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小児心臓移植について

臓器移植法改正以降の日本における小児心臓移植の現状

2010年7月に改正臓器移植法が施行され、我が国でも15歳未満の脳死臓器提供が可能になりました。徐々にですが、図1のように小児(18歳未満)の脳死臓器提供も増加し、2017年末現在、26例の小児が国内で心臓移植(成人ドナーから10例、小児ドナーから15例)を受けることができるようになりました。

一方、長年、身体の小さな小児、特に乳幼児に装着できる補助人工心臓がなく、重症心不全の小児を助けることができませんでしたが、小児専用のEXCORという体外設置型の補助人工心臓が日本でも2015年8月に保険償還され、当センターでも6例装着し、1例が当センターで心臓移植を受けました。全国では、2018年3月末までに38例の小児にEXCORが装着され、15例が心臓移植を受けることができるようになりました。ただ、そのうち12例は海外で心臓移植を受けており、今後も、成人の心臓移植の推進とともに小児科領域での移植が認知されていくことが期待されています。

図1 小児脳死臓器提供件数の推移

小児期に心臓移植の対象となる基礎疾患

小児の心臓移植は、その原因となる疾患は成人とは異なり、心臓の筋肉の病気である拡張型心筋症や拘束型心筋症のみならず、生まれつき心臓や大血管の構造に異常のある先天性心疾患の手術前および手術後の重症心不全、川崎病冠動脈病変による重度の心筋虚血や心筋梗塞、薬剤(とくに抗がん剤)に起因する重症心不全、などが含まれます。18歳未満の小児への心臓移植は、欧米を中心に世界全体で毎年500人前後の重症心不全患者さんに行われており、移植手術後は、約半数の患者さんが16年間生存するとされています。

小児の心臓移植の適応疾患は従来の治療法では救命ないし延命の期待が持てない、以下の重症疾患です。

  1. 重度の心不全状態にある拡張型および拡張相肥大型心筋症
  2. 高度の心室拡張不全から突然死をきたす可能性が極めて高い拘束型心筋症
  3. 解剖学的に外科的修復術が困難な先天性心疾患
    1. 左心低形成症候群およびその類縁疾患
    2. 著しい房室弁逆流と心室不均衡を伴う心内膜床欠損
    3. 重症エプスタイン病
    4. 左心室機能が著しく低下した重症大動脈弁狭窄
  4. 外科手術後の重症慢性心不全
  5. 高度房室弁閉鎖不全による重症慢性心不全
  6. フォンタン手術後の重症慢性心不全および重度なタンパク漏出性胃腸症
  7. 薬剤に起因する重度な心筋障害(抗がん剤等)
  8. 血行動態に大きな障害があり、外科的摘出がきわめて困難な心臓腫瘍
  9. 川崎病冠動脈後遺症による重度の虚血性心疾患および心筋梗塞を伴う症例
  10. 既存の薬物的および非薬物的治療に抵抗する致死的不整脈症例
  11. 遺伝性代謝性疾患の高度な心筋障害で、病変が比較的心臓に限局したもの
  12. その他

(日本小児循環器学会心臓移植委員会資料より)

当センターにおける小児心臓移植の現状

国立循環器病研究センターでは、これまでに国内最多の成人心臓移植手術症例数を行ってきた経験と実績を活かし、小児心臓移植の実施と成功に向けて、関連するすべての部門が協力して準備を整え、10歳未満の小児への心臓移植が可能な全国4施設の1つとして認定されています。これまでに5例の小児心臓移植(内、2例が15歳未満)(全国で17例)を実施し、1例は小児用EXCOR補助人工心臓装着後の10歳未満の心臓移植、1例はJarvik2000という植込み型補助人工心臓を世界最年少で装着した10歳の小児の心臓移植でした。

図2 小児心臓移植件数の推移(N=26)

成人先天性心疾患に対する植込み型補助人工心臓

先天性心疾患の中には、徐々に心機能が悪化して、成人になってから補助人工心臓や心臓移植が必要となってくることがあります。当センターでは、そのような患者にも積極的に心臓移植の登録をしたり、重症化した場合には、補助人工心臓を装着したりしています。これまでに、成人になった先天性心疾患の患者4例に植込み型補助人工心臓を装着し、内1例が当センターで心臓移植を受けられました。

最近の症例ですが、右室の流出路が狭くなっていたので、植込み型補助人工心臓を装着する際に、右室の流出路にホモグラフト(亡くなった方からいただいた肺動脈)を用いて再建しました。

最終更新日 2018年05月22日

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