KENICHIRO SAWADA
【専門領域】
冠動脈カテーテル治療(PCI)
循環器集中治療
医学生時代から卒業後の研修は厳しい環境に身を置きたいと思っていました。そこで、全人的に様々な科を学べる病院を研修先として選びました。非常に忙しい病院ではありましたが、しっかりと患者さんの病歴を聴取し、身体所見をとり治療を行うという基本を重んじる病院でもありました。この病院で3年間、臨床を経験することにより、心身ともに医師としての基礎を固めることができたと思います。また患者さんの調子が悪いところを特異的に診察するというよりは、あらゆる面を含め全身的に診察したいという考えを固めることもでき、内科医の道を進むことを決意することもできました。また内科の中でも、はじめは血液内科等も検討していたのですが、最終的には、迅速な対応力も身に着けないといけないと感じ、急性期の診療を行える循環器内科を選択しました。急性期の診療を行えること以外に、治療の結果が目に見えやすく、患者さんの喜ぶ顔を見る機会が多かったことも循環器内科を選択した理由です。
医師としての基礎を固めた3年間の研修を終えた後は、別の病院の循環器内科へ移りました。循環器内科には、虚血性心疾患や不整脈、心不全などのさまざまな診療分野がありますが、このとき先輩であった医師の影響もあり、私は血行動態(心臓や血管機能、心臓から送られる血液量等の状態)に強く興味を抱きました。臨床に根差した診察という自身が大切にしてきた診療スタイルと血行動態がリンクしたからです。国立循環器病研究センターに行きたい。という動機も血行動態についてより深く学びたいという気持ちがきっかけでした。
国立循環器病研究センターに対して、循環器内科領域の最前線かつ最新の検査や治療ばかりが行われるというイメージを持つ方も多いかも知れませんが、非常に基本を大切にしている病院でもあります。患者さんの病歴を丁寧に聞き取り、身体所見や検査をしっかり評価し、患者さんの社会的な背景も踏まえて診察するという「基本に忠実な診療」を行っており私もそれを継続しています。また当たり前のことですが、生活習慣病を背景とした循環器疾患の場合、その生活習慣まで改善されなければいけません。ですので、退院して終わりではなく、患者さん自身が退院後も自己管理できるようになることまでに目を向けた診療を心掛けています。
私が取り組んでいる研究テーマは、ECMO(心原性ショックや心停止に陥った患者の心肺をサポートする経皮的心肺補助装置のひとつ)に関わる分野です。ECMOは、遠心ポンプと膜型人工肺を用いた人工心肺装置により、心肺補助を行う装置です。重症肺炎などで肺の機能を補助する場合は静脈(Venous)から静脈(V)に送るV-V ECMO(ブイブイエクモ)、心臓(循環)の機能を補助する場合は静脈(V)から動脈(Artery)に送るV-A ECMO(ブイエイエクモ)の2通りの補助法があります。ECMOは重篤な状態で装着されるため、安全に離脱する信頼できる臨床指標が以前から求められており、研究の目的は、どのような状況であれば安全に離脱することができるか。この指標を見つけることでした。研究成果としては、ECMO(経皮的心肺補助装置)の離脱を予測する臨床指標を分析することができ、2020年に論文として発表することもできました。
ECMOの離脱の研究は、もともと興味関心がある血行動態にも深く関わることも多く、知的好奇心を刺激される非常に楽しい研究になりました。引き続き、機械サポートを装着した重症患者の状況をケースごとに細かくフォーカスし、それぞれのケースにおける離脱指標を明確にしていきたいと思っています。
国立循環器病研究センターは、他科との関係性もよく非常に相談しやすい病院だと思います。もちろん自身でしっかりと患者さんを評価し治療方針を考えますが、各専門医に気軽に相談できる環境は大変心強いですし、患者さんにとっても良い環境だと思います。
また私が感じる国立循環器病研究センターの一番すごいところは、様々な症例を持つ患者さんとの出会いが他病院より圧倒的に多いことだと思います。症例ごとに、しっかりとコンベンショナルな検査を実施しつつも、ダイナミックな最先端の検査や治療も行うといったように、非常に幅広い経験を積むことができます。まさに循環器内科の正と動の両側面を追求できる病院だと思います。
Doctor Profile
澤田 賢一郎
KENICHIRO SAWADA
日本内科学会認定内科医
日本循環器内科専門医
日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)認定医
心臓リハビリテーション指導士
その他疾患や実績については以下よりご確認ください。
Acsess
〒564-8565 大阪府吹田市岸部新町6番1号
虚血性心疾患の検査として、近年ではマルチスライスCT検査での冠動脈評価の精度が向上し、外来で冠動脈の解剖学的な評価が可能になりました。
※緊急受診について
以下のような症状が出ている場合は緊急にかかりつけ医を受診ください。
医師から処方されている(ニトログリセリンなどの)舌下錠を3回舌下しても症状があるとき発作が頻回に起こるようになってきたとき
※夜中でも「朝まで・・・」と我慢する必要はありません。
※外来の日が近くても、上記のような症状があったら、すぐにかかりつけの病院に連絡して下さい。