メニュー

分子生物学部

研究概要

ヒトの体は、37兆個の様々に分化した細胞により構成されていますが、それらは全て同じゲノム(遺伝情報)を持ちます。2003年に30億塩基にのぼるヒトの全ゲノムが解読され、その直後に次世代シークエンサーが登場し、この20年弱の間に、個人の遺伝情報を容易に知ることができるようになりました。これまで遺伝性疾患の研究といえば単一の遺伝子変異によって発症する単一遺伝性疾患が中心でした。ところがヒト全ゲノム情報を入手できるようになると、遺伝子上の様々な変化が疾患発症に影響を及ぼすことがわかるようになってきました。遺伝子はタンパクの設計図と考えられていますが、実際にタンパクに翻訳される領域(エクソン)は全ゲノムの1.5%程度に過ぎません。このエクソン以外の部分の機能については未知の部分が多いものの、タンパクへの翻訳や機能に影響を及ぼしていることがわかってきました。また遺伝子上には変化がないものの、環境因子である加齢やストレスが遺伝子からタンパクへの翻訳(エピジェネティック機構)に影響を及ぼし、生活習慣病やがんの発症に関係していることがわかってきました。分子生物学部では、遺伝子変異から疾患発症までのメカニズムを解明すべく研究を行っています。また、2020年にノーベル賞を受賞したゲノム編集技術CRISPR-Cas9システムや発生工学技術を用いて、センター内における疾患モデル動物作製の研究支援も行っています。

研究テーマ

  1.  遺伝性循環器疾患の病態解明 分子生物学部では希少疾患である遺伝性不整脈(先天性QT延長症候群、Brugada症候群、カテコラミン誘発性多形性心室頻拍など)、特発性心筋症(不整脈原性右室心筋症、肥大型心筋症など)といった希少疾患の遺伝的背景を解明し、その病態との関連や新規治療法の開発に関する研究を行っています。
     患者さんの臨床情報を集めて遺伝子解析を実施するととももに、同定された新規遺伝子・遺伝子変異について、動物モデルや培養細胞を用いてその病態を解明し、治療薬の開発を目指しています。
     遺伝子解析法については、従来型の最長リード長が600塩基だったshort-read型次世代シークエンサーに加え、2万塩基ものリードが可能になったlong-read型シークエンサー、Oxford Nanoporeシステムを導入し、疾患の原因となるゲノム構造異常などの検出を進めています。
     また頻度の高い循環器疾患についても、遺伝的背景からその発症リスクを解明する研究を行っています。現在、高齢者に多く、心不全の原因ともなる洞不全症候群について、全国の不整脈診療施設から症例を登録し、研究を進めています。
    http://new.jhrs.or.jp/contents_web/j-pres3/index.html
     遺伝子解析技術の進歩により様々な遺伝子変異が同定されるようになってきました。さらに一般住民におけるデータベースも充実してきており、同定された変異の一部は疾患とは関連がない良性の変化であることがわかってきました。そこで同定された多くの変異の中から、真に疾患と関連のある変異を決定する手法の開発を目指しています。
  2.  遺伝子改変による循環器疾患モデル動物作製支援と生殖生物学研究 遺伝子機能の解析、遺伝子変異を伴う疾患の病態解明、診断・治療法の開発のために、モデル動物は重要な役割を果たしています。2020年にノーベル賞を受賞したゲノム編集技術CRISPR-Cas9システムをはじめとするモデル動物作製のための遺伝子改変法が進歩し、より高等なモデル動物の遺伝子編集も可能になってきました。
     発生工学研究室では、他施設からの遺伝子組換え動物の入手に伴うクリーニング、系統の胚凍結保存などの発生工学技術を提供し、遺伝子改変動物開発グループとして遺伝子組換え動物の作製支援を行っています。また、発生工学技術の向上を目的に、配偶子(精子、卵子)や胎盤の機能に着目した受精や妊娠などの生殖生物学研究も行っています。研究内容の詳細は、研究業績欄をご覧ください。

最終更新日:2021年10月22日

各部の紹介About

設定メニュー