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松尾 壽之・国立循環器病研究センター名誉所長が文化功労者に決定しました。

松尾名誉所長松尾壽之先生は、昭和3年生まれで現在82歳。昭和34年に東京大学大学院薬学系研究科博士課程を終了し、東京大学薬学部助手、理化学研究所研究員、米国チューレン大学医学部助教授、大阪大学医学部助教授等を経て、昭和53年に宮崎医科大学医学部教授。その後、平成元年国立循環器病センター研究所長に就任、平成9年に退職して名誉所長。さらに、平成14年4月から平成15年9月まで宮崎医科大学長。

松尾先生は、有機化学の深い造詣を基盤に、ペプチド化学分野において独自の方法論を確立し、世界をリードする数多くの卓越した研究業績を挙げて来られました。そのご業績の中でも中心となる「新しいペプチドホルモンの探索研究」は、生体情報伝達機構の解明という基礎科学分野はもとより、内分泌学や循環器病学などの臨床医学分野にも多大な影響を与えるものでした。ペプチド鎖最後尾のC-末端アミノ酸だけをトリチウム標識するペプチド微量分析法を開発し、この方法を用いて短期間に超微量の黄体形成ホルモン放出因子(LH-RH)の構造決定に成功し、Schally 博士(米国)のノーベル医学生理学賞受賞に大きく貢献されました。帰国後、独自に開発した超微量ペプチド研究法を駆使して、オピオイドペプチド、ニューロメジンなどの多数の脳・神経ペプチドを発見されました。特筆すべきは、利尿及び血圧降下作用を持つヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の精製と構造決定で、心臓・腎蔵・血管を結ぶ血圧・体液容量調節システムの存在を分子レベルではじめて証明され、世界的な大反響を呼びました。続いてBNP、CNP を発見され、ナトリウム利尿ホルモンファミリーが脳や循環器系の情報伝達に協調して働くことを解明されました。既にANPは急性心不全治療薬、BNPは鋭敏な心不全診断薬として臨床現場で汎用されており、これらは新しい生体情報調節因子の同定から診断・治療法の開発や医薬品の創製までに発展した我が国の代表的な研究例の1つとなっています。これらの研究を通して、食欲やエネルギー代謝を調節するグレリンの発見者である寒川賢治・国立循環器病研究センター研究所長をはじめとして多くの俊秀を育成されました。

松尾先生は、上記の研究業績で日本学士院賞、武田医学賞、朝日賞、岡本国際賞、高峰譲吉賞、西日本文化賞などを受賞され、平成17年には瑞宝中綬章の叙勲を受けられました。また、当センター研究所長在任中の平成5年に、研究所は中核的研究拠点(COE)育成研究の対象機関に選定され、研究統括責任者として「生体情報伝達・制御」の課題の下に10年間に亘り研究体制を強化、充実された結果、優れた研究成果が数多く生みだされています。また、退官後も「循環器病克服10カ年戦略」の策定において委員長として取りまとめに当たられ、当センターの研究の発展、循環器病克服に向けた臨床研究の推進に大きく貢献されています。

最終更新日 2011年03月29日

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