KOTA MURAI
【専門領域】
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
血管内画像診断
私が医師を志すきっかけは、亡くなった祖母の影響だと思います。幼い頃から生き物に強い興味を持っていた自分をみて、祖母は「将来はお医者さんになって、困っている人の助けになるんだよ」と繰り返し言っていました。大好きだった祖母は私が小学校3年生のときに他界しましたが、何気ない祖母の言葉はいつまでも自分の中に残っていました。生命・医学への好奇心もあり、高校受験のころから明確に医師を志すようになって地元の医学部に無事入学できましたが、まだその頃は将来の志望科などまったく考えていませんでした。
病院実習が始まる大学5年生の4月、最初に研修したのが循環器内科でした。担当した患者さんは極めて重症な感染性心内膜炎の症例だったのですが、指導医の的確な治療で明確に快方へ向かう姿を見て、感銘を受けたことをよく覚えています。循環器内科には身体所見、心電図、心エコー、カテーテルなど様々な評価軸があり、これらを組み合わせて患者さんの病態の解明、治療に結びつけるプロセスにも惹かれました。この指導医が国立循環器病研究センターでレジデントを経験し、大学へ凱旋したばかりの先生であることを知り、将来は自分も循環器内科医となって国立循環器病研究センターで研鑽を積みたいと決意しました。6年生時には1週間の国立循環器病研究センターでの実習もさせて頂き、より明確な目標となりました。
冠疾患科では主に安定した冠動脈疾患を対象とし、カテーテル検査・治療の経験を積むだけでなく、これまであまり経験の無かった心臓リハビリテーションや運動負荷検査、核医学・CTといった心血管イメージングについて、各分野の第一人者である先生方から学ぶ貴重な体験ができました。2年間の冠疾患科研修を終えたのち、今度は急性期の疾患を経験して虚血性心疾患に対する総合的な診療能力を高められるように、という野口部長の計らいもあり、引き続き心血管集中治療科(CCU)の専門修練医となりました。急性心筋梗塞・重症心不全症例の診療、補助循環装置の管理に関して学習しながら、集中治療における優先順位の付け方や見通しの立て方、時間感覚を体験することができました。このように虚血性心疾患に関する体系的・総合的な研修ができたことは自分にとって大きな財産になったと思います。
特にイメージングについては、これまで興味のあった血管内イメージングに加え、非侵襲的イメージング(CT、MRI、核医学)や病理についての知見が上乗せされ、より深い視点で捉えることができるようになったと感じています。国立循環器病研究センターには前述の血管内イメージング装置であるIVUS, OCTに加えてNIRSも有しており、国内外有数の血管内画像診断環境が整えられています。これらを組み合わせることで、より深く病態を考察することができます。
研究面においては、臨床研究に対する考え方に始まり、データ解釈の仕方、結果を論理立って伝える表現の仕方まで、著名な研究者でもある当科の上級医から親身になって指導していただける環境があります。血管内イメージングを中心に備え、画像所見と血管生理学的指標(FFR)との相関の解明、複数のイメージング装置を用いた統合的な所見の考察などに関する学会発表や論文執筆を行うとともに、珍しく貴重な画像を症例報告として公表しています。
国立循環器病研究センターの素晴らしい点は、日本各地からモチベーションの高い、熱心な医師が集うところにあると思います。そういった先生たちと交流し、ともに学び、成長できる環境は非常にエキサイティングです。
また、特に自分の専門としているイメージングについては、血管内・血管外・病理問わず国内外第一人者の先生が所属されており、どの先生も非常に教育熱心です。臨床でも研究でも、そういった先生から直接指導を受けることができる環境はとても貴重だと思います。心血管イメージングを勉強したい先生方にとって、国立循環器病研究センターは臨床・研究の両面において最高の環境ではないかと思います。
Doctor Profile
邑井 洸太
KOTA MURAI
日本内科学会内科認定医
日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)認定医
その他疾患や実績については以下よりご確認ください。
Acsess
〒564-8565 大阪府吹田市岸部新町6番1号
虚血性心疾患の検査として、近年ではマルチスライスCT検査での冠動脈評価の精度が向上し、外来で冠動脈の解剖学的な評価が可能になりました。
※緊急受診について
以下のような症状が出ている場合は緊急にかかりつけ医を受診ください。
医師から処方されている(ニトログリセリンなどの)舌下錠を3回舌下しても症状があるとき発作が頻回に起こるようになってきたとき
※夜中でも「朝まで・・・」と我慢する必要はありません。
※外来の日が近くても、上記のような症状があったら、すぐにかかりつけの病院に連絡して下さい。