Acute myocardial infarction:AMI
突然の、締め付けられるような強い胸の痛み(主に胸の中央部~胸全体)や胸部の圧迫感が心筋梗塞の代表的な症状です。狭心症の症状に似ていますが、安静にしても症状がおさまらない点が異なります。また心筋梗塞の随伴症状として、肩や腕、首に痛み、歯の痛みがひろがったりすることもあります。男性では冷や汗を伴う事が多く、女性は呼吸困難感や吐き気を催す事があります。高齢の方や糖尿病があるとはっきりとした症状を示さない事があり注意が必要です。心筋梗塞は治療が遅れる事で状態が悪化する為、このような症状が治らなければ救急車を要請する必要があります。
生活習慣病(高血圧症、糖尿病、高脂血症、肥満)のある方、喫煙やストレスの影響が心筋梗塞発症のリスクを高めます。また遺伝的素因等も認められる為、血縁のかたで心筋梗塞既往がある場合はリスクが高くなります。
心筋梗塞発症後は、できる限り早く確実に治療を開始することが重要となります。当院では北摂地区を中心として近隣地域で発生した緊急の患者さんを24時間365日受け入れています。病院到着後に確定診断をつけてすぐに、緊急カテーテル検査、治療(経皮的冠動脈形成術:プライマリーPCIやバイパス手術)を行います。
心筋梗塞に対して多くの場合、カテーテル治療(プライマリーPCI)で閉塞した冠動脈を再び開通させる事が可能ですが、冠動脈を再開通させても、壊死した心筋は元には戻りません。その為、少しでも早く血流を改善させ心筋の壊死を減らすため、国立循環器病研究センターでは、多くのスタッフが24時間体制で待機しており、必要があれば救急外来からCCUを経ることなく直接カテーテル室に移動するなど工夫をしています。現在は、来院からカテーテル治療までの時間を30分程度にまで短縮できており、より早く治療ができるように務めることで安定した治療成績を保っています。
カテーテル治療が終わったら、CCU(心疾患集中治療室)において経験豊富なチームにより心不全や致死性不整脈、心破裂といった合併症に備えます。通常は1日から数日の間、ベット上の安静が必要となります。落ち着いてから、心臓の機能を回復させるために「心臓リハビリテーション」を行います。「心臓リハビリテーション」とは、身体機能の回復促進のための運動療法や心筋梗塞再発予防に向けて行われる生活指導、栄養指導、内服指導、禁煙指導、カウンセリングなどの包括的なリハビリテーションのことを指します。血圧測定や心電図検査を行ない、回復具合をモニターしながらリハビリを進めていきます。退院後も通院を通して、心臓リハビリテーションを実施し継続していきます。
少し専門的な話となりますが、心筋梗塞(AMI)は、心電図変化の違いにより、
ST上昇型心筋梗塞(STEMI)と非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)に分類されます。
ST上昇型心筋梗塞
(STEMI:ST-segment elevation myocardial infarction)
心電図でST上昇を伴う心筋梗塞をいう。心電図上ST上昇または新規もしくは新規と思われる左脚ブロックが認められ、トロポニンの上昇が認められたもの。貫壁性心筋梗塞ともいわれ、閉塞した血管を直ちに開通させなければ、不可逆的な心筋壊死に陥る。
非ST上昇型心筋梗塞
(NSTEMI:non ST-segment elevation myocardial infarction)
心電図上ST上昇が認められず(ST低下や陰性T が認められる場合が多い)、トロポニンの上昇が認められたもの。心内膜下心筋梗塞ともいわれ、こちらも血管の開通が必要である。
その他疾患や実績については以下よりご確認ください。
Acsess
〒564-8565 大阪府吹田市岸部新町6番1号
虚血性心疾患の検査として、近年ではマルチスライスCT検査での冠動脈評価の精度が向上し、外来で冠動脈の解剖学的な評価が可能になりました。
※緊急受診について
以下のような症状が出ている場合は緊急にかかりつけ医を受診ください。
医師から処方されている(ニトログリセリンなどの)舌下錠を3回舌下しても症状があるとき発作が頻回に起こるようになってきたとき
※夜中でも「朝まで・・・」と我慢する必要はありません。
※外来の日が近くても、上記のような症状があったら、すぐにかかりつけの病院に連絡して下さい。