ホーム > 広報活動 > プレスリリース > 急性心筋梗塞の予後改善に有効とされる地域連携パスの実施状況についての初の全国規模調査

急性心筋梗塞の予後改善に有効とされる地域連携パスの実施状況についての初の全国規模調査

平成28年8月16日

国立循環器病研究センター(略称:国循)冠疾患科の荒川鉄雄医師らの研究チームは、急性心筋梗塞地域連携パスの実施状況について全国規模で調査をおこない報告しました。本研究は、日本の医療専門誌「Circulation Journal」オンライン版に平成28年7月25日に掲載されました。

背景

地域連携パスとは、急性期治療を終えて退院した後、急性期病院とかかりつけ医が協調し、情報や治療方針を共有して患者さんの治療に当たるしくみです。急性心筋梗塞(AMI)は平成19年医療法改正において地域連携パスを推進する対象4疾病の1つに指定されました。急性心筋梗塞の急性期死亡率は医療の進歩により低下しましたが、長期的な再発は依然として多く、予後改善には退院後の長期管理が重要になります。地域連携パスを活用することにより、より質の高い退院後管理を行うことができるとされています。しかし、これまでに我が国における急性心筋梗塞の地域連携パスの実施状況について全国規模で調査した報告はありません。

研究の概要

2009年に質問票郵送方式による全国実態調査を行いました。対象は日本循環器学会認定の循環器専門医研修病院934施設、研修関連病院306施設の合計1240施設です。回答率は63%(780/1240)で、そのうち急性心筋梗塞の治療を行っている708施設で検討しました。
708施設中緊急でカテーテル治療(経皮的冠動脈インターベンション:PCI)施行可能な施設は91%と高率でしたが、外来心臓リハビリテーションを施行している施設は18%と少なく、地域連携パスを実施している施設はわずかに10%でした(図1)。脳卒中の治療を行っている施設における地域連携パス実施施設の比率は57%であり、それと比較しても急性心筋梗塞の地域連携パス施行率は非常に低いという結果でした(図2)。また、ガイドラインで施行が強く推奨されている心臓リハビリテーションが地域連携パスに組み込まれている率は19%と非常に低いものでした。

今後の展望

本研究結果より、今後、急性心筋梗塞患者の退院後の生活の質(Quality of Life、QOL)向上と長期予後改善のために、「外来心臓リハビリテーションを組み込んだ急性心筋梗塞地域連携パス」の普及を図る必要があると言えます。

(図1)急性心筋梗塞治療708施設における治療内容

(図2)脳卒中治療病院と急性心筋梗塞(AMI治療施設における地域連携パス施行率)

脳卒中の治療を行っている施設における地域連携パス実施施設の比率は57%でしたが、急性心筋梗塞(AMI)治療施設の地域連携パス施行率は10%と非常に低いという結果でした。

(図2)脳卒中治療病院と急性心筋梗塞(AMI治療施設における地域連携パス施行率)

最終更新日 2016年08月16日

ページ上部へ