Column
心臓に血液を供給する動脈を冠動脈と言います。狭心症は、この冠動脈に動脈硬化による狭窄が起こり血液の流れが妨げられることで起こります。従来、狭心症が疑われた場合は心臓カテーテル検査が勧めていましたが、検査に対する恐怖心からカテーテル検査をためらう患者さんもいらっしゃいました。冠動脈CTの登場は、このような方々への朗報となりました。
冠動脈CT検査は、基本的には外来で行います。まずヨード造影剤を点滴するための静脈確保や脈拍測定などを行い、その後検査を行います。通常の冠動脈CTであれば、検査そのものは5~10分程度で終了します。
図1は、代表的な冠動脈CT画像です。冠動脈CT検査では、従来、心臓カテーテル検査で評価していた冠動脈の狭窄の程度(血管がどの程度狭くなっているか)を評価する事ができます。また、冠動脈CTでは、将来狭心症や心筋梗塞を発症しやすい動脈硬化病変(不安定プラーク)を検出したり、石灰化スコアという指標を用いて冠動脈全体の動脈硬化の程度を評価したりすることも可能です。石灰化スコアのみであれば造影剤を用いずに検査することが可能であり、患者さんのリスク評価に役立てることができます。
冠動脈に狭窄があった場合、治療方針決定のためには、その狭窄により血流がどれほど妨げられているかを評価すること(機能的評価)が重要になります。心臓カテーテル検査を実施した場合は、薬物負荷を追加しfractional flow reserve(FFR)という指標を得ることで機能的評価が可能になります。そして、冠動脈CTでも薬物負荷を加えることで、図2のように機能的評価を行うことができます。さらに最近では、薬物負荷を行わない通常の冠動脈CTの画像から、FFR値を推定する手法(FFR-CT)が開発され、当センターでも実施可能となっています。
当センターには世界最新式のCT装置が3台導入されており、年間1500人以上の方が冠動脈CT検査を受けられています。