国立循環器病研究センター

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カルバペネム耐性腸内細菌科細菌 (CRE) 検出に伴う対応について(第2報)

当院において、2017年6月〜7月にかけて乳幼児の患者さん2名からメタロβラクタマーゼ(MBL)産生型のCRE(カルバペネム耐性腸内細菌科細菌)が検出されました。持ち込み(他院からの転院)又は院内感染の可能性を考え、7月下旬より、院内感染対策の厳重な実施と、関係病棟に入院されていた患者さん及び新たに入院された乳幼児の患者さんを中心に、便のスクリーニング検査を毎週実施し、感染対策の効果の評価を継続して行っているところです。

現時点で検査実施件数は、延べ350件以上となっており、乳幼児の患者さん7名からMBL産生型CREが検出されました。頭書の2名を含めて合計9名の患者さんからMBL産生型CREが検出されていることになりますが、いずれの患者さんも発症には至っていない保菌状態です。しかし、これまでの解析で、一部で院内感染の可能性があることがわかっています。

検出当初より、当院の感染対策室を中心として感染対策の見直しと強化および監視を継続して行っています。同時に、吹田保健所には、定期的に報告を行い、立入検査と助言を受けており、大阪大学医学部附属病院感染制御部と大阪健康安全基盤研究所に全面的な支援を受けながら、科学的感染経路の解明を進めています。今後は、さらに厳正な調査と対策を実施する目的で、外部調査委員会を立ち上げる予定です。

入院中の患者さんやご家族の方々、関係者の皆様にはご心配とご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。

*感染、感染症(発症)、保菌について
感染:細菌などの微生物が人の体内に侵入し、増殖するようになること。
感染症(発症):感染が成立し、人に何らかの症状をもたらした状態。ただし、感染が成立しても、必ずしも発症するとは限りません。
保菌:侵入した微生物が人と共存し、発症することなく住み着いている状態です。基本的に人の健康に悪影響を与えません。)。

**カルバペネム耐性腸内細菌科細菌 (CRE) について
CREは抗菌薬に耐性ですが、通常の大腸菌などと同じで便の中に保菌されている状態では、病気の原因にはなりません。しかし膀胱や腎臓、胆のうなどでは病気を起こすことがあります。CRE が原因となって感染症を発症した場合は、有効な抗菌薬が限られるので治療が難しくなる可能性があります。詳細については下記をご参照ください(ただし、日本で分離されるCREの多くは海外のCREと比べ、有効な薬剤が多いことがわかっています)。

<参考>米国CDCが警告を発したカルバペネム耐性腸内細菌(CRE)に関するQ&A:
https://www.niid.go.jp/niid/ja/cre-m/2384-idsc/3306-carbapenem-qa.html

***メタロβラクタマーゼ(MBL)について
CRE がカルバペネム耐性を獲得するメカニズムの1つに、カルバペネム分解酵素(カルバペネマーゼ)の産生があります。メタロβラクタマーゼ(MBL)はそのカルバペネマーゼの1つです。MBLを産生するカルバペネマーゼ遺伝子には様々なタイプがありますが、日本に広がっているタイプの多くがIMP型であり、医療機関における集団感染事例として問題になっています。

平成29年10月19日
病院長

最終更新日:2021年09月30日

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