、数年以内に医師主導治験へ進む予定です。また、MSCの心筋修復治療機序の一端を担う組織修復型マクロファージやエクソソームなどの基礎応用研究にも積極的に取り組んでおり、さらに次世代型MSCとして遺伝子改変により細胞機能をさらに強化したデザイナーMSCの開発も行っています。

新規の自家由来組織修復細胞を用いた治療:心血管病に対する細胞治療に用いる新たなドナー細胞として、自家組織由来で強力な組織修復(パラクライン効果)能力を持った細胞を製造できるオリジナルなプロトコールを開発しました。骨髄由来間葉系幹細胞などは、十分量の自家細胞製造のために1か月以上の期間がかかってしまい、そのために適切な治療のタイミングを逃したり、高額な費用がかかるというような問題がありましたが、本法ではわずか数日以内で大量の高品質・均質な細胞製造が可能です。この細胞のさらに大きな利点は、手技的にも容易で低侵襲な経静脈投与で安全かつ効果的に移植できることが可能な点であり、急性心筋梗塞や心不全、さらには下肢虚血、免疫疾患などに対する汎用性の高い標準的な治療法となりうる大きなポテンシャルを有しています。本パイプラインも数年以内の心疾患に対する医師主導治験の開始を計画しています。

幹細胞由来心筋細胞を用いた治療:重症虚血性心不全のような心筋細胞の損失が過度な病態では、上記のようなパラクライン効果だけでは不十分で、iPS細胞などの幹細胞から作製した機能的な心筋細胞の補填が必要になります。この目的のために日本でも海外でもこれまでに多大な努力が払われてきましたが、まだ完成されたとは言えず、ドナー心筋細胞の未熟性や心筋内での低定着率・ドナーとホスト心筋細胞間の機能的結合不足などが主要な課題として残っています。当センターでは、斬新なアイデアと最先端のテクノロジーを駆使して、幹細胞から十分に成熟した心筋細胞を高効率で製造する技術・ドナー細胞の高度心筋内定着を可能にするための最適な細胞移植手技やデバイス・ホスト心筋の環境を効果的に改善するアプローチ・通常よりも高度の機能をもつデザイナー心筋細胞の作成法などを開発し、心筋細胞補填療法の最高の治療効果を引き出せるプロトコールの早期確立を目指します。

その他:再生医療の研究は日々進歩しており、新しい手法・細胞・コンセプトが次々に出現します。我々もこれまでの常識にとらわれず、新しい試みを積極的に研究開発しています。


当センターのもう一つの主要なテーマは、次世代を担う若手研究者の育成です。残念ながら、循環器病・再生医療研究者にとって、日本のトレーニング制度やキャリアシステムは世界的に見て優れているとは言えません。しかもその状況は近年ますます劣悪になっているようです。我々は、国循のナショナルセンターとしての責務として、通常の大学にはできないような効果的な若手研究者育成システムの提供を目指しています。我々の再生医療センターでは、基礎科学から橋渡し研究・非臨床開発・臨床試験・リバーストランスレーショナル研究までをワンチームで一貫して行うことにより、心血管研究・再生医療開発の様々な領域の経験を積んでもらえます。遺伝子・分子・細胞・組織・個体・ヒトまでの全てのレベルで国際的にも最先端の研究が行われますので、各自の適性・興味にあったプロジェクトを持つことができます。医師に関しては、研修・専門医制度の改変等により基礎・応用研究の経験を積める環境が極めて厳しくなっており、人手不足の大学の医局では大学院に入ったとしても十分な修練が積めず、アカデミックマインドを持った臨床医の育成が困難になっています。当センターでは国内随一の循環器病患者数を誇る病院と最先端の実験設備に恵まれた研究所が緊密に連携して、臨床と研究をバランスよく研修できるプログラムを個々の状況に合わせてアレンジし、国際的に通用するacademic physician, academic surgeonの育成に尽力していきます。

医師・非医師を問わず多分野からの熱意あるスタッフ(大学院生・ポスドクから上級研究員・室長まで)を、出身大学や学部、医局に全く関係なく全国から広く募集中です。情熱さえあれば再生医療研究の経験の有無も問いません。自分達の研究の成果が心血管病に苦しむ患者さんを救うのに役立つというかけがえのない経験ができるはずです。ご興味がありましたら遠慮なくセンター長まで連絡ください(ncvc_crm@ncvc.go.jp)。

最終更新日:2022年08月18日

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