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大動脈瘤等の原因となる遺伝子(TGFB3)を同定 ~大動脈瘤等、心血管系疾患の早期発見に期待~

2015年04月08日

国立循環器病研究センター(略称:国循)分子生物学部の森崎隆幸部長らの研究チームは、オランダのエラスムス大学、ベルギーのアントワープ大学などの研究チームとの国際共同研究を行い、心血管系疾患、特に大動脈瘤の発症に関わる新しい原因遺伝子TGFB3変異を同定しました。TGFB3はTGFβ系の細胞内シグナル伝達に係る分子(リガンド)をコードする遺伝子であり、マルファン症候群やロイスディーツ症候群といった遺伝性疾患と共通するメカニズムが大動脈瘤等を引き起こすことを明らかにしました。
本研究の成果は、米国の心臓病協会誌「JOURNAL OF THE AMERICAN COLLEGE OF CARDIOLOGY」2015年4月7日号に掲載されました。

■研究の背景
 心血管疾患、特に大動脈瘤は大動脈解離や大動脈破裂など生死に関わる状態を引き起こします。これまでのマルファン症候群やロイスディーツ症候群についての研究によりTGFβ系の細胞内シグナル伝達の変化が大動脈瘤等に関わることが知られておりましたが未知の点もまだ多く、より精細な研究が必要でした。

■具体的な方法と成果
 胸部大動脈瘤患者470例について、多方面からの解析手法(網羅的ゲノム関連解析、エクソーム解析ならびに候補遺伝子配列解析)を用い、病因遺伝子を同定しました。国立循環器研究センターの研究チームは次世代シーケンサーによるエクソーム解析ならびに候補遺伝子配列解析を、国外の研究チームは網羅的ゲノム関連解析と候補遺伝子配列解析を実施しました。その結果、日本では3家系、国外で8家系の患者で遺伝子TGFB3の変異を同定しました。
更に、同定したTGFB3遺伝子変異によるTGFβ系の細胞内シグナル伝達の変化について検討したところ、TGFB3遺伝子変異を持つ症例は,種々の身体所見とともに、高率に心血管系とくに胸部腹部大動脈瘤・解離を発症し、TGFβ系の細胞内シグナル伝達に関係するとこれまでに知られていた遺伝子(TGFBR1/2, SMAD3, TGFB2)の変異と同様に、この細胞内シグナルの変化(増強)が確認されました。

■本研究成果が与える影響(意義)
 TGFB3遺伝子変異は種々の身体所見の変化に関係し、特に心血管系のリスク評価につながる情報となります。本研究で明らかにした遺伝子情報は、大動脈瘤等の心血管系疾患の早期発見とその管理・治療につなげることができる情報としてその活用が期待されます。

■本研究(厚生労働科学研究費等)への支援
本研究は、文部科学省科学研究費、厚生労働省「難治性疾患等研究事業」、循環器病研究開発費の資金的支援を受け実施されました。

最終更新日 2015年04月08日

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